(1)神の摂理による宇宙支配の完璧性・永遠性・不変性
神は摂理によって宇宙を創造し、摂理によって万物を治めようとしました。そのため宇宙のすべての存在物――マクロからミクロに至るあらゆる存在物が「神の摂理(法則)」の支配を受けるようになっています。宇宙と万物は、神の間接支配のもとに置かれています。摂理を理解することは、「真実の神の姿を知る(認識する)」ということなのです。
ここでは宇宙・万物に対する神の摂理による支配の素晴らしさを見ていきます。
摂理によるマクロからミクロに至る全存在物の支配
神は、霊界・宇宙・全存在物(万物)を創造すると同時に、それらが存続するための仕組みも造られました。それが「摂理による支配」というシステムです。霊界・宇宙・全存在物は、神によって造られた摂理(法則)の支配のもとで維持されています。神の摂理の支配を受けない世界も存在物もありません。摂理の範囲から外れたものは一切ありません。巨大な天体の運行から電子顕微鏡で見る分子の働き、あるいは微生物の生命活動のすべてが、自然法則によって支配されています。全宇宙の極大から極微に至るあらゆる存在物が、摂理の支配を受けているのです。
シルバーバーチは――「神は宇宙を法則によって統一し、法則を通じてその意志を表現しています。宇宙のどこを探しても、法則が支配しない場所など一箇所もありません。人間がこれまでに知り得た範囲には限りません。それよりもはるかに大きくて人智の及ばないところまでも、完全に神の法則が支配しています」と述べています。さらに続けて「宇宙は偶然によって支配されているのではありません。法則と秩序によって支配されているのです。宇宙のどの方角へ目を向けても――広大な星雲の世界の彼方を知るために望遠鏡を向けても、あるいは顕微鏡で極微の世界の創造物を覗いてみても――そこに存在するものはすべて不変不滅の自然法則によって支配されています」「極微の粒子から巨大な天体に至るまで、その背後に知性が控えているということです。我々人間が目にしているこの特殊な物質の世界のどの部分も、大きさに関係なく、その知性によって管理され、操作され、維持されているのです」と述べています。
無数の摂理の支配がもたらす宇宙の完全な秩序と調和
霊界も宇宙(物質世界)もそこに存在する万物も、一つの摂理(法則)によって支配されているわけではありません。常に多くの摂理の支配を受けて存在しています。例えば、天体はそれ自体を形成させる複数の法則の支配を受けると同時に、それを運行させる別の複数の法則の支配も受けています。生命体ともなれば、物質である天体とは比較にならないほど多くの法則の支配を受けているのです。
このように神が造られた全世界・全存在物はさまざまな摂理の支配を受けていますが、その摂理はバラバラに働きかけているのではありません。摂理(法則)の支配に関して重要な点は――「すべての摂理が全体の秩序と調和を維持するような方向に向けて作動している」ということです。無数ともいえる摂理が合目的性を持って働き、その結果、宇宙の万物がより大きな宇宙全体のために存在するようになっているのです。
一つ一つの摂理は常に機械的な正確さをもって働きます。一点の狂いもない機械的支配が、摂理の特徴です。無数の摂理の全体が、さらに大きな支配システムの中に置かれているのです。すべての摂理を支配するより大きな摂理(*まさにこれこそ「神の叡智」としか言いようがありませんが)があって、宇宙全体に秩序と調和をつくり出すようになっているのです。
このようにして宇宙に秩序がもたらされ、物質界全体が調和体として維持され、生命界全体にも完璧な秩序が保たれるようになっています。機械的に働く無数の摂理の組み合わせによって現実の支配がなされていますが、そうした摂理の全体が「神の叡智(大法則)」によって、もっと大きなところから支配されているのです。極大から極微のどの部分を取っても、神の叡智によって常に完璧な秩序と絶対的な調和状態が保たれるようになっています。宇宙も万物もさまざまな次元にわたる無数の摂理の支配を受け、その無数の摂理が神の意図にそって連携して働くようになっています。数限りない摂理が神の意志に従って合目的性を持って作動し、宇宙のマクロからミクロに至るあらゆる存在が、膨大なスケールの“一大調和体”を形成しているのです。
「私が摂理の存在を口にする時、たった一つの摂理のことを言っているのではありません。宇宙のあらゆる自然法則を包含した摂理のことを言います。それが完璧な型(パターン)にはめられております。ただし、法則の裏側にはまた別の次元の法則があるというふうに、幾重にも重なっております。」
「法則の裏側に別の次元の法則があり、そのまた裏側にさらに別の次元の法則があり、それらが複雑に絡み合っております。」
「どの法則も大法則の一部です。いずれも大霊の計画の推進のためにこしらえられたものですから、全体としての調和を保ちながら働きます。」
「いかなる摂理も、全宇宙を包括する根源的な摂理の一面を構成しております。その一つ一つが大霊の計画にそって調和して働いております。」
*近代科学の隆盛にともない、“科学によって証明されたものだけが真実である”といった考え方が広く行きわたることになりました。科学による証明とは、一言で言えば「再現性が確認される」ということです。すなわち誰が実験しても同じ結果が得られるものだけを科学の認める真理とする、ということです。こうした方法によって科学は、物質界のさまざまな法則(神の摂理)を発見し、地上人類に大きく貢献することになりました。
