(1)人類の敵と言うべき地上の宗教組織の実態
地球人類を“霊的牢獄”に閉じ込めてきた敵
霊的観点から見ると、すなわち霊界人の目から見ると、地球上の宗教はすべて失格です。合格する宗教組織(教団)は、一つもありません。合格するどころか、宗教は人類を“霊的牢獄”に閉じ込め、地球上にさまざまな悲劇をもたらし、人々を不幸に陥れてきた張本人です。地球人類の魂を救済しようとする霊界の人々にとって、地上の宗教は“百害あって一利なし”という有害な存在です。それは人類を地獄に追いやり、暗黒世界をつくり上げてきた元凶であって、まさに“人類の敵”と言うべきものなのです。以上が、霊界から見たときの地上の宗教の実態です。
地上の宗教がこれほどまでに有害な存在、人類の敵と言わざるをえない存在に堕ちてしまったのは、宗教自体が「霊的無知」であることと、宗教が“組織化”をはかるところに原因があります。
以下では、地上の宗教組織の問題を掘り下げて見ていきます。
宗教組織と教団
人間のいる所には、常に宗教が存在してきました。人間と動物を区分する大きな基準は、宗教の有無です。人間だけが宗教を持ち、人間以外の動物が宗教を持つことはありません。地球人類は、いつの時代にも宗教とともにあったのです。
現在、地球上には70億を超える人間が生活しており、その多くがキリスト教やイスラム教・ヒンズー教・仏教・儒教といった特定の“巨大宗教”の信者で占められています。それらの巨大宗教の中には、いくつもの宗派が含まれています。それぞれの宗教・宗派は異なった成立過程を持ち、“宗教組織”を形成して活動を展開しています。宗教組織は、創始者(教祖)・教義(宗教思想)・儀式・布教という要素から成り立っています。教祖・教義・儀式・布教は、宗教組織である教団を構成する必須条件と言えます。
宗教組織(教団)は、自分たちの正義と優秀性と特別な使命を主張し、その影響力を拡大するために活発な布教活動を展開しています。いずれの教団も、自分たちの霊的影響力(霊的版図)を拡大しようとしてしのぎを削っています。それがしばしば宗教対立や宗派対立を引き起こし、時には戦争に至ることもあります。こうして地球上では今もなお、宗教に由来するさまざまな紛争や戦争が続いており、人類に悲劇をもたらしています。
なぜ“宗教組織”は大きな罪を犯すのか
――宗教組織の問題点
地上の宗教組織は無益であるどころか、人類の魂を霊的牢獄に閉じ込めて、霊的成長の道を閉ざすという大きな罪を犯しています。なぜ宗教組織は、大罪を犯すことになるのでしょうか。それには、さまざまな理由(原因)が考えられます。大罪を犯す原因として真っ先に挙げられるのは、宗教が「霊的無知」であるということです。霊的無知から、間違った教義や宗教組織にとって都合のいい人工的教義をつくり出し、その偽りの教義に基づいて宗教組織(教団)を形成しているのです。さらに“洗脳”によって教団への盲信・狂信を強要し、信者の魂を牢獄に閉じ込めてしまっています。
以下では、こうした“宗教組織”にまつわる問題について一つ一つ見ていきます。
「霊的無知」から“間違った教義”をつくり出す
地上に存在するいずれの宗教組織(教団)も、霊的事実を正しく理解していません。霊的事実が全く分かっていない「霊的無知」の状態にあります。霊的無知とは、死や死後の世界・神・霊魂といった霊的な事柄に対する真実を知らないということです。その結果、真実とかけ離れた間違った教義がつくられることになります。宗教組織(教団)のほとんどが、死や死後の世界・神・霊魂などに関する見解を教義の中に組み込んでいますが、その内容の大半は霊的事実とは大きく異なっています。
それにもかかわらずほとんどの教団は、教祖(創始者)が受けたインスピレーションや啓示を完全な真理であると思い込み、自分たちだけが真理を手にしている唯一の存在であると主張します。それを受け入れてきた信者たちは死後、霊界に入って初めて、地上で絶対的な真理であると信じてきた教義が間違いだらけのものであったことをはっきりと理解するようになるのです。
宗教組織にとって都合のいい“人工的教義”をつくり出す
