3.霊的人生を送るための実践項目〈2〉
――利他愛の実践
霊的成長を促す生き方、すなわち霊的人生の2つ目の実践項目は、「利他愛の実践」です。地上人は霊優位を確立したうえで利他愛を実践するとき、霊的成長を達成することができるようになります。
愛について論じることは簡単ですが、それを実行に移そうとすると、きわめて複雑で厄介な問題に直面することになります。多くの宗教が愛の重要性を説いてきましたが、現在まで真実の愛の世界は実現していません。愛の世界は、依然として理想のままにとどまっています。現代社会では盛んに愛が叫ばれていますが、実践を中心として深く掘り下げて論じられることはめったにありません。多くの場合、愛は口先だけの飾り文句となってしまっています。地上人の愛は、霊界から見たとき、そのほとんどが不合格なのです。
当サイトのスピリチュアリズムの思想[Ⅱ]では、神の摂理の観点から愛について見てきました。そこでは本当の愛とは何かを理論的に説明しています。それに対しここでは、愛を実践の観点から学びます。真実の愛である利他愛とはどのようなものなのか、本当の愛の実践とは具体的にどのような行為をすることなのかを明らかにしていきます。
本章の内容は次のようになっています。
- (1)利他愛実践の意味――霊的人生とは、利他愛の実践による霊的成長の歩みのこと
- 1)愛による霊的成長と、そのメカニズム
- 2)霊的人生とは、利他愛の実践によって霊的成長を達成する生き方
- (2)歴史上の代表的な愛の思想と、スピリチュアリズムの愛の思想の特徴
- 1)プラトンの「エロス」
- 2)イエスの「アガペー」
- 3)仏教の「慈悲」
- 4)愛に関するスピリチュアリズムの見解の特徴
- (3)利己愛の実態――霊的成長を妨げる偽りの愛の現実
- 1)愛の乱用・誤用・悪用
- 2)“ひたすら愛されたい”という利己性
- 3)「優しさの安売り」という利己愛
- 4)“恋愛”という利己愛
- 5)利己愛に共通する特徴
- 6)利己愛のレベル
- 7)利己愛が招く悲劇
- 8)利己愛を利他愛に切り換える
- (4)利他愛を実践するうえでの3つのポイント
- 1)先に与える――与える(愛する)ことを、与えられる(愛される)ことよりも優先する
- 2)与え続ける――与え続けることの困難を克服する
- 3)相手を選ばない――“好き嫌い”という人間感情を乗り越える
- (5)自己犠牲あっての真の利他愛――利他愛の実践には必ず自己犠牲がともなう
- 1)「自己犠牲」が利他愛の指標
- 2)“無私”の程度が、利他愛のレベルを決定する
- (6)高級霊による真の利他愛実践の手本
- 1)霊界人の見本
- 2)シルバーバーチの見本
- (7)日常生活における利他愛の具体的な実践内容
- 1)最低限の利他愛実践のラインを守る――自分自身が利己愛に走らない・自分の利己的行動に歯止めをかける
- 2)自分への非難や攻撃に対して、同情心と寛容さを示す
- 3)可能なかぎり、人々に手を差し伸べる
- 4)周りの人々の霊的成長を祈る
- 5)周りの人々に対して「霊的真理」との出会いを祈る
- 6)時期のきた人々に「霊的真理」を伝える(霊的真理の普及活動)
- 7)子供を正しく育てる(霊性教育)
- 8)他の生命体を慈しみ愛する(動植物への利他愛の実践)
- (8)利他愛を継続するにあたっての障害