(7)一人の女性の幽界での体験談

これまでの説明を通して、幽界がどのような世界であるのか、おおよそ理解していただけたものと思います。ここでは一人の女性の幽界での体験談を見ることにします。この現地報告を通して、幽界に対するより実感をともなった理解が得られるようになるものと思います。

ここで取り上げる女性は“ローズ”といって、『500に及ぶあの世からの現地報告』の中に登場する霊です。地上時代はロンドンで花売り娘をしていました。交霊会では、地上人(ウッズとグリーン女史)から、さまざまな質問がローズに投げかけられました。彼らの質問に対してローズは、実に分かりやすい答えを示しています。交霊会の時期は、1952~53年頃と思われます。

<ローズの最初の交霊会>

紹介が終わってウッズが尋ねた。

「そちらはどのような世界ですか?」

「あなたは私に、こちらの世界のことを物質的な言葉で語るように言っておられるのですか? 私は、どのように話し始めたらいいのか分かりません。もしあなたが、美しいものを美しくないものとの対比なしに考えるとしたら、美しいものとは何か、はっきり分からないはずです。美しい自然環境、花々、鳥、木々、湖……これらの美しさを知ることはできないでしょう」

「そちらでは太陽はいつも輝いていますか?」

「はい、いつも輝いています。私がこうした言い方をすると、皆さんはそれを単調なもののように考えるかもしれませんが、実際はそうではありません。皆さんが想像するようなものとは全く違っています」

◆幽界での園芸について

「花を育てることは、地上世界より簡単ですか?」

「こちらでも花を育てます。花は地上と同じように育って大きくなります。しかし、こちらの世界には季節というものはありません」

「花を育てる方法や技術は地上とは違いますか? 例えば、水をやったりしなければなりませんか?」

「その必要はありません。私の知っているかぎりでは、こちらの花は自然に育つのです」

◆幽界の町や村について

「そちらの世界は地上よりずっと美しいという点を除けば、地上世界ととても似ているのですか?」とウッズが聞いた。

「今、私は自分が住んでいる世界に限ってお答えすることができるだけですが、こちらには本当に広大で美しい多くの界層世界があり、それぞれの生活が営まれています。今、私が住んでいる所は、イギリスの美しい田舎にとても似ています。周りの風物に関して言えば、ここには皆さんの知っている自然界のすべてのものがあります」

「そちらには町や村がありますか?」

「あなたが想像されるような町はありませんが、地上の町のような所はあります。そこには何千人という人々が集まって生活しています。しかしバスや電車はありません。そういうものはこちらでは必要ありません」

◆幽界での移動について

「他の場所に行くときには、どのようにするのですか?」

「歩いて行きます。離れた所へ行くときには、目を閉じて行きたいと思う場所のことを考えるだけです。そうするだけでその場所に行けるのです」

◆幽界での家について

「ローズさん、あなたは家に住んでいるのですか?」

「はい、私は家に住んでいます。しかしこちらの世界では、必ずしも家は必要ありません。そうは言っても、私はこちらで家に住んでいない人にまだ出会ったことがありません」

「どのような家があるのですか? 地上のような家なのですか?」

「こちらにはあらゆるタイプの家があります。あなた方が田舎で見たことがあるような小屋のようなものから、家族全員が住んでいるような本当に大きな家まであります。肝心なことは、こちらの世界では、家は住む人の好みによってどのようにでも造られるということです。もちろんどの家もリアリティーがあります。どの家もここに住んでいる人々によって造られます。しかし家の造り方は地上世界とは違います」

「地上の大工のような人は必要ないのですか?」

「こちらにも建築家とか設計士のような人たちがいます。彼らが家を設計して建てるのですが、地上のように辛い肉体労働によって建てるのではありません。こちらの労働は、本当に楽しい造形作業なのです」

◆幽界でのお金儲けと奉仕作業について

「そちらではお金を使うようなことはないのですね?」

「お金! こちらではお金で何かを買うようなことはしません。誰でも地上でつくり上げた生活習慣や価値観によって欲しいと思うものがありますが、こちらでは、それを思うだけで簡単に手に入れることができるのです」

