(8)間違った宗教教育による子供の悲劇

宗教は本来、霊性進化を促すための教育機関

宗教は本来、地上人類に対する「霊性教育」すなわち「霊的成長のための手段」として興されたものです。宗教こそが、人間の心の最も深い部分に直接働きかける力を持っています。したがって正しい宗教教育は、そのまま正しい育児・教育となり、霊性教育となるのです。

しかし、これまでの宗教は「霊的真理(霊的事実)」に対する無知ゆえに、地上人類を正しく導くことができませんでした。それどころか間違った教えを説き、それに従うことを強要して、人々の霊的成長を妨げてきました。宗教の役目とは正反対のことをしてきたのです。

地球人類は“スピリチュアリズム”の登場によって初めて、子供に対する正しい宗教教育を施すことができるようになりました。スピリチュアリズムという本物の宗教の登場によって、「真の霊性教育」が可能となったのです。

間違った宗教教育は、最大の悲劇を生む

正しい宗教教育は、そのまま正しい霊性教育になります。しかしこれまでは、その理想とは全く逆のことが行われてきました。間違った宗教によって多くの人々の霊的成長が阻害され、本来は生じるはずがない「カルマ」をつくり出してきました。

間違った宗教は、子供たちに対しても、真実とはかけ離れた宗教的教えを押し付けてきました。そして現在も、地球上のさまざまな国や地域において、間違った教えが子供たちに吹き込まれています。間違った宗教教育が、子供たちの心を“霊的牢獄”に閉じこめることになっています。

宗教は、「心の支配」という点で強い力を持ち、心の最も深い部分にストレートに影響を及ぼします。そのため幼い時期に宗教教育を通して間違った教えを植えつけられると、それが“潜在意識”の中に定着し、そのあと正しい教えに遭遇しても受け付けられなくなってしまいます。これは人間にとって“最大の悲劇”です。地上人生をすべて無駄にしてしまうだけでなく、死後における苦しみの原因をつくり出すことにもなるからです。間違った宗教教育は、子供たちの心に深い霊的傷を残すことになります。

霊界から見た、間違った宗教教育の悲劇

シルバーバーチは、間違った宗教教育がもたらす悲劇について次のように述べています。

「不幸なことに、そういう人はすでに子供時代にいわゆる洗脳をされています。これこそ宗教的であると信じられている概念を――実はそうではなく、ただの神学上の概念にすぎないのですが――疑うことを知らない、したがって全く無抵抗の柔軟な精神に植えつけられております。その柔軟な精神が、成人していくにつれて固くなっていきます。やがてその概念は、ただの概念として所有されている状態から、逆にその人間をがんじがらめに縛りつけるようになります。」

『シルバーバーチの霊訓(11)』(潮文社)p.120

「幼少時は精神が柔軟なために、教え込まれたものは思慮分別なしに吸収してしまいます。そういう時期に間違ったことを教えないように、正しい宗教的知識の中で個性を発揮させることが大切です。ご承知のように、幼少時に受け入れたものは潜在意識の中に固着し蓄積して、その後の真理の受け入れの障害となります。私たちが人間に真理を教え込もうとする際に一番困るのは、幼少時に受けた間違った教育が無意識のうちに抵抗させる働きをすることです。すっかり根づいてしまっているために、それを排除するのに大へんな時間がかかります。

また、時おりあるのが一種のカタルシス的反応です。つまり、成人してから、それまでに蓄積したものを良いものも悪いものも一切投げ棄てて、世の中のすべてのものへ反抗することに快感を覚えるようになります。」

『シルバーバーチの霊訓(11)』(潮文社)p.118~119

「教育に携わる人が、子供に真の自由を与えようという意図からでなく、古い神話や寓話への忠誠心を植えつけたいという願望から物事を教えていけば、それは子供の精神の泉を汚染することになります。知性が十分に発達していれば拒絶するはずの間違った教義を教え込むことは、宗教的観点から見ても教育的観点から見ても、その子にとって何の益にもなりません。

それだけでは済みません。そのうちきっといつか、魂が反発を覚える時期がまいります。無抵抗の幼い時期に間違ったことを教えてくれた人々に対して、背を向けるようになります。」

『シルバーバーチの霊訓 地上人類への最高の福音』(スピリチュアリズム普及会)p.111

宗教教育は、まさに“両刃の剣”です。正しく行えば、人間にとって一番肝心な霊的成長を促すことになりますが、間違って行われると、何よりも大切な心の聖域をズタズタにしてしまいます。地球上の宗教は「霊的無知」から間違った教えを説き、人間の魂(霊性)を牢獄に閉じ込めてきました。間違った宗教教育は、先進諸国に見られる知識偏重の教育や、この世の富の追求を目的とする教育とは比較にならないほど深刻な弊害をもたらします。

この弊害をなくして人間を霊的に解放するためには、“スピリチュアリズム”が広く地球上に普及していくことが必要です。それ以外に、間違った宗教を駆逐していく道はありません。

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