(2)神の摂理(法則)による宇宙・物質界の創造と支配
――神の摂理によって創造された物体と物質界
一口に神の摂理(法則)といっても、さまざまな次元の摂理があります。霊的世界を支配する霊的摂理、生命界を支配する生命法則、物質世界(宇宙)を支配する物理法則です。
ここでは宇宙という物質世界を創造し、支配している「物質次元の摂理(物理法則)」について見ていきます。
過去から永遠の未来にわたって存続する神の法則
物質世界(宇宙)を支配する摂理は、神が137億年前に宇宙を創造されて以来、現在までずっと働き続けています。そしていったん決められた神の摂理(法則)は、未来永劫、宇宙を支配し続けることになります。
科学は、神が137億年前に造られた法則を、少しずつ探り出そうとしてきました。新しい法則を発見すれば大騒ぎし、その科学者はノーベル賞の候補になりますが、新発見された法則は、いずれも宇宙創造時に神が準備したものだったのです。今まで気がつかなかった、というだけのことなのです。いまだに人類には知られていない幾つもの法則があり、今後の科学の発展によって発見されていくことになるでしょう。しかしそうした法則もすべて、はるか以前にすでに神が準備していたものにすぎないのです。
「宇宙の全法則は無窮の過去から存在し、無窮の未来まで存在し続けるという事実です。地上人類が新しい法則を発見したといっても、それは性能のよい器械の発明によって、それまで知らなかった宇宙の生命活動の一端を知ったというに過ぎないのであって、決して新しいものを創造したわけではありません。無窮の過去から存在したというに過ぎません。」
物理法則とは、神が定めた「物質次元の摂理」のこと
マクロの天体の運行を支配する法則からミクロの原子を支配する法則に至るまで、すべては神が物質世界を支配するために設けられた法則です。現在まで自然科学(物理学)によって明らかにされてきた法則は、物質世界における法則のほんの一部分にすぎません。自然科学によって発見された物理法則は、いずれも物質次元の神の摂理です。広く知られている「万有引力の法則」も、神が物質世界を支配するために設定した摂理(法則)であって、霊界を支配するために設けた摂理ではありません。したがって“万有引力”は霊界には存在しません。霊界では物質世界のように引力の支配を受けることがないため、人々は霊界の空間を自由自在に飛ぶことができるようになっています。
現在までに物理法則として確定している熱力学の2つの法則(「エネルギー保存の法則」と「エントロピー増大の法則」)も、神によって造られた摂理です。
現代物理学が示唆する「神の意志」
私たちが存在している宇宙という物質世界は、基本粒子であるクオークとレプトン、ならびに物質を創造する4つの力の働き(強い力・弱い力・電磁力・重力)によって形成されていることが、現代物理学によって明らかにされています。この4つの力を決める物理定数と呼ばれる物理量の大きさは決まっており、その大きさ(数値)によって現在の宇宙・物質世界が形成されるようになっています。
私たちが住んでいる宇宙・物質世界を構成する基本粒子は、わずか6種のクオークと6種のレプトンであり、これほど少ない数の基本粒子と4つの力の働きによって、陽子や中性子、そしてこれらの集合体である原子核、さらには元素といった極微の世界の物質から、星・銀河・宇宙というマクロの物質世界までもが形成されているのです。また無限の自然現象も、クオークとレプトンという基本粒子群と4つの力との相互作用を通じて発生するようになっています。
もし4つの力を決定する数値(物理定数)が少しでも違っていたなら、現在の宇宙は存在していませんでした。こうした事実は、宇宙・物質世界が、まさに奇跡的な確率のもとで成立していることを示しています。現代の物理学者にとって最大の疑問は、どのような原因によって4つの力を決定する物理定数が決まったのか、ということです。
それに対しては、2通りの答えが考えられます。その1つが偶然にそうなったというもので、もう1つがある必然性からそうなったというものです。後者の見解は、神による物質世界の創造説を意味しています。奇跡的な確率でしか成立し得ない物質世界が現実に存在するのは、宇宙が明確な目的のもとで計画的に創造されたからである、とする見解です。初めに「こうした世界を造ろう」という神のデザイン・構想・アイデアがあり、それに基づいて宇宙・物質世界が創造されたということです。
ミクロの物質世界の様子を知ると、宇宙・物質世界の形成は、偶然ではなく、神の意志による働きかけの必然の結果であると考えざるをえなくなります。神による創造ではなく、どこまでも偶然に成立するようになったという主張には説得力を見い出すことはできません。それは根拠のない無意味な固執・ある種の虚しい信仰のように映ります。心ある科学者は、何らかの“宇宙の意志”の存在を想定しないかぎり合理的な解釈はできない、と考えるようになっています。
摂理(法則)は「神の意志」の顕現
最近では“宇宙の意志”という言葉を口にする科学者が現れるようになっています。この宇宙・物質世界を形成した“宇宙の意志”とは、言うまでもなく「神の意志」「神の計画」のことを意味します。シルバーバーチは――「宇宙は法則によって支配されており、その法則は大霊の意志が顕現したものだということです」
(『シルバーバーチの霊訓 地上人類への最高の福音』(スピリチュアリズム普及会)p.168)と述べていますが、まさにそれと同じことを科学者が言うようになっています。
宇宙という物質世界は、神の意志の顕現である摂理によって創造され、現在も摂理によってその存在が維持されているのです。
摂理による宇宙・物質世界の創造
「神が摂理に基づいて宇宙・物質世界を創造された」――これがスピリチュアリズムの「神の摂理による宇宙・物質世界創造論」です。そのスピリチュアリズムの創造論を図示すると次のようになります。
*すべての矢印は、神の摂理による働きかけを表しています。