「私が聞きたかったのは、あなた方はどのようにして大工に仕事を頼むのかということですが……

「私たちは、彼らにお金を払うわけではありません。彼らは家を建てることが好きだから家を建ててくれるのです。家を設計することが好きだからそうしてくれるのです。その仕事が好きだからしてくれるのです。それは演奏家がバイオリンを弾くのと同じことです。彼らは、楽器を弾いて友人や人々を喜ばせることがとても嬉しいのです」

◆幽界での職業・仕事・労働について

「では、そちらの人々は相手を喜ばせるために、愛のためにすべてのことを行なうのですか?」

「そうです。すべてを愛の思いからします。……話は変わりますが、仮に地上で音楽家や芸術家になりたかったのにそのチャンスがなかった人は、こちらではそれを実現することができます」

「そちらでは、自分がしたいと思ったことは何でもできるのですか?」

「そうです。地上の多くの人々は毎日奴隷のように労働をしなければならず、自分が本当にしたいことはできません。時間がなかったりお金や教育がないために、好きなことができません。しかしそういう人たちもこちらへくると、自分のしたいことが何でもできるようになります。ここでのそうした仕事は、彼らにとって喜び以外の何ものでもありません」

◆幽界での食事について

「あなたはそちらで食事をしますか?」ウッズが話題を変えて質問した。

「フルーツもナッツも食べます。こちらには果物やナッツの木があります。他にも地上にある、ありとあらゆる食べ物があります。しかし動物を殺して肉を食べるということだけはしません。こちらには肉の類は一切ありません」

◆幽界での生け花について

「ローズさん、花はどのように利用するのですか? 花を使って美しく飾り付けをするようなことをしますか?」

「もし、あなたがそうしたいと思うなら当然それはできます。花を摘んで家の中に飾ることもできます。しかしこちらの世界にくると、ほとんどの人はそういうことをしなくなります。こちらにきて間もない人は、家を花で飾ることもあります。彼らは、家の中を花で飾ることは素敵なことだと考えています。しかし、やがてそれは不必要なことだと分かり始めます。花を摘むことは必ずしも善いことではないと、分かるようになるのです。

花は自然界の一部であり生命が宿っています。花を摘むことは正しくありません。それに、わざわざ花を摘んで家の中に持ってこなくても、自然の花の美を鑑賞できるのです。もしあなたが戸外の花々を見たいときには、わざわざ外へ出る必要はありません。ただ家の中に座ったまま、その花のことを考えるだけで見ることができるのです」

◆幽界の時間と空間について

「家のドアや窓を開けたりするようなことをしますか?」

「その必要はありません」

「もし私がイスに座ってフリントさんのサークルに行きたいと思えば、目を閉じてただ考えるだけでいいのです。次の瞬間、そこにいるのです。皆さん方には少々奇妙に聞こえるかもしれませんが、事実なのです。本当にその通りなのです。地上で言う“時間”と“空間”は、こちらでは何の意味も持ちません」

◆幽界の動物について

「そちらの動物は人間に馴れていますか?」ウッズは再び話題を変えて質問した。

「とても馴れています。動物たちはみな、ペットのネコのようにおとなしいのです」

「動物たちが殺し合うというようなことはないのですか?」

「ありません。そういうことは地上界だけのことです。地上では、ある面で動物本能が彼らを“弱肉強食”へと駆り立てていると言えるかもしれませんが、こちらにくれば地上のような動物本能は直ちに消え失せます」

◆幽界での食欲について

「食べる必要がない! 何て素敵なことかしら。料理もつくらなくていい」とグリーン女史が言った。

「その通りです。もちろんこちらにきたばかりで、ある食べ物が食べたいと思う人もいます。その場合には、それを食べることができます。しかし、すぐに食べ物に対する嗜好性はなくなります。ほどなく食欲は消え失せるのです」

