(1)霊的真理の普及活動の意義

――最高の利他愛の実践

スピリチュアリズムは、地球上のどの宗教も成し遂げられなかった「真の霊的同胞世界」、神を共通の霊的親とする「一大霊的家族」の確立を目的としています。血縁や物質的利害関係を土台としてきたこれまでの利己愛支配の世界を、霊的関係を土台とした世界に生まれ変わらせることがスピリチュアリズムの最終目的です。

スピリチュアリズムの壮大な理想を達成するためには、地球上に「霊的真理」を行きわたらせることが必要です。真理によって人類の「霊的無知」を克服し、物質至上主義と利己主義を駆逐してこそ、地上世界から悲劇をなくすことができるのです。そのため霊界側は全力を傾けて、地上に霊的真理を普及させようと働きかけてきました。「霊的真理の伝道活動」は、スピリチュアリズムにとっての核心であり、最も重要な部分なのです。

ここではスピリチュアリズムにおける「霊的真理の伝道の意義」について理解を深めていきます。そして真理の伝道は、スピリチュアリストにとっての使命であり、義務であることを確認していきます。

1)霊的真理の伝道は、最高の利他愛の実践

スピリチュアリズムの伝道と、一般のボランティア活動の違い

自分より恵まれない人々のための無償の奉仕と言えば、誰もがボランティア活動を思い浮かべることでしょう。ボランティア活動は、まさにスピリチュアリズムが教える利他愛であり、とても素晴らしい行為です。

しかし同じ利他愛の行為であっても「霊的観点」から見ると、スピリチュアリズムの霊的真理の伝道と一般のボランティア活動とでは、大きな違いがあります。奉仕内容の次元において、決定的な違いがあるのです。

スピリチュアリズムが与えようとしているものは、地球上の悲劇を駆逐し、人類に永遠の救いをもたらす「霊的真理」です。イエスをはじめとする高級霊たちが大軍団を組織して地上に働きかけてきたのは、人類を苦しみから救うためでした。地上世界の悲劇は、人類の「霊的無知」に根本原因があります。霊界の人々は、地上人に霊的真理を教えて悲劇の元凶である霊的無知を克服し、地上から苦しみを駆逐しようと考えたのです。これがスピリチュアリズムによる救済活動です。

スピリチュアリズムは、地上に真理をもたらして霊的暗闇の中で苦しむ人々を救い出そうとする「霊界主導の人類救済プロジェクト」です。スピリチュアリズム運動において最も重要な点は――「霊的真理を地上世界に普及させること」なのです。

こうしたスピリチュアリズムの本質を理解すると、世の多くの人々に先駆けて「霊的真理」と出会った人間が、真理の普及を第一に考えず、それ以外の奉仕活動を優先することは明らかに間違っていると言えます。「霊的真理」を知った人間が、伝道を後回しにして世間一般のボランティア活動に参加することは、霊界の人々の誠意と期待を裏切ることなのです。

霊的真理の伝道は、地上世界における最高次元の利他愛の実践です。霊的真理を伝えることは――「神の代理者として人類に神の愛を注ぐ」という崇高な行為なのです。

「つまり皆さんは物質界で最大の光栄――霊的知識を人のために役立てることができるという光栄に浴していらっしゃるのです。」

『スピリチュアリズムによる霊性進化の道しるべ』(スピリチュアリズム普及会)p.94

霊的真理の伝道は、最高次元の人類愛の実践

霊的真理の伝道ほど、次元の高い利他愛の行為はありません。それは地上の人間として施すことができる最高の愛であり、最も価値ある奉仕です。マザー・テレサは、無私の精神から苦しむ人々のために人生を捧げましたが、霊界という本来の世界での救いを直接人々に示すことはできませんでした。マザー・テレサの魂は、その無償の愛の行為によって高められ、霊界に行ってからはキリスト教の間違った教理の影響を速やかに拭い去ることになりました。しかし地上にいたときには、霊界におけるストレートな救いを人々に教えることはできませんでした。