多くの宗教組織が、間違った知識に基づいて教義をつくり上げ、その教義を神の啓示として絶対視し、信者に強制しています。教祖が受けたインスピレーションや啓示の中には部分的に正しい内容も含まれてはいますが、その一部分の真実も、時間の経過とともに歪められていきます。組織にとって都合のいい教義につくり替えられていきます。
教義が真実の神の声・霊的事実であるなら問題はないのですが、地上の宗教教義のほとんどは組織にとって都合のいい人工的な教えに入れ替わっています。そして単なる人間がつくり出したにすぎない教えが“神の言葉”として絶対視され、権威を持ち、それによって教団の信者たちは間違った方向に扇動されることになります。
“間違った教義”に基づく宗教組織の形成
このように大半の地上の宗教は、間違った教義に基づいて教団(宗教組織)を形成しています。ところが教団は信者に対して、神によって降ろされた完全な真理(教義)に基づいてつくられた自分たちの組織(教団)こそが唯一の正しい存在であり、神に最も近い立場にあり、人類を救済する特別な使命を担っていると信じ込ませます。その結果、信者にとって教団は、神と同じ権威を持った絶対服従すべき存在となります。そして教団に忠実であることが神に忠実であるとされ、教団の指示・命令に従うことが正しい信仰であるということになってしまいます。こうして宗教組織は神になり代わり、神の権威によって信者を支配するようになるのです。
間違った教義を土台とする教団が「神」となることによって、信者たちは偽りの教えに支配され、“盲信・狂信”という霊的成長とは無縁な方向へ追いやられることになります。
宗教組織への盲信・狂信と“魂の牢獄化”
教団では常に間違った教義に基づく“洗脳”が行われ、教団への盲信・狂信が正しい信仰とされ、信者はそこから一歩も出られなくなって“魂の牢獄”に閉じ込められてしまいます。宗教組織の信者となった人間は、教団を「神」と同一視する盲信者・狂信者になります。教団を離れようとすると“地獄に堕ちて不幸になる”と脅され、恐怖から組織に縛り付けられることになります。
こうして信者たちは、教団の“霊的奴隷”として生きるようになり、人間にとって最も大切な霊的成長を犠牲にし、人生をムダに過ごすことになってしまいます。間違った教義に基づく宗教組織は、まさに人類にとっての“最大の敵”と言うべき存在なのです。
「宗教の教義(信条)による束縛は、地上界の悲劇の一つです。それは重い疫病よりも悪質で、肉体の病気の苦しみよりも、はるかに酷い苦痛をもたらします。なぜならそれは「魂の病」を生み出し、霊に目隠しをしてしまうからです。」
“宗教エゴ”を増大させ、魂を貶める信者たち
一方、宗教組織の信者となった人間は、自分たちの教団だけが正しくて、他の宗教はすべて間違っていると思うようになります。自分たちの教団こそが唯一、神に認められた存在であって、自分たち以外の宗教は神の願いに反する敵対者と見なすようになります。そして自分たちを非難したり批判する宗教に対しては、神に反逆し、神に敵対する“悪なる勢力”という烙印を押し、反発するようになります。
教団の信者は宗教エゴ・組織エゴに基づく“洗脳”の中で、低俗な自尊心・優越心・虚栄心をくすぐられながら信仰を続けることになります。その結果、敵意や憎悪や他者に対する裁きの思いをふくらませるようになり、エゴ性を増大し、自らの“魂”を貶めることになります。信仰熱心な人間ほど、他人や他の宗教に対して闘争心を燃やすようになり、攻撃的・暴力的になっていきます。愛と許しを説き、博愛主義を唱えながら、実は最も偏狭な独善性と自己愛にとらわれた人間になってしまうのです。
宗教組織は、地上の悲劇・不幸の“元凶”
このようにして本来は、お互いの心を一つにし、地上に平和をもたらすはずの宗教が“元凶”となり、宗教同士の争いや戦争が引き起こされることになります。人類に平和をもたらすはずの宗教が戦争の原因となり、地球上にさまざまな悲劇と不幸を発生させ、人類を苦しみのどん底に突き落としてきました。宗教はその役目とは反対に、人間同士の心を離反させ、敵対させ、憎悪を増大させてきました。今この時も、“宗教エゴ”から発した悲劇が地球上を覆い尽くしています。