◆幽界での睡眠とくつろぎについて

「そちらでは寝ることはありますか?」

「はい、もし寝たいと思うなら寝ることはできます」

「でも、それは必要ではないんですね?」

「ええ、必要ではありません」

「疲れを感じることはないのですか?」

「感じません」

「精神的な疲れを感じたときはどうしますか?」

「もし精神的に疲れたら、ただ精神をリラックスさせるだけです。目を閉じ、くつろぎます。そしてしばらくして再び目を開けます。するともう疲れはなくなっています」

◆幽界の昼と夜について

「先ほどそちらには時間や空間はないと言いましたが、物事はどのようにして進展していくのですか? どのようにして物事の経過を知ることができるのですか?」

「分かりません。私の理解しているかぎりでは、時間を計る手段はありません。こちらには時間の意識がありません。こう言うと、あなた方には理解できないことも知っております。こちらには地上のような午後・夕方・夜といった区別はありません。地上で言う時間は、こちらでは何の影響も及ぼしません。結局、時間は地上の人間がつくり出した単なる目印にすぎません」

「そちらには昼と夜がありますか?」

「ありません。ただ地上のような睡眠・休憩をとりたいと思うなら、夜の闇が出現します。そのときは目を閉じさえすれば、すがすがしい状態になります。これ以上は、どのように説明したらいいのか分かりません」

◆幽界の法律について

「他の質問をします。そちらには法律とか規則といったようなものがあるのですか?」ウッズが尋ねた。

「こちらの世界には“自然法”があるだけです。こちらにくると、すぐにそのことが分かるようになります。こちらには地上世界のような法律や規則はありません。万人に当てはまり、万人が認める“法則(自然法)”があるだけです」

◆幽界の太陽・空・雲・色彩について

「分かりました。ところでそちらには雲はありますか? 太陽は輝いていますか?」

「太陽が輝いています。ときどき空に雲が見えますが、それは珍しいことです。こちらの空は、あなたがこれまでに見たどんな夢よりずっと美しいです。空は必ずしも青色とは限りません。ときどき緑色になったり赤くなったり、ありとあらゆる素晴らしい色に変化します」

「そちらに存在する色彩はとても美しいですか?」

「それは皆さんには想像もつかないでしょう。こちらには、地上には全く存在しない色彩があります。地上とは比較にならないほど無限の色彩があるのです」

◆幽界での衣服について

「衣服はどうですか? そちらでは服を着るのですか?」

「とてもよい質問です。もちろんこちらでも服を着ます」

「それは地上のような衣服ですか?」

「いいえ、私が昔、地上で着ていたものとは違います。皆さんもこちらの世界にきたときには、そうした服は着ないだろうと思います」

「あなたが今、着ているものを説明してくれませんか?」

「人はこちらにきて間もない頃は、自分の気に入った服を着ます。今世紀にこちらの世界にやってきた女性は“ドレスはなくてはならないもの”と考えていますから、しばらくの間はそれを着ることになります。しかしやがて彼女たちは、そのドレスが本当に必要なものではないことを悟るようになり、気に入らなくなります。そして徐々に考え方を変え、結果的に服装を変えるようになります」

「ローズさん、あなたは今、何を着ていますか?」

「皆さん方にどのように伝わるか分かりませんが、私は今、とても美しい白いドレスを着ています。ドレスの縁にはボタンが付いています。袖は長く、幅が広いです。体の真ん中で金色のベルトをしています」

「服の素材は何ですか?」

「地上にある素材で最も近いものを挙げるならシルクだと思います。私は髪をとても長くしています」

「洗濯をするとき何か問題はありませんか?」

「何もありません。泳ぐこともできます。もしあなたが水の中に入りたいと思うなら、その通りにできます。しかし衣服は濡れたり汚れたりしません。こちらには、チリやホコリや泥といったものはありません」

◆幽界の川と湖について

「そちらの世界には地上のような海はありますか?」

「私はこちらで海を見たことはありません。しかしその代わり、美しい川や湖があります。どうして海がないのか私には分かりません」

「川や湖にはボートはありますか?」

「美しいボートがあります。しかし大型船はありません。とても美しいボートです。それはベニスで見かけるようなものです」

「ゴンドラのようなものですか?」

「そうです。船は花々で美しく飾られています。そしてそこで祝い事が行われます。水上は一面、光で飾られます。その光は電気やガスでつくられたのではなく、人々の心でつくられたものです。これが私の精いっぱいの説明です。私にはそのようにしか説明できません」

