(4)真の宗教とは
――スピリチュアリズムが示す宗教の定義
霊界における唯一・共通の宗教の様子から、「真実の宗教とはどのようなものなのか、宗教とは本来どのようなものでなければならないのか」が明らかにされます。霊界の宗教を通して、宗教のあるべき姿が明確にされます。それはまさにスピリチュアリズムの「宗教観」のエッセンスであり、真の宗教の定義と言えます。
霊界の宗教の様子から明らかにされた“宗教の定義”とは、次のようなものです。
①宗教とは、「大霊(神)の摂理」に一致した生き方(日常生活)に他なりません。宗教とは、わざわざ特定の宗教施設や教会に足を運んだり、特定の宗教組織(教団)の信者になることではありません。真の宗教には、組織も施設も教義も宗教形式も不要です。
②宗教とは、大霊の摂理を実践することです。その摂理の中で重要なものが、「霊優位の摂理」と「利他性の摂理」と「カルマの摂理」です。したがって宗教について具体的に言えば――「物質にとらわれない生き方」「モノより霊的なことを優先する生き方」「利他的な行為(サービス)を積極的に実践する生き方」「自分の利益を後回しにして、周りの人々や人類全体の利益を優先する生き方」そして「いかなる苦しみも霊的成長のチャンスと思って甘受し、耐え忍ぶ生き方」ということになります。こうした摂理に一致した生き方が、真の宗教・信仰なのです。
③宗教とは、霊的成長を目的とした人生・霊的成長を目指す生き方のことを言います。「霊的成長」こそが人生の目的であることを自覚し、日常生活において常に「霊的成長」を意識しそのために努力すること――これが真の宗教・信仰です。霊的成長のための努力とは、具体的には「霊を物質よりも優位に置く努力(霊主肉従の努力)」と「利他愛(無償のサービス)実践の努力」のことです。
④宗教とは、「霊的同胞世界(神を共通の霊的親とする一大家族)」を建設するための営みです。地球人類のすべてが等しい「神の子供」であることを自覚し、“利他愛”という霊的絆を強め、神を中心とする霊的同胞世界の建設に尽力することです。霊的兄弟姉妹として人種・民族・国家の壁を乗り越え、人類の霊的一体化を求め、積極的に努力することが真の宗教・信仰なのです。
以上が、霊的観点から見たときの“宗教の定義”であり、真の宗教の具体的な内容です。何とシンプルで平易な内容でしょうか。本当の宗教とは――「神の摂理に一致した日常生活を送ること」であり、「全人類が霊的絆(利他愛)で結ばれた世界を造ること」であり、その結果として「自分と人類全体の霊的成長を促すこと」に他なりません。そこには、現在の地球上に見られるような宗教組織は必要ありません。神の摂理にそった生き方がそのまま宗教であり信仰であるため、宗教組織も宗教形式も巨大な建造物も不要なのです。
シルバーバーチは次のように述べています。
「私たちがこうして地上世界へ戻って来たのは、宗教というものを実際的な日常のものにするため、と言ってもいいのです。もう、信条だの、形式だの、儀式だのと結びつける時代ではありません。宗教とは人のためになる行為(サービス)のことであり、人のために役立つことを志向させるものは、何であってもよいということを、ありとあらゆる手段を講じて主張するものです。」
地球上の宗教組織はいずれも、教義や教団独自の決まり事をつくり、儀式をつくり、それを守ることが正しい宗教・正しい信仰であると教えてきました。しかし、それはすべて間違っています。地上の宗教は組織をつくることによって“宗教エゴ”を増大させ、人々の魂を牢獄に閉じ込め、霊的成長という真の救いから遠ざけてきました。
真の宗教・信仰は、霊界においてすでに確立されています。地球人類が手本とし、目標とすべき宗教・信仰は、霊界の人々によって行われています。スピリチュアリズムは、霊界における唯一の宗教を地上にもたらそうとする運動です。スピリチュアリズム運動の勝利はすでに確定しており、地球人類は今後永い時をかけて、霊界の宗教・信仰に一歩一歩近づいていくことになるのです。