(4)苦しみ・困難に対する最大の武器

――霊的真理と霊的視野によるプラス思考

1)霊的真理によるポジティブ・シンキング

苦難に対する2つの方向性

――プラス思考とマイナス思考

私たちの人生には必ず、愛する人との死別の時が訪れます。人によっては不治の病や事故のために一生、入院生活を強いられることになったり、家族を看病するために余生の大半を費やすようなことになるかもしれません。また、会社が倒産したりリストラの対象になって突如、失業するような事態に遭遇するかもしれません。さらには、子供の非行や犯罪といった事件が持ち上がったり、家庭内の不和から非難の言葉を浴びるような辛い目にあったり、職場において誤解から除け者にされ、居場所がないような日々を過ごすことになるかもしれません。あるいは、スピリチュアリズムのために周りの人々から非難や中傷の的にされたり、前世のカルマによって思いもかけないような苦しい状況に置かれることになるかもしれません。

このように地上にいる以上、苦しみや困難は避けられないものですが、それに対する心がまえ・考え方には2つの方向性があります。1つは、苦難を良いものとして受け止めることです。自分の成長にとって必要なものとして肯定的にとらえることです。

もう1つは、苦難を不幸・不運と考え、否定的な思いを持ってイヤイヤ受け止めることです。何とかして苦難を避けようとあがいたり、人によっては“苦しい時の神頼み”に走るようになるかもしれません。しかし、そうしたマイナスの対処をするなら、せっかくの霊的成長のチャンスを失うことになってしまいます。苦難によって心がひねくれ、利己的な殻の中に閉じこもり、さらに苦しみを増大させていくようなことにもなりかねません。

スピリチュアリストと一般の人々との違い

地上で遭遇する苦しみの意義は、「霊的真理」があって初めて理解できるものです。「霊的視野」を持つことで苦しみを高いところから見下ろし、広い心で受け止めることができるようになるのです。これが霊的真理を知ったスピリチュアリストと、真理を何も知らない人間との違いです。

苦しみに直面すると、大半の人々は自分なりの世界に埋没してしまいます。そうした弱さは誰もが持っていますが、スピリチュアリストであるなら、そこでもう一度「霊的真理」に照らし合わせて視野を広げることが必要です。その努力をするかどうかが、真理を活用できる者とそうでない者との違いなのです。

「霊的真理」と「霊的視野」によるプラス思考が決め手

本章の(2)と(3)において、私たちが地上人生で遭遇する苦しみ・困難を分類し、それぞれに対する正しい対処法を見てきました。苦しみ・困難がいかなるものであれ、正しい対処をするうえで最も必要とされるのは――「霊的真理に忠実に従う」という姿勢です。苦しみ・困難を霊的真理に照らして考え、判断することが重要です。

これは「霊的真理」が、地上人生の苦しみ・困難との闘いにおける“最大の霊的武器”であるということを意味しています。霊的真理は、「霊的視野」をもたらします。霊的視野を持つことによって苦しみ・困難を別の角度から眺められるようになり、同じ状況の中にあっても、それは小さなものへと変化します。心の痛み・ダメージが、何分の一、何百分の一に減少します。それどころか、苦しみを“ありがたいもの”とさえ考えられるようになるのです。

霊的真理に基づく霊的視野は、強力な“ポジティブ・シンキング(プラス思考)”をもたらします。霊的視野が身につけば、物事を楽観的に考えられるようになり、霊的楽天性を持って地上人生を歩むことができるようになります。霊的視野とは、霊的真理にそった考え方・判断の仕方です。

地上人生において苦しみや困難と遭遇したときには、霊的視野が正しい方向性を示してくれます。霊的真理と霊的視野が、苦しみへの最も賢明な対処法を教えてくれます。苦難の最中にあって霊的視野を持つことができれば、挫けてしまいそうな辛い出来事も、必ず乗り越えていけるようになります。

2)苦しいときこそ霊的真理を最強の霊的武器とする

多くの人々は苦難に遭遇すると、まず人に相談したり頼ったりして、解決法を探そうとします。しかし「霊的真理」を手にしたスピリチュアリストは、苦難の解決法を人間ではなく、霊的真理に求めなければなりません。

「霊的真理」に自らを従わせる謙虚な信仰姿勢

魂の成長にとってのチャンスとも言うべき苦しみと遭遇したとき、自分なりの判断をし、感情のままに行動してしまうなら、せっかく真理を手にしたことの意味がなくなってしまいます。霊的真理は現実に用いるために与えられているものであり、活用しなければ何の価値もないことになってしまいます。心をむなしくして、自らをひたすら真理に従わせる謙虚な姿勢が必要とされます。

霊的真理を手にしながらそれに委ねきれず、真理は真理、自分は自分というような生き方をする人がいます。それでは、いったい何のための真理か分かりません。自己流の考え方を否定し、自らを霊的真理にそわせて初めて、霊的人生を歩み出せるようになるのです。今、私たちがなすべきことは、霊的真理を無条件に受け入れ、実行に移すことです。それが本当の意味での霊的人生であり、正しい信仰なのです。「そんなことを言われても霊界と地上では違うから……」とか、「自分の場合は特別なケースだから……」という言葉が出るうちは、決してカルマを切ることはできませんし、いつまでも苦しみが付きまとうことになります。いかなる苦しみに直面しても、自分を例外にしてはなりません。

霊的真理に委ねようとしない人は、本質的に自分が中心であり傲慢なのです。人間の本当の謙虚さは、ひたすら真理に従おうとする純粋な信仰努力の中で培われるものです。対人関係に問題が生じたときには、その原因を他に求めず、自らの考え方を変え、心を高めることによって乗り越えようとすべきなのです。