「何と素晴らしい!」ウッズが言った。

◆幽界の劇場について

「そちらには町はありますか?」

「美しい町があります。汚く陰気な地上の町とは違います。その中に特別に美しい町があります。町には劇場や娯楽場のような所もあります。地上の劇場で上演されているようなミュージカルを見ることもできます。ただし、それは地上のミュージカルよりずっと素晴らしいです」

◆幽界での笑いとユーモアについて

「こちらの世界のすべての存在物には目的があります。意味なく存在しているものは1つとしてありません。もちろん私たちは笑うこともします。こちらにもコメディーのようなものがあります。こちらにきたからといって、ユーモアのセンスを失うわけではありません」

◆幽界の学校と博物館について

「私は、そちらにも学校のような所があると聞いておりますが……?」ウッズが質問した。

「こちらには大きな学校や博物館があって、そこではあらゆる国々や民族の歴史を学ぶことができます。そこにないものはありません。すべてのものが揃っています」

◆幽界での話・コミュニケーションについて

「あなた方は話をしますか?」

「すみません。もう一度言ってください」

「そちらの世界で、あなた方は話をしますか?」

「その必要はありません。しかし話そうと思えば話せます。それはその人の魂の発達いかんにかかっています。こちらでの生活が地上の時間にして数年もすれば、人は必ず成長するようになります。そして話すことは不必要であると、悟るようになります。こちらでは地上のように話をしなくても、自分の考えを伝えたり、相手の考えを受け取ったりすることができるのです。テレパシーのようなものです」

「高度なテレパシーですか?」

「そうです。私はまだあまり上手ではありませんが……。いつかもっと上手になりたいと思っています」

<ローズの2回目の交霊会>

約10年の後(1963年9月9日)、彼女は約束を守って再び現れ、新しい生活について語り始めた。ローズは以前と比べ10年分の成長を遂げていて、彼女の新しい生活は10年前とは少々違っていた。

「ウッズさん、グリーンさん、こんにちは」

「こんにちは、ローズさん」グリーン女史は答えた。

「私の声が分かりましたか? 長い間ご無沙汰しておりましたが……

「すぐ、あなただと分かりましたよ」

◆幽界での時間の過ごし方について

「あなたは今、そちらで何をしていますか?」とウッズが尋ねた。ローズが答えた。

「私はわずかな時間ですが、小さな子供たちと過ごしています。私は子供が大好きなのです。私は多少なりとも彼らの役に立っているようです。そしてなぜだか自分でも分からないのですが、そうした片手間に時々する仕事が好きなのです。

こんなことを言うと馬鹿げて聞こえるでしょうが、私は部屋の中に座って針仕事をしたり、本を読んだりして静かに時間を過ごすのが好きなのです」

◆幽界の住居について

「ローズさん、あなたは以前と同じ家に住んでいるのですか?」

「はい、そうです。そして私は今とても幸せです。私は特別どこかへ引っ越したいと思うようなことはありません。もちろんこちらの世界には、たえず前進し続けたいと思っている人々もいます。しかし今の私には全くその気がありません。

でもそのうち、ここからどこかへ行くように言われるような気がします。私には、なぜそうしなければならないのか分かりませんが……。私は今のままでいいのです。私だけの素敵な小さな家があり、私の気に入ったすべてのものがあり、友だちもいます」

「あなたはどのような家に住んでいますか?」

「ごく普通の家です。きれいな小さな家で田舎にあります」

「私は生前ずっと、ロンドン郊外の田舎で生活したいと思っていました。私はいつも自分の小さな家が持てたらいいと思っていました。田舎に移り住んで、すべての喧噪から逃れた生活をしたいと思っていました。今、私は自分が願っていたような家を手に入れました。これ以上ほしいものはもうありません。

でも私は、それはある点ではよいことではないと思っています。こちらの人々も、私にいつも“もっと意欲を持つべきだ”と言います。しかし私は、自分の小さな家にいるだけで本当に幸せなのです」

