(3)愛の世界の出発点

――愛の関係成立の前提

1)愛する人と愛される人

相手がいて成立する愛の関係

愛情関係は、一人の人間だけでは成立しません。相手人間とは限らず動物や植物も含め)がいなければつくれません。神も、自分一人だけで存在していたときには愛を持つことはできませんでした。神は、霊界と大宇宙、そしてそこに住む天使や人間を創造して初めて愛を持つことになりました。

愛の関係は、相手がいてこそ初めて成立するものです。相手との交わりの中で築かれるものなのです。

愛する人と愛される人がいて愛は成立する

神が人類を愛し、人類は神から愛されている――神と人間は、こうした「愛し・愛される」という関係にあります。この「愛し・愛される」という関係が愛の出発点になります。

人間同士の場合も、愛する人と愛される人がいて愛の関係が成立します。そんなことは当たり前だと思われるかもしれませんが、このあまりにも単純な事実の中に、深い愛の真理と本質が潜んでいます。“愛”とは、愛する人と愛される人がいて始まるものなのです。

これは愛の関係をつくるためには、どちらか一方が「先に愛する立場」に立たなければならない、ということを意味します。神と人間の関係であれば、文句なしに神が愛する立場に立っています。人間と動植物の関係であれば、人間が愛する立場にあるのは明白です。

では、人間同士の場合はどうかということになると、ここに急に難しい問題が発生するようになります。なぜなら大半の人々が、「先に愛されること」を願うからです。

「愛し・愛される」という関係が愛の出発点

2)愛の関係成立の前提条件

霊的な上下関係の決定

愛の本質は「霊」であるため、愛は霊的に高いところから低いところに向かって流れていきます。愛は、より神に近い霊的に高い存在から低い存在に向かって流れていきます。「神の愛」という大もとの霊的エネルギーは、霊界の上層界から下層界へと流れ、末端の物質世界に至るようになっています。

そしてこれは霊界と地上界の関係だけでなく、人間同士の間においてもそのまま当てはまります。すなわち霊的エネルギーは、霊的上位者から下位者へと流れるようになっています。これが愛の関係において「先に愛する」ということなのです。

言うまでもなく、最も高次元の霊的立場に立っているのは「神」です。神と人間の間には、明確な霊的上下関係が成立しています。それと同様に人間同士の間で愛の関係を築く場合にも、霊的上下関係が明確でなければなりません。お互いが物質世界という平面的な場所にいても、霊的な上下関係を見極めることが必要となります。それが愛の関係成立のための“前提条件”となるのです。

人間同士の「霊的上下関係」

人間同士では、親と子の関係・上司と部下の関係・リーダーとメンバーの関係・教師と生徒の関係のように「霊的上下関係」が明確である場合もあれば、兄弟関係・友人関係・夫婦関係のようにはっきりしていない場合もあります。

実は後者については、固定した上下関係ではなく、状況に応じて変化する流動的な上下関係なのです。同じ人間があるときは先に愛する立場に立ち、別のときには愛される立場に立つというように上下関係が変化するのです。

このケースでも一つ一つの状況においては、どちらかが「先に愛する」という上下関係が成立しています。こうした流動的な人間関係をトータル的に見ると、結果的には平等な関係になっていることが分かります。愛の関係をつくるためには、必ずどちらかが先に与える立場に立たなければならないということであり、これが実に重要な意味を持っているのです。

霊的上位者が、愛のスターター

霊的上下関係が決まる、霊的上位の立場が明確になるということは、誰が先に愛するのかが明らかになるということです。それは後で述べる「愛のサイクル」が展開していくうえでの主役・愛のスターター(出発者)が決定するということです。

霊界・宇宙に行きわたるすべての愛のスターター(出発者)は神です。そして今、スピリチュアリズムの普及に携わっている霊界の高級霊たちは、地球人類に対して霊的上位の立場に立ち、愛のスターターとなっています。スピリチュアリズムは、霊界にいる高級霊たちが地上人を「先に愛する」ところから出発しています。それは霊界と地上世界にまたがる壮大な愛の関係を確立するためのプロジェクトなのです。

また、地上人の誰もが一人の守護霊によって守られ導かれていますが、その守護霊と地上人では、守護霊が愛のスターター、愛の関係をつくる主役の立場に立っています。しかし実際には守護霊の存在を知らない人々が多いため、守護霊と地上人の愛の関係は一方通行のつながりになってしまっています。ここに霊界の人々の悲しみがあるのです。

愛の関係をつくる主役

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