その点、スピリチュアリズムと出会った私たちは、本当に恵まれた立場に立っています。マザー・テレサ以上の救いを人々に伝えることができるからです。私たちスピリチュアリストには、「霊的真理」という最高の宝を他人にもたらすことができるという特権が与えられているのです。

病気で苦しむ人間を心霊治療で癒すことは、大きな人助けです。無償で病気を治してあげることは偉大な奉仕であり、純粋な利他愛の行為です。しかしシルバーバーチは、肉体の病気を治すことよりも「心(魂)の覚醒」を促すことの方が、ずっと大切であると教えています。病気が治っても心が変化しなければ、その治療は失敗であるとまで言っているのです。これは「霊的真理」を伝えることが、どれほど大きな人助けであるかを示しています。真理によって“霊的救い”をもたらすことは、いかなる肉体レベル・物質レベルの奉仕にも優る、最高次元の人類愛の実践なのです。

霊的真理の伝道は、最高に神を愛すること

霊的真理の伝道は、地球上の全人類に対する愛の実践です。地球上のすべての人々と直接的な関係を結ぶことはできませんが、自分の目の前にいる人間を全人類の中の一人として、全人類の代表として深く愛することにより、全人類を愛することになるのです。

シルバーバーチは次のように述べています。

「大霊に奉仕するといっても、それは大霊の子である地上の同胞に奉仕することになります。同胞のために役立つことをしているとき、神の無限の腕に抱かれ、その愛に包まれ、それが完全なる安らぎをもたらしてくれることになります。」

『シルバーバーチは語る』(スピリチュアリズム普及会)p.83~84

このシルバーバーチの言葉は、「神を愛するとは人類を愛することであり、人類を愛するならば神を愛することになる」ということを意味しています。霊的真理の伝道は、最高の人類愛の実践です。したがって私たちが霊的真理の伝道に励むならば、神を最高に愛することになるのです。人々の霊的救いを願って真理を伝えることは、最も次元の高い神への愛の行為と言えるのです。

2)霊的真理の伝道は、スピリチュアリストの義務

霊的真理の伝道は、スピリチュアリストとしての義務

スピリチュアリストは、いまだ一般の人々が知らない真の人類救済の方法を知っているという特別な立場に立っています。スピリチュアリストは、他の人々にはない特別な人助けのチャンスを手にしています。「霊的真理の伝道」という、最高次元の奉仕に携わることができる特権を与えられているのです。これは霊的真理の伝道は、スピリチュアリストとしての義務であることを示しています。

「自分が手にした真理を次の人へ伝えてあげる――それが真理を知った者の義務です。それが摂理なのだと私は理解しております。」

『シルバーバーチは語る』(スピリチュアリズム普及会)p.35

霊的真理の伝道に対する姿勢が、本物のスピリチュアリストかどうかを決定

スピリチュアリストは、霊的真理を一人でも多くの人々に伝える使命を持っています。地上の人間に対して、最高次元の奉仕と人助けをする特別な役割を担っているのです。その人が本物のスピリチュアリストであるかどうか、霊的真理の真の実践者であるかどうかは、「霊的真理の普及活動」に対する姿勢によって明らかにされます。

霊的真理を手にしたからといって、スピリチュアリストになったわけではありません。霊界の人々と同じように献身的に真理の伝道に携わることによって初めて、スピリチュアリストになれるのです。霊的真理を知りながら、それを他人に伝えようとしない人間は、本物のスピリチュアリストとは言えません。

霊的真理の伝道をしないスピリチュアリストは“エゴイスト”