地球上の悲劇や不幸の大きな原因は、宗教組織の洗脳と宗教組織同士の争いにあります。もし地球上に宗教組織がなかったなら、世界中の大半の悲劇は消滅することになるでしょう。地上の宗教組織はまさに、悲劇と不幸を引き起こし、人々に苦しみをもたらす“元凶”となっています。
「霊的無知」から発した間違った教義と、その教義に基づく宗教組織(教団)の洗脳によって人々は“霊的牢獄”の中に閉じ込められ、せっかくの地上人生を台なしにしています。地上の宗教組織が犯している大罪は、霊界から見ると一目瞭然ですが、地上人にはその不正や間違いが分かりません。
すべての地上の宗教は、霊的に見ると“不合格”
霊的観点から見たとき、すなわち霊界にいる霊たちの目から地上世界の宗教を眺めたときの見解をまとめると、次のようになります。
①すべての地上の宗教は「霊的無知」の状態にあり、霊的事実が全く分かっていない。その意味で、地上には真実を説いている宗教は一つもない。いずれの宗教も人類に間違った教えを説いている。多くの宗教は霊的事実とかけ離れた内容を真理であるかのように見せかけ、人々を騙している。
「宗教についての真実を申せば、真理のすべてを説いている宗教など有りえないということです。どの宗教も、真理の光のほんの一条しか見ておりません。しかも悲しいかな、その一条の光すら、永い年月のうちに歪められ、狂信家によって捏造されております。」
「基本的な教えがすべての宗教から、一つの例外もなく、忘れ去られているのが事実ではないでしょうか。厖大な量の教義と神学と教条主義――要するに宗教とは何の関係もない、そして宗教として何の価値もない、人間の勝手な説に置き換えられているのです。」
②地上の宗教は現在に至るまで、「人類を救う」という本来の使命(*)を果たしてこなかった。人類の救済という点から見たとき、地上には宗教として合格するものは一つもない。
*宗教の使命は、「人間の霊的成長を促す」という一言に集約されます。霊的成長の道が示されることが、霊的存在である人間にとって“真の救い”なのです。宗教の使命については、別の箇所でも詳しく説明しています。
③地上の宗教はこれまで、人類を救済するという使命を果たしてこなかったどころか、人々の物欲とエゴ性を増大させ、霊的成長を妨げてきた。「人類を救いから遠ざけてきた」という意味で、地上の宗教組織は人類にとっての“最大の敵”と言うべき存在である。
④地上の宗教は、宗教組織を形成することによって“宗教エゴ”を増大させ、人間同士の対立を招いて分断させ、戦争を引き起こし、大きな悲劇を発生させてきた。宗教は、地上世界の悲劇の“元凶”となってきた。
⑤地上の宗教は、霊的に見るとプラスの面はほんのわずかしかない。マイナス面のほうが圧倒的に多く、悲劇と不幸を生み出す“最大の原因”となってきた。その意味で地上の宗教は、むしろ存在しないほうが人類のためである。地上の宗教は、すべて消滅することが人類にとって望ましい。
以上が、霊界から見た地上の宗教についての見解です。あまりにも厳しい指摘に唖然とするかもしれませんが、霊界から見ると、まさにその通りなのです。地上の宗教はすべて、霊的に価値がないどころか、マイナスだけを引き起こす有害な存在です。霊界から見たとき地上の宗教は、まさに“人類の敵”以外の何ものでもありません。
宗教がつくり出した“霊的牢獄”から地球人類を救い出すためには、悲劇の元凶となってきた宗教を地上から追放しなければなりません。人類を有害な宗教組織から開放し、魂に自由をもたらすために、霊界人によって救済計画が立案されました。それが「霊界主導の地球人類救済計画」――すなわち“スピリチュアリズム”なのです。
「その仕事(人類を救済する仕事)の前途に立ちはだかるのは、誤った宗教的教義によって築かれた巨大な組織です。何世紀にもわたって続いてきたものを元に戻さなくてはなりません。偽りの教義を土台として築かれた上部構造を取り壊さなくてはならないのです。」