◆幽界の花々について

「そちらには庭がありますか? ローズさん」

「あります。そのお蔭で私は大地に親しむことができます。私は自分で花を育てます。しかし私は決してそれを摘みません」

「花を採らないのですか?」

「ええ、私は花々を自然の環境の中にそのままにしておきます。花の世話をしたり、花を眺めるだけで、私は最高の幸福感と喜びを感じます。こちらの花々は枯れることがないのです」

「花には生命があるのですか?」

「もちろんあります。活力と生命力が宿っています」

◆幽界での住まいについて

「あなたの住まいはどのようですか? 説明してください」

「それは田舎の小さな場所にあります。4つの部屋があって私にとっては十分です。面白いことに、こちらにはチリもホコリもありません。それでぞうきんを持って掃除をする必要はないのです。いつもきれいなのです。

私は本当にこちらの生活に満足しています。すべてのものを思いどおりに育てることができ、自分の思うことが何でもできるのです。そして誰もそれを妨げません。庭には鳥たちがやってきます。鳥たちは本当に人間に馴れています。誰も破壊行為をしようと思いません。ここは本当に素晴らしい所なのです」

「そうですね。本当に素晴らしい所ですね」

◆幽界の海と湖について

「ローズさん、先回の最後の話の中で、あなたは海を見たことがないと言いました。今でも海を見たことがありませんか?」

「見たことがありません。私は海を見たいと思いません」

「あなたは今でも湖へ行きますか? たしかあなたは湖に行くと言っていましたが」

「そこでボートに乗ると言っていたようですが……」とグリーン女史が促した。

「はい、湖へ行ったことがあります。私は湖が好きです。海は私の好みではありません」

◆幽界の町について

「町に行きますか? ローズさん、あなたはそちらに町があると言ったことがありますが……

「たしかにあなた方が言うような大きな町や都市があります。しかし町の様子は地上とは全く違っています。商店はありません。“人が集まっている”というところは同じですが、他の点では地上とは違っています。もしあなたが多くの人々の中にいたいと思うなら、あなたは自動的に町に住むようになるでしょう」

「あなたの家の隣には、人が住んでいますか?」

「もちろん私の家の周りには人々が住んでいます。彼らは考え方が私ととても似ています。おそらくそれが、彼らと私がすぐ近くに住んでいる理由でしょう。時々、私たちは集まりを持ちます。私たちは私たちなりに幸せなのです」

◆幽界での読書について

「私はリラックスして静かにしているときが、本当に好きなのです。私はこちらで本を読むことを覚えました。私は地上にいたとき、本が読めませんでした。私は字も覚えましたし、自分の本も持っています。私に本を持ってきてくれる人がいるのです。私は時々、彼らに自分の本を貸してあげます。私たちは座って話をしたり本を読んだりします。

こんなことを言うときっと驚かれるでしょうが、映画を見に行ったこともあるのですよ」

◆幽界での映画鑑賞について

「そちらの映画について教えてください」

「地上世界にあるもので、面白いものはこちらの世界でも見ることができます。その映画には道徳的要素が含まれていて、とても面白く役に立ちます」

◆幽界の野原と畑仕事について

「野原のような所がありますか? そこは美しいですか?」

「とても素晴らしいです。本当に美しい緑の草が生えています。これもまた皆さんを驚かせるでしょうが、こちらの世界にはトウモロコシ畑もあります」

「あなたは畑仕事をするのですか?」

「はい、とても楽しい仕事です」

◆幽界の季節と天気について

「ここには地上のような季節はありません。また雨が降るのを見たことがありません」

「雨が降らないのですか?」

「私は曇り空も見たことがありません。気温が暑すぎるということもありません。いつも快適なのです。ちょうど心地よく暖かいのです。また私は太陽を見たことがありません。こちらの世界の明るさと光は、太陽からくるものではありません。なぜならこちらには太陽はないからです」先の交霊会では「太陽が輝いている」と言っていたが、高い界層へ進化してからは霊界の事実を理解できるようになり、「地上のような太陽はない」ということに気がつくようになったことが分かる。)