霊的真理を知りながら伝道を最優先しない人は、大きな“利己主義”の過ちを犯すことになります。どのような奉仕よりも優れた人助けの方法を知りながら、自分なりのボランティア活動で良しとすることは、スピリチュアリズムに導かれた人間には許されません。物質レベルの人助け・肉体レベルの奉仕は、スピリチュアリスト以外の人間が代わりを務めることができますが、霊的真理を伝え、霊的救いの道を示すことは他の人にはできないのです。最高の奉仕ができる立場とチャンスを与えられながら、わざわざ低いもので満足することは間違っています。

“人のために役立つことなら何でもいい”というのは、いまだ真理を知らない人間だけに言えることなのです。もしスピリチュアリストが他のボランティア活動をしたいなら、霊的真理の伝道を最優先し、余った時間をそれに当てればよいのです。霊的真理を知りながら、真理の伝道とは関連性のないボランティア活動をしたところで、霊的価値はありません。

シルバーバーチは――「自分の関心事は真理を普及することだけであり、その大事業から外れたことをする人は、本来同胞のために捧げるべきエネルギーをムダ使いしている」『古代霊シルバーバーチ 不滅の真理』(ハート出版)p.16)と述べています。シルバーバーチは、霊的真理を知りながら、それを自分の内にとどめている人間を“エゴイスト”と呼んでいます。

私たちは、そんなエゴイストになってはなりません。自分が霊的真理を知ったというだけで、満足するようなことがあってはなりません。他の人々よりも先に真理を知ったということの重大性を、決して忘れてはならないのです。スピリチュアリストはすでに、一般の人々とは違った立場に置かれていることを自覚しなければなりません。

高級霊の愛の姿勢に倣って

霊界の高級霊がスピリチュアリズムを興こしたのは、地球人類に「霊的真理」を教え、あの世における“真の救い・霊的救い”をもたらすためです。霊界の全高級霊がこの「地球人類救済活動」に参加し、見返りを一切求めることなく献身的に従事してきました。「ただただ地球人類を救いたい」という純粋な思いから、現在までひたすら働きかけてきたのです。そして幸いなことに私たちは、真っ先にその恩恵にあずかり、霊的真理を手にすることができました。

そうした私たちがなすべきことは、霊界の人々と同じように一人でも多くの人間に真理を伝え、本当の生き方・真の幸せを教えてあげることです。霊界の人々が私たちのために献身的な導きをしてくれたように、私たちも他人の霊的救いのために力を尽くさなければなりません。

地上のスピリチュアリストは、霊界の高級霊たちの愛の姿勢に倣い、喜んで「霊的真理の普及計画」に参加すべきです。自分のすべてを真理普及のために捧げ、霊界の道具としての人生を全うすべきなのです。

霊的真理の伝道をライフワークにする

一人でも多くの人に霊的真理を伝えることは、私たちスピリチュアリストにとってライフワークと言えます。「霊的真理の伝道」こそ、人生で最も重要な仕事です。年の若い人も、すでに老いの年齢に至った人も、自分に与えられた地上人生のすべて、余生のすべてを真理普及のために捧げようと決心しなければなりません。

生計を立てるための仕事は、ライフワークではなく“真理普及のための手段”と考えるべきです。地上で生活していくための仕事は、“伝道人生”を支えることができるなら何でもよいのです。

霊的真理の伝道のための犠牲を喜んで受け入れる

利他愛の実践、とりわけ「霊的真理の伝道」には、犠牲が要求されます。その犠牲とは、自分のしたいことを後回しにして、自分の時間とエネルギーを真理普及のために優先的に傾けることです。家族へのサービスを後回しにしたり、友人との付き合いや趣味の時間を削ったり、伝道の時間を生み出すために仕事を替えたりするということです。「霊的真理の伝道」を人生の中心に位置づけし、それを実際に最優先するということなのです。

もし何ひとつ犠牲にすることなく、空いた時間に、片手間に伝道するというなら、それは本当の利他愛の行為とは言えなくなります。「真の利他愛」は、現実の犠牲によって示されるものだからです。

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