(6)霊界での仕事
――霊界は奉仕の仕事を通して共同進化する世界
言葉では言い表せないような至福の世界、何ひとつ不満のない世界で、霊たちは喜びに満たされて時を過ごしています。そんな楽園と言っていいような世界で、ただじっとしているわけではありません。霊たちはそれぞれの界層で、忙しく活動しているのです。すべての霊が仕事に従事し、仕事に邁進しています。霊界にも仕事があるということ、すべての霊が仕事に従事しているということは、大きな驚きです。しかも霊界の仕事は、地上世界の仕事と違ってたいへん重要な意味を持っています。
ここでは「霊界の仕事」について見ていきます。
1)霊にとって仕事は、なくてはならないもの
霊界では、仕事がないと苦痛になる
霊界ではすべての霊が、必ず何らかの仕事に携わるようになります。仕事をしていない霊、ただじっとして安穏と隠居生活を送っている霊などいません。霊界に入ってしばらくすると誰もが例外なく「仕事をしたい!」と思うようになり、指導霊に仕事を与えてくれるように申し出ます。
地上では大半の人が仕事を嫌がりつつも、生活のために仕方なく続けていますが、霊界における仕事はそれとは根本的に違っています。霊界では肉体がないために、地上のようなお金を稼ぐための仕事をする必要はありません。またどれだけ働いても疲れません。霊界人が仕事をしたくなるのは、仕事をしないことが苦痛になるからです。
霊界の仕事は、利他愛の実践
霊界における仕事は、地上のように生活の糧を得るためにするものではなく、他人への奉仕、すなわち「利他愛の実践」なのです。霊界では人は、仕事を通じて他人に奉仕し、他人に協力し、他人のために役立つことになります。“利他愛”は、神が定められた法則・摂理です。利他的行為は、霊的エネルギーと霊的栄養素を取り入れる方法であり、霊的成長のための王道なのです。
その意味で霊界における仕事は、地上人にとっての食事と同じようなものです。霊界で生きていくためには、欠かすことのできない日課なのです。霊たちは日々の仕事を通じて他人に奉仕し、最高の喜びと充実感と幸福感を味わうようになっています。
霊界は、全体が奉仕し合う世界
霊界での仕事は、それがそのまま他人への奉仕になっています。一人一人は仕事という奉仕を通じて、周りの人々を愛することになるのです。霊界では、すべての人々が奉仕の精神に満ちあふれ、仕事を通じて互いの足りないところを補い合って生活しています。ともに学び合い、助け合い、支え合って成長の道を歩んでいます。仕事は霊界の人々にとっては“愛の行為”であり、喜びそのものなのです。こうして霊界では、すべての人々の心に真に生きる活力がみなぎり、充実感と生命力と、喜びと輝きが満ち満ちています。
神は「利他愛の実践」を通して、各自が霊的成長をするように定められました。霊界での仕事は、奉仕の行為そのものであり「霊的成長」のための道となっています。霊界ではいずれの界層においても、すべての霊に必ず仕事が与えられます。そして奉仕の世界の一員としての役割を果たすようになっています。霊界は、まさに全体が奉仕によって成り立っている世界なのです。
2)霊界の仕事は、厳格な適材適所
霊界では、一人一人の霊性と特性・性格に最もふさわしい仕事が与えられます。完璧な適材適所が実現していて、全員が喜びを持って自分の仕事に励んでいます。これは霊性が高く能力のある者にはより大きな仕事が、霊性が低く能力の乏しい者には小さな仕事が与えられる、ということを意味します。
霊たちに与えられる仕事上の権限は、その霊の進化の度合い、持っている霊的能力によって決定されます。霊性と能力に見合わない仕事に就くことはできません。霊界では各自の持つあらゆる内容が正確に知られるようになっており、その査定が間違うことは決してありません。地上世界にありがちな嘘やごまかしは、霊界では一切通用しないのです。
スピリチュアリズムの進展と関係するような最も重要な仕事と責任は、それを必ず遂行することができる霊に委ねられることになります。高級霊は、絶対に失敗しないと判断できる霊にしか、そうした使命は与えません。そしてそれよりも低い界層の霊たちには、霊格(霊性)と能力に応じて順次、より容易な仕事が与えられるようになります。その中には、国家全体あるいは民族全体の霊的進化に関わるような仕事もあります。また社会やグループ・家族・個人を守護し導く仕事もあります。また大自然の経綸や地球上の生命体の進化のために働く仕事もあります。
霊界には無数の仕事があり、各自の霊性・能力・適性・意欲に応じて、ふさわしい仕事に従事することになります。霊界では、まさに理想的な“適材適所”が実現しているのです。霊界にいるすべての霊が、必ず自分に合った仕事を与えられ、それを達成することによって全体に奉仕し貢献すると同時に、自らの霊的成長をなしていくようになっています。
3)仕事は霊界の一員としての使命であり責任
霊界での仕事を論じるときに重要なことは、霊界ではあらゆる仕事が霊界全体と関連し、最も高い界層から最も低い界層(幽界)に至るまで、協力関係にあるということです。仕事を通じてすべての霊が、霊界の一員としての役目を果たすようになっているのです。すべての霊が、各自の仕事を通じて学び合い、助け合い、支え合って、霊界全体の進化向上を目指しています。このように霊界にある無数の仕事は、すべて霊界全体の協調関係の中で遂行されているのです。
一人一人の仕事は、ただ単に横の関係(界層内)だけで与えられるのではありません。上下の界層間とも密接な関連性を持っています。あらゆる仕事は、常により高いところからのコントロールと指導がなされています。上層の高級霊によって、その仕事が本人の霊的成長にとって最もふさわしいものかどうか、そして全体のためになるものかどうかということが常にチェックされているのです。
それぞれの霊は、自分の力量と身分(霊性レベル)を自覚して、あくまでもその範囲を守っています。そして全体としての責任と仕上げは、その一団の最高責任者に任せられることになります。いかなる仕事も、高級霊の計画のもとに進められているのです。その計画に対して、独りよがりの勝手な好みを差しはさむようなことは許されません。