◆幽界の芝生と花とトウモロコシについて

「ローズさん、そちらの芝生は地上のものと同じですか? それとも、もっときめ細やかですか?」

「こちらの芝生は、とても踏み心地がいいです。とても細かく、美しい緑色をしています。私は背丈の高い花々が生えている所に行ったことがあります。その花々は背丈が7、8フィートもあろうかというほどでした。まるで花の林の中を歩いているようでした」

「本当ですか! ローズさん。そちらでは大きくなったトウモロコシを何に使うのですか? トウモロコシを刈ったり、それで何かをつくったりするのですか?」

「いいえ、よく知りませんが、そのようなことはしないと思います。私は刈り取られたトウモロコシを見たことがありません。トウモロコシはいつも畑に植えられたままのようです」

◆幽界での飲食について

「トウモロコシでつくられたパンはないのですか?」

「ありません。他に面白い話があります。こちらではもちろん食欲がわきません。最初こちらの世界にきたとき、私は食事をしました。食べたものはほとんどが果物でした。こちらではしばらくすると誰も食欲を感じなくなります。食べることがそれほど大切ではないことを悟るようになります。それから食べることをやめてしまいます。

しかし、私はお茶を飲むのが大好きな人間でした。そして今でも好んでお茶を飲んでいます。皆さんは、どこからそのお茶を手に入れるのかと考えられるでしょう。どこからそのお茶はくるのだろうか、そのお茶は当然こちらの世界でつくられたに違いないと思っていらっしゃるでしょう」

「どのようにしてお茶を手に入れるのですか? お茶を飲みたいと思うと、それが手に入るのですか?」とウッズは聞いた。

「不思議なことですが、私もよく分からないのです。台所へ行くわけでもなく、ヤカンを置くわけでもなく、自分でお茶を入れるわけでもありません。しかし私がお茶を飲みたいと思うと、すでにそれが目の前にあるのです」

「それは素晴らしいですね」

「地上人ばかりでなく、こちらにいる人でさえ言います。“それは実在物ではない。それはただ、あなたが必要だと思うから存在するようになるのだ”と。私はこれまでずっとお茶を飲み続けてきましたが、お茶を飲みたいという欲求を失ったとき、お茶は私の目の前から消え失せるでしょう」

◆幽界の木と花について

「そちらには木とか花はありますか?」ウッズが質問した。

「こちらの木々はとても美しいです。そして花も同様です。とてもよい香りがします」

◆幽界の音楽とコンサートについて

「そちらの世界には美しい音楽がありますね?」

「はい、あります。私は何度もコンサートに行きました。とても美しい音楽でした。こちらの音楽は気取ったようなところがなく本当に素晴らしいです。地上のジャズのようなくだらないものはありません。すべて心地よいものばかりです。私は地上にあるような宗教音楽は聴きません。それはいつも私の気を滅入らせるからです」

◆幽界での服飾作業について

「ローズさん、あなたは以前、針仕事をすると言いました。何かご自分の服をつくることがありますか?」グリーン女史が言った。

「はい、つくります。これまで数枚つくりました。こちらにいる人が、私に材料を運んでくださるのです。その方はとても素敵な紳士で、私はその方とこちらにきてから知り合いました。彼は、ここよりも少し高い世界に住んでいらっしゃいます。そしてわざわざ、私やここの友人を訪問してくれるのです。

彼は、いつも何か持ってきてくれます。彼はとても心が広いのです。彼はつい最近、私に美しい布を持ってきてくれました。それは輝くような青色で、まさに私の好きな色でした。“これはあなたのために持ってきました。これで服をつくれば、あなたはもっと素晴らしくなるでしょう”と、彼は言ってくれました」

◆幽界の動物と昆虫について

「そちらの田舎には、何か動物がいますか?」

「もちろん野原には動物がいます。しかし怖くはありません。こちらでは動物はとてもおとなしいのです。そしてこれらの動物たちは人間に話しかけることができるのです。

私はヘビとかカエルのようなものはぞっとしますが、こちらではそうしたイヤな動物を見たことはありません。そうした生き物はとても低いバイブレーションの世界にいると聞きました。私はそれがどういう意味かよく分かりませんが、気味の悪い動物は、私のいる世界にはいないことは確かです。またブヨとかハエのようなものも見たことがありません。しかし面白いことに、私は蝶は見たことがあります」

