5.霊的人生を送るための実践項目〈4〉
――苦しみへの正しい対処
霊的人生を送るための4つ目の実践項目は、「苦しみへの正しい対処」です。地上人生において遭遇する苦しみや困難に正しく対処することによって、霊的成長が促されます。苦しみや困難は、正しく立ち向かえば霊的成長の糧となるのです。しかし間違った対処をすれば、霊的成長が得られないどころか、自分自身の魂を低めることにもなってしまいます。苦しみ・困難は、霊的成長にとって“諸刃の剣”と言うべきものです。
シルバーバーチは――「地上の人類はまだ痛みと苦しみ、困難と苦難の意義を理解しておりません。が、そうしたものすべてが霊的進化の道程で大切な役割を果たしているのです」
(『シルバーバーチの霊訓(4)』(潮文社)p.41)と述べています。
苦しみを避けたいと思うのは、人間としてごく当たり前の心情です。大半の地上人は、苦しみがないことが幸せであり、苦しみがあることを不幸と考えています。苦しみは人生から幸せを奪い取る敵であり、何とかしてそれから逃れたいと願っています。多くの人々が宗教と関わりを持っていますが、彼らが求めるものは、苦しみのない幸せな人生です。シャカの教えも、“生・老・病・死”という人生苦をいかに克服すべきか、というところから出発しています。
スピリチュアリズムでは“苦しみ”に対して、これまでの宗教とは全く異なった見方をします。従来の宗教の常識を根本から覆すような主張をします。シルバーバーチはしばしば――「苦しみを避けてはいけません。ありがたいものとして受け入れなさい」と言っています。そして「苦しみは、地上人類が霊的成長をなすために不可欠なものです」と述べています。さまざまな苦しみ・困難を乗り越えることは、私たちが霊的人生を全うして霊的成長を達成するうえでの重要な実践課題なのです。
本章では、『シルバーバーチの霊訓』の思想的特徴である「苦の思想・哲学」についての理解を深め、苦しみ・困難に対する正しい対処法を学びます。
ここでの内容は次のようになっています。
- (1)地上人生に苦しみ・困難は付きもの――霊的真理が明らかにする苦難の意義と重要性
- 1)苦しみ・困難に遭遇することは、地上人の宿命
- 2)『シルバーバーチの霊訓』の「苦の思想・哲学」は霊的真理の真髄――地上世界での苦しみ・困難の霊的意味
- 3)苦しみと霊的成長に関する「神の摂理」
- 4)苦しみの体験と霊的成長に関するさまざまな誤解について
- (2)地上人生における、さまざまな苦しみ・困難の実態
- 1)肉体を持っているために発生する苦しみ・困難――「霊主肉従の闘い」による苦しみ
- 2)人間愛から発生する苦しみ・困難――「利己愛との闘い」による苦しみ
- 3)カルマによって発生する苦しみ・困難――“自業自得”の苦しみ
- 4)地上人類の「霊的無知」から発生する苦しみ・困難――地上世界を支配する無益な苦しみ・悲劇
- (3)苦しみ・困難への正しい対処
- 1)霊主肉従の闘いによる苦しみ・困難への正しい対処
- 2)利己愛との闘いによる苦しみ・困難への正しい対処
- 3)カルマによる苦しみ・困難への正しい対処
- 4)霊的無知による無益な苦しみ・悲劇への正しい対処
- (4)苦しみ・困難に対する最大の武器――霊的真理と霊的視野によるプラス思考
- 1)霊的真理によるポジティブ・シンキング
- 2)苦しいときこそ霊的真理を最強の霊的武器とする
- 3)霊的視野に立ったプラス思考(具体例)
- (5)遭遇する苦難を苦しみと感じない境地を目指して