(4)愛に関する第1の摂理

――利他性の法則

1)利他愛の法則

神が人間を愛する方式(愛し方)――これが霊界・宇宙の「愛の法則」となりました。神が人間を愛する方法が、宇宙の万物間における、また人間同士の間における「愛の法則・愛の摂理」となったのです。

この神の愛の法則とは、具体的には「利他性」のことです。 利他性とは、相手に対して先に与える、相手の利益・全体の利益のために先に働きかけることです。相手や全体の幸福を自分の幸福よりも優先するということです。その際、先に与える立場に立つのが「霊的上位者」なのです。霊的に上の者が先に愛する・先に与える、霊的上位者が下位者に対して見返りを期待することなく、ひたすら与え続ける――これが「利他愛の法則」です。

「最高の愛は愛他的です。愛すべきだから愛する、愛こそ神の摂理を成就することであることを知るが故に愛する、これです。」

『シルバーバーチの霊訓(1)』(潮文社)p.143

「宇宙の大霊は無限なる愛であり、自己のために何も求めません。向上進化の梯子を登って行けば、己のために何も求めず、何も要求せず、何も欲しがらぬ高級霊の世界にたどり着きます。ただ施すのみの世界です。」

『シルバーバーチの霊訓(1)』(潮文社)p.143

2)忍耐と寛容性が要求される利他愛の実践

「自分の利益を後回しにして一方的に相手に与え続ける」――これはたいへんな忍耐と困難・寛容性が要求されることです。誰でも、途中で相手からの見返りを期待したくなるものです。愛が返ってこないと相手から“裏切られた”という思いを持つようになるのが、この世の人間の当たり前の姿です。しかし「利他性の法則」は、ただ与えること・与え続けること・完全に与え尽くすことだけなのです。いっさいの見返りを期待せず、与えるだけで良しとすることなのです。こうしたあり方は人間の常識からは大きく懸け離れていますが、それが「神の摂理」なのです。

高級霊たちは、その愛の法則を遵守し、全く見返りを期待することなく地上人の救いのために身をなげうって働きかけてきました。スピリチュアリズムという救済運動にすべてを捧げてきました。“スピリチュアリズム”は、霊界の高級霊たちの犠牲と忍耐と寛容性によって進められている、まさに「純粋な利他愛の大計画」なのです。

3)相手を選ばない愛

純粋な利他愛には、自分の欲求を優先的に満たそうというような利己的な思いは含まれていません。何ひとつ“自分のため”という要素がないのです。さらに本当の利他愛には、「相手を選ばない」という側面があります。好感を覚える人間には親切にし援助をするが、好きではない者に対しては手を貸さないというのが、この世の多くの人々のあり方です。家族や血縁者には親切にしても、他人には親切にしないというのが大多数の人々の愛の実態です。

しかし「真の利他愛」は相手を選びません。家族も他人も外国人も、同じ神の子供であるという「霊的同胞意識・霊的家族意識」によって、すべての人を分け隔てなく愛するのです。

シルバーバーチは次のように、純粋な利他愛について述べています。

「好感を覚える人を愛するのはやさしいことです。そこには徳性も神聖さもありません。好感の持てない人を愛する――これが魂の霊格の高さを示します。あなたに憎しみを抱いている人のもとに赴くこと、あなたの気にくわぬ人のために手を差しのべること、これは容易なことではありません。確かに難しいことです。しかし、あなた方は常に理想を目標としなければなりません。他人にできないことをする、これが奉仕の奉仕たる所以だからです。

可愛そうにと思える人に優しくする、これは別に難しいことではありません。気心のあった人に同情する、これも難しいことではありません。が、敵を愛する、これは実に難しいことです。(中略)愛らしい顔をした子供を治療してあげる、これはやさしいことです。しかし奇形の顔をした気の毒な人、ぞっとするような容貌の人を治療するのは並大抵の心がけではできません。が、それが奉仕です。真の愛は大小優劣の判断を求めません。愛するということ以外に表現の方法がないから愛するまでです。」

『シルバーバーチの霊訓(1)』(潮文社)p.142~143

4)愛のサイクルの確立

霊的上位者が先に愛を与え続ける中で、少しずつその愛が相手によって受け止められるようになります。さらにはそれまで与えてばかりいた相手から、反対に愛が返ってくるようになります。こうなるとそこに「愛のサイクル」が成立することになります。ここにおいて愛の関係は、質的に飛躍・レベルアップし、新しい段階に入ることになります。愛のサイクルは、愛の関係が高まってできるものなのです。

愛のサイクルが成立するためには、すでに述べたように「霊的上位者」による摂理に一致した利他愛の行為が不可欠となります。一方的に与え続ける「利他的行為」が、サイクルづくりの一歩となるのです。愛のサイクルは、霊的上位者の純粋な利他愛から始まります。やがてそれが相手によって受け止められ、愛が返されるようになるにつれて、少しずつサイクルができ上がっていきます。そのサイクルがスムーズに展開するようになると、両者がともに相手のために積極的に与え合うようになります。

霊的上位者が“愛の主役”としてひたすら与え続けること、自分の好み・好き嫌いにかかわらず等しく与えること、これが「利他性の法則」であり、愛のサイクル確立のための第1法則です。霊的上位者が10~20与え、相手から1~2返ってくるところから、愛のサイクルが出発します。

愛のサイクルの確立

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