「そちらの蝶はきっと美しいでしょうね」

「とても美しいです。そして死ぬこともありません。おかしく思われるかもしれませんが、こちらには地上のような死はありません。何ものも死ぬことがないのです」

◆幽界での死について

「私は最初こちらの世界にきて落ち着くと、“ここでの生命はどのくらい続くのかしら”と思いました。“これまでとは別の生命なのかしら、また以前のような生命を持ち再び死ぬことになるのかしら、ここでの生命以上のものがあるのかしら”などと考えました。

しかし、ここでは死ぬことはないのです。それはこれまでの常識では全く考えられないことです。人はこちらにくると、同じ状態での生活をしばらく続けるようです。やがてその生活に退屈するようになります。そうでないとしたら、ここでのすべてのことを知り尽くしてしまったと思うようになります。するとある種の眠りのような状態に入っていきます。それから別の世界に行くのです」

◆幽界の馬と乗馬について

「そちらには馬がいますか?」とウッズは尋ねた。それは以前の彼女の好きなテーマだったからである。

「います。とても美しい馬がいます」

「あなたは馬に乗りますか?」

「いいえ、乗りません。私は遠くから馬の姿を見るのが好きなのです。馬が怖くて乗らないのではありません」

◆幽界の町の施設について

「そちらの町はどのようですか?」

「美しいの一言です。私は町には住んだことはありません。しかし町はとても美しいです。庭園と公園と子供たちの遊び場は特に美しいです。建物は大きく、そこで人々は学んだりします。図書館もあります。娯楽のための建物もあります。それらはすべて素晴らしく、何ひとつ下品で不快なものはありません。本当に素晴らしく上品なものばかりです。そしてとても美しいのです」

◆幽界での観劇と芸術鑑賞について

「私は1、2度、劇場へ行ったことがあります。そこで多くの有名人と会いました。地上時代には、私はその人たちの舞台を見に足を運んだことはありませんでした。また何回か、美術館に行って、昔の有名な画家の作品を見たことがあります。地上時代の有名な画家は、こちらにきても引き続き同じ仕事をしています」

◆幽界の町の色彩と建物について

「町はカラフル(色とりどり)ですか?」

「はい、町はカラフルというより美しいと言った方がいいでしょう。もちろんカラフルという言葉の意味次第ですが。建物や家々がすべて赤や白や青色で塗られているということではありません」

「建物の形式や様式はどうですか?」

「いろいろな形の建物があります。またあらゆる建築様式の建物があります」

「そちらでは石はどのように見えますか?」

「私にはこちらの石はまるで真珠のように見えます。どうしてかは分かりませんが……

「すてき!」とグリーン女史が声をあげた。

◆幽界の道路の舗装と乗り物について

「歩道のことを何と呼びますか? 地上と同じような石で舗装されているのですか?」

「石のようなものです。それが石なのかどうか分かりません。もちろん他のものもあるでしょう。こちらの世界には乗り物はありません。車やオートバイのような乗り物に乗ることはありません。ここの人たちはみな楽しんで歩いています。誰も乗り物に乗りませんし、その必要がありません。歩くことには何の努力もいりません」

「もし遠くへ行きたいときは、思念によって行くのですね? ローズさん」

「正確には、思念によるものかどうか知りません。ある所へ行きたいと軽く思うだけです。それだけで、そこにいるのです。何の努力もいりません」

◆幽界の森と木について

「そちらには森がありますか? それは美しいですか?」

「あなたが言うようなものがこちらにあるといいですね」

「私は森や木のことを言っていますが……

「分かっています。ちょっとふざけただけです。もちろんこちらには美しい森があります。とても素晴らしい森です」

◆幽界での死に対する意識について

「こちらでは誰も死を恐れません。死はすべての人々にとって待ち望むような出来事ですし、誰もがそのことに気がつくようになります。ただし、もし心の中に、または過去に、他人に知られては困るようなことがないならばの話ですが……。もちろん誰にでも多少の秘密はあるものですが、普通の人ならば、死んでこちらにくることを何も心配する必要はありません」

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