しかしその一方で間違った“科学至上主義”を生み出し、科学的に証明されないものは真実(真理)ではない、という偏見をつくり出すことになってしまいました。実際には科学は、再現性のある現象を対象として選び、真理(法則)を明らかにしようとしてきただけなのです。言い換えれば、科学はいろいろな自然現象の中から再現性を確認しやすいものを取り出して、そこに真理を見つけようとする学問なのです。物質世界の現象は、概して数少ない摂理(法則)の作用のもとで発生しているため、たとえ複数の法則が入り組んでいても法則性を見い出しやすくなっています。
それに対し生命界の現象には、物質界とは比較にならないほど多くの摂理(法則)が絡んでいるため、その中から再現性のともなう特定の法則を見つけることは難しくなります。さらには人間のみが有する精神現象や霊的現象については、いっそう多くの摂理が働き、自由意志の問題も加わって状況が複雑に展開するため、法則性を見つけ出すことはきわめて困難になります。
しかし再現性を確認できる法則が発見されないからといって、生命界・精神世界・霊的世界に法則がないということではありません。法則を発見しやすい単純な物質世界とは異なり、数限りない法則が複雑に入り組み絡み合っている生命界・精神世界・霊的世界では、それを見つけにくいというだけのことなのです。こうした世界も、物質界と同様に「神の摂理(法則)」によって支配されているのです。
神の摂理の永遠性・不変性
摂理(法則)とは、神が定めた“法律”です。神が造った法律には、地球上の人間がつくった法律とは多くの点で違いがあります。その一つが神の摂理の“永遠性・不変性”です。
人間がつくった法律には改正がつきものです。それは不完全であって、すべての状況に対応し尽くすことができないからです。それに対して「神の摂理(法則)」は永遠・不変であり、これから何万年、何十万年たっても変わりません。また遠い未来において新たに摂理が付け加わるようなこともありません。
それは神の摂理が、ありとあらゆる状況に対応できる完全なものとして造られているからです。全知全能の神は、自らが創造した霊界・宇宙におけるさまざまな事態に完全に適応できるように摂理を準備されているのです。
「新たに法律をこしらえる必要性が生じることは決してありません。全法則が用意されているからです。宇宙の経綸にとって必要なものは今もすべて存在しますし、これまでも存在しましたし、これから先も間違いなく存在し続けます。大霊は全知全能ですから、あらゆる存在の相に必要なものはすべて予期しておられます。」
「摂理は無限の過去から存在していましたし、これからも無窮の未来まで存在し続けます。予期しなかった事情が生じて改めざるをえなくなることはありません。これまでの摂理では間に合わない新たな事態が生じるということも絶対にありません。その作用は完璧であり、停止することも、無効になることもありません。無限の知性によって考案されたものだからです。」
高級霊による神の摂理への讃美
神の摂理は、神の完璧性と権威と叡智を反映するものとして、霊界のすべての霊たちによって認識されています。高級霊は、絶えず神の摂理の素晴らしさを讃美しています。シルバーバーチは霊界の高級霊を代表して、次のように摂理への讃美を述べています。
「大霊は無限の叡智であり、無限の愛です。我々の理解を超えた存在です。が、その働きは宇宙の生命活動の中に見い出すことができます。驚異に満ちたこの宇宙が、かつて一度たりともしくじりを犯したことのない摂理によって支配され、規制され、維持されているのです。その摂理の働きは、一度たりとも間違いを犯したことがないのです。変更になったこともありません。廃止されて別のものと置き換えられたこともありません。今存在する自然法則はかつても存在し、これからも未来永劫に存在し続けます。なぜなら、完璧な構想のもとに、全能の力によって生み出されたものだからです。
宇宙のどこでもよろしい、よく観察すれば、雄大なものから極小のものまでの、ありとあらゆる相が自然の法則によって生かされ、動かされ、規律正しくコントロールされていることがお分かりになります。途方もなく巨大な星雲を見ても、極微の生命を調べても、あるいは変転きわまりない大自然のパノラマに目を向けても、さらには小鳥・樹木・花・海・山川・湖のどれ一つ取ってみても、ちょうど地球が地軸を中心に回転することによって季節のめぐりが生じているように、すべての相とのつながりを考慮した法則によって統制されていることが分かります。
種子を蒔けば芽が出る――この、いつの時代にも変わらない摂理こそ、大霊の働きの典型です。大霊は絶対にしくじったことはありません。」
シルバーバーチはまた、祈りの中でもしばしば神の摂理を讃美しています。シルバーバーチの祈りは、常に“神の摂理への讃歌”というべきものになっています。その代表的な祈りを一つ紹介します。
「ああ、大霊よ。あなたは全生命の創造主にあらせられます。あなたの摂理は全生命を支える無限なる摂理であり、あなたの計画は宇宙の生命活動の全側面に配慮した完璧なる計画であり、そのすべてをあなたの愛が育んでいるのでございます。
幾百億という数知れない生命現象をみせるこの宇宙にあっても、あなたの摂理が認知しないものは何ひとつございません。その存在の扶養と維持と管理にとって不可欠のものは、すべて用意されております。各側面が全体の一部としての機能を果たしつつ、宇宙が一大調和体として活動するための手段も、すべて用意されているのでございます。
その不変・不易にして絶対的な支配力を有する摂理に対して、わたしどもは深甚なる敬意を表します。なぜなら、この果てしなき宇宙にあっても、その摂理の範囲を超えて、いかなる事態も生じ得ないことを知っているからでございます。」