(5)「霊優位の闘い」における霊的武器

霊優位のための闘いは、本人の気迫がすべてを決定します。本人が霊優位の努力の重要性を自覚し、全力で立ち向かおうという意志がなければ達成できません。霊優位を求める意欲が高まれば高まるほど、その重要性を自覚すればするほど、「霊優位の闘い」に勝利することができるようになります。それは霊的成長に対する意欲の表れであり、より崇高な人生への憧憬であり、神に近づこうとする純粋な信仰心なのです。

霊的人生を歩もうとするスピリチュアリストは常に、霊優位に対する意欲とバイタリティーに満ち溢れていなければなりません。しかし現実は、重い肉体を持っているためすぐに“霊的エネルギー”を枯渇させ、バイタリティーを失ってしまいます。

では、どうしたら霊的エネルギーを高め、霊優位への意欲を持つことができるようになるのでしょうか。実はそれこそが“真の霊的修行”ということになります。「霊的エネルギーを高める努力のプロセス」――これが私たちスピリチュアリストにとっての霊的修行であり霊的訓練なのです。その霊的修行を成功に導くためには霊的な武器・手段が必要となります。霊優位の闘いに勝利するためには強力な味方が不可欠なのです。それが「霊的真理」「祈り」「一時的な禁欲」「スピリチュアリストとの霊的交わり」です。

以下では、それら一つ一つについて説明していきます。

①霊的真理

霊優位の闘いにおける最大の武器は「霊的真理」です。シルバーバーチの霊訓などをじっくりと(状況によっては数時間)読む中で、自然と霊的エネルギーが蓄えられ霊的視野が開かれるようになっていきます。霊的視野が持てるようになると、それまでの物質的意識・肉体本能的意識・この世的意識が、あっという間に小さくなっていきます。そして神と霊界と高級霊を意識できるようになります。その時点に至って初めて、自分の心が霊的エネルギーで満たされていることに気がつくはずです。

霊的真理に深く感応できる人は、多くの霊的エネルギーをすばやく取り入れることが可能です。

②祈り

霊的真理の次に威力のある武器は「祈り」です。霊的エネルギーがなくなってバイタリティーを失ったとき、深い祈りの世界に入っていくことで、霊界から霊的エネルギーが補給されるようになります。守護霊を通じて、あるいは背後霊を通じて“神の愛”が届けられるようになります。

深い祈りができれば霊的エネルギーがもたらされ、萎えた心に気力が蘇ってくるようになりますが、そうした深い祈りをするためには気迫が必要とされます。すなわち「霊的エネルギーが満ちていなければ深い祈りはできない」ということであり、祈りが手段なのか目的なのか明瞭でなくなり、堂々めぐりに陥ってしまいます。

もし深い祈りができないときには、無理に祈ることはやめて、まず「霊的真理」をじっくりと読むようにします。これがベストの方法です。霊的真理を読む中で徐々に霊的エネルギーを蓄え、それから祈るようにすれば、深い祈りが可能となります。そして祈りを通じて、さらに霊的エネルギーを取り入れることができるようになります。

深い祈りができないときには、先に肉体を整える方向で努力することも勧められます。祈りに集中できないときは大抵、肉体のエネルギー循環が滞っています。地上人の霊体と肉体は一体化しているため、肉体の不調和がストレートに「霊体」と「霊の心」にまで影響を及ぼします。したがって高い霊的意識を持つためには、健全な肉体が重要な要因となるのです。深い祈りに入っていけないときには、運動や労働によって汗を流し、肉体の調和を取り戻すのがよいのです。入浴なども効果的です。

また自然の中に身を置いて、気分をリフレッシュすることもよい方法です。一人静かに自然界の霊気に浸っていると、「肉主霊従」に陥っていた心が「霊主肉従」へと変化するようになりますただしそれにはわざわざ時間を割いて遠方まで出かけなければならないため、日常的に実践するのは難しいかもしれません)。良い音楽を聴くことも効果的です。こうした気分転換こそが本来のレクリエーション(再び霊的意識を取り戻す方法)なのです。

騒がしい環境や慌しい時間は、霊的意識を薄れさせます。またムダ話をして憂さ晴らしをするようなことは、霊的成長に逆行します。「霊主肉従」の状態をつくりそれを保つためには、何よりも静かな環境と落ち着いた時間が大切なのです。意識してそうした時間を持つように心がけるべきです。

③一時的な禁欲

「霊優位の闘い」に勝利するために知っておかなければならない重要な点は、肉体本能に翻弄され乱れた生活を送っているかぎり霊優位を達成することはできない、ということです。本能的欲望にどっぷり浸かっている中で、真理を読んだり深い祈りなどできるはずがありません。「霊優位(霊主肉従)」とは、純粋な霊的世界への参入に他なりません。物欲・性欲・肉欲といった本能的欲望を適切にコントロールできてこそ、純粋な霊的世界に入ることが可能となるのです。

自分の生活が肉体本能に支配されていると思い当たる人は、まずそうした状況を改善することが大前提です。そのためには節食や短期の断食などが勧められます。「一時的な禁欲」は、肉体本能に傾斜してしまった人には大きな効果をもたらします。

④スピリチュアリストとの霊的交わり

霊的エネルギーを補充するための確実な方法の一つが、「信仰の仲間との霊的交わりを持つ」ということです。高い霊的世界を志す仲間(スピリチュアリスト)との交わりは、多くの霊的エネルギーをもたらし、霊的人生への意欲を高めてくれます。「読書会」は、そうした目的に合致したものと言えます。

ただしその際に注意すべき点は、仲間との集まりを決して世俗的なお喋りの場所にしない、ということです。もしこの世的な話題に花が咲いてしまうなら、せっかくの霊的エネルギーを補充するためのチャンスは台なしになってしまいます。

昔の宗教者は「霊優位の闘い」のために、隠遁したり世俗との交わりを断ってきました。しかし現在では、世俗にあってそれに染まらない生き方、物的環境にあって本能に翻弄されない生き方が求められています。現在は昔に比べ本能的な誘惑が多くなった分だけ、さらなる努力が必要とされるようになっています。物質文明の発達によって人間は、肉体の酷使からは解放されるようになりましたが、それとは反対に霊的にはより厳しい状況に直面するようになっています。この点にも「神の摂理」による絶対公平が貫かれています。)

霊優位のための霊的武器

  • 霊的真理
  • 祈り
    祈りの準備として、運動や入浴によって肉体の調和をとる。自然との触れ合いや音楽によって気分転換をはかる
  • 一時的な禁欲(節食・断食など)
  • スピリチュアリストとの霊的交わり(読書会など)

こうした“霊的武器”を上手に活用することによって、霊的エネルギーが取り入れられるようになります。そしてその霊的エネルギーが「霊の心」に流れ込み、そこが充電されます。そこから顕在意識の中の「霊的意識」に霊的エネルギーがもたらされることで霊的意識が活性化され、心全体が霊優位の状態に変化するようになるのです。

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