「霊的真理」にしがみつく

苦しみ・困難に遭遇すると、誰もが視野が狭くなり、苦しみだけに心が占められるようになってしまいます。しかし「霊的真理」を知っていることの真価は、そうした時にこそ発揮されるべきです。苦難に直面したときには、自分をひたすら真理に従わせる謙虚な姿勢が求められます。私たちに勇気を与え、「霊的視野」という広い心の持ち方を教えてくれる霊的真理にしがみつくのです。挫けそうになる弱い心を真理で立て直し、苦しみに立ち向かっていくのです。

苦難の最中にあるときには、紙に書き出したシルバーバーチの言葉を一日に何十回となく読み返し、心を整理することが必要です。誰もいないビルの屋上に行って、たった一つの霊的真理にしがみつき、自分の心を霊優位の状態に引き上げなければなりません。窮地に立たされたときには、多くの真理を読むことはできなくなります。今の自分にふさわしい一つの真理にしがみつくことが、最も賢明なあり方と言えます。苦境に陥ったときには、「霊的真理」にすがって乗り越えていくことがベストの方法なのです。そのための真理は、すでに十分すぎるほど与えられています。

しかし残念ながら現実には、シルバーバーチの言葉(高級霊の教え)を活かしているとは言えないような人が多く見られます。その最大の原因は、真理に対する謙虚さの欠如にあります。そして捨て身になる勇気がないことも、真理を活用できない理由です。せっかく霊的真理を手にしても、それを“霊的武器”として活用しなければ宝の持ち腐れです。真理を活用するのもしないのも、私たち次第なのです。真理を活かすことなく苦しみから逃げるなら、いつか別の苦しみを通して償わなければならなくなります。この世の人間や権威やお金につい頼りたくなるのが人情ですが、そうしたときこそ「霊的真理」にしがみついて乗り越えなければなりません。

状況によっては、今自分が持っている財産や仕事、地位や名声や人間関係を、すべて捨て去るほどの勇気(思い切りのよさ)が必要となります。人から馬鹿にされたり、悪人として見られることも平気でやり過ごせるような心の強さを身につけなければなりません。神と霊界の人々が真実を分かってくれていることを心の支えとして、勇気を振りしぼるのです。

一気に霊的真理を読んで「霊的視野」を取り戻す

霊的世界に対する実感を持てない(実感度が乏しい)ときには、なかなか霊的視野を持つことはできません。そうしたときには、徹底して「霊的真理」を読むことが必要です。1~2時間かけて一気に『霊訓』を読み通すことによって、「霊的視野」を取り戻すことができるようになります。それにともない、物質的視野から「肉体本能」の中に埋もれていた自分自身の姿に気がつくようになります。そして本当に大切なことは、地上の事柄ではなかったことに思いが至るはずです。背後の霊によって常にベストの導きがなされている事実を思い出し、自分なりの心配を捨て去ることができるようになります。そこまで“霊的感覚”を取り戻すことができれば、すでにこの世のさまざまな障害を乗り越えるためのエネルギーを得ているはずです。

「一気に霊的真理を読む」ということが大切です。そして先ほどまでの「物質的意識に閉じ込められていた自分ではなくなった」と、はっきり自覚できるところまで心を高めなければなりません。「地上より霊界が重要であった」という実感が湧いてくるまで読み通すことが必要なのです。そうした霊的実感が持てないうちにやめてしまうなら、真理は霊的武器にはなりません。霊的真理は「霊的視野」を取り戻すための武器として活用すべきものなのです。

3)霊的視野に立ったプラス思考(具体例)

苦しみに遭遇したときには、「霊的視野」に立った次のような考え方をして、自分の心を引き上げてください。これらの内容が実感できるなら、その瞬間に苦しみは小さなものへと変化するようになります。苦しみにとらわれそうになったときにはその都度、状況によっては一日に何度でも思い出し、自分自身にしっかりと言い聞かせ、広い心を取り戻してください。

  • 人間は裸で生まれ裸であの世に帰るのだから、この世かぎりのものに執着する必要はない。
  • 物質的なものや地上的な幸せは、取るに足りない。霊界に持っていけるのは“魂の清さ”だけである。
  • 金銭やモノは、魂の道具である肉体を維持するだけあれば十分である。それ以上は必要ない。
  • この世の名誉や名声や他人の評価には何の価値もない。人の目や人の評価など、どうでもいい。今こそ裸になり、見栄を捨て、新しく生き直そう。
  • 守護霊が常に自分と共にいて、最善の導きをしてくれる。本当の幸せに至れるように心を砕き、愛し続けていてくれる。自分は決して独りぼっちではない。守護霊にすべてを委ねて歩めば、ベストの道が開かれる。
  • 地上の苦しみは、ほんの一時のものである。苦しみを乗り越えれば、霊界では何十倍もの喜びがもたらされる。
  • 地上人生において苦しみのない人はいない。自分だけが苦しいのではない。何の問題もないように見える人、幸せそうに見える人も、みんな悩みを持っている。すべての苦しみは、実は良いものであり、自分の「魂の成長」にとって必要なものである。だから喜んで受け入れよう。
  • 過ぎ去ったことを、いつまでもくよくよと思い悩むのはやめよう。先のことをあれこれと心配し、取り越し苦労をするのもやめよう。今、「人々のために役に立ちたい!」という気持ちがあれば、これまでのすべてが良いことになる。

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