1.近代スピリチュアリズムの地上展開に先立つ準備

霊界における綿密な計画と準備

スピリチュアリズムとは、イエスを中心(最高責任者)とする地球圏霊界の高級霊によって進められている地上人類救済のための大プロジェクトです。スピリチュアリズムのすべては、地上人類を救いたいという高級霊の真実の愛・利他愛から出発しています。その目的のために霊界の高級霊が総動員され、人知を超えた緻密な計画が立案され、完璧な協調体制のもとで進められています。

その地球人類救済プロジェクトの最大の目的は、地上人類に霊的真理と霊的知識をもたらすことです。地球人類に霊的真理に基づく霊的人生を歩ませ、霊的成長が達成できるようにすることを最終目的としています。そのために霊界側で長い期間をかけて準備がなされました。その準備が完了して、1848年に地上世界に対する具体的な働きかけが始まりました。こうして霊界の高級霊を総動員しての地上人類救済運動“スピリチュアリズム”が、地上でスタートしました。

霊界主導で進められてきたスピリチュアリズム

その後も霊界の計画に基づき、地上世界(地球)への働きかけが継続して行われてきました。霊界の高級霊たちは、まず驚異的な心霊現象を演出して、霊的真理の受け入れのための環境づくりに着手しました。「霊魂説」を当時の人々、特に知識階層の人々に認めさせることを目的として現象が起こされました。その上で高級霊主導の交霊会を催し、霊的真理や教訓を示そうとしたのです。

地上にスピリチュアリズムが展開して、はや150年の歳月が過ぎ去りました。その150年のスピリチュアリズムの歴史・歩みは、すべて霊界からの働きかけの結果です。霊界の高級霊たちの必死の導きが、スピリチュアリズムの歴史となっているのです。「スピリチュアリズムは霊界の高級霊の主導による救済活動である」という本質的な観点を見失うと、スピリチュアリズムの実像が見えなくなってしまいます。

スピリチュアリズムを地上サイドだけの視点から眺めるならば、スピリチュアリズムとは近代における心霊現象の研究であり、交霊会という従来のシャーマニズム信仰・迷信の復活ということになってしまいます。あるいは死者との交わりによって慰めを与えようとする近代の降霊術の類ということになってしまいます。しかし、それはスピリチュアリズムの本質から大きく懸け離れた認識なのです。

近代スピリチュアリズム勃興以前の2人の霊能者

――「スウェーデンボルグ」と「ジャクソン・デービス」

近代スピリチュアリズムの地上展開は、1848年のフォックス家事件から始まりますが、それに先立って霊界側は、予備的な地上への働きかけを行っています。フォックス家事件の1世紀前に、スウェーデン人「エマヌエル・スウェーデンボルグ」(1688~1772)が現れています。彼は幽体離脱体験を通じて霊界を探訪し、自由に霊界の住人と語り合い、多くの霊的事実を地上にもたらしました。彼の霊界探訪によってもたらされた霊的知識は、近代スピリチュアリズムの考え方と基本的に大差ありません。

このスウェーデンボルグが他界後、米国人「アンドリュー・ジャクソン・デービス」(1826~1910)の背後霊として働きかけを開始します。デービスは霊媒として、地球人類に向けて霊界からのメッセージを伝えています。デービスによって示された思想は『調和哲学』として知られ、多くのスピリチュアリストたちに愛読されました。

デービスのスピリチュアリズムへの最大の貢献は、スピリチュアリズムの地上到来を予言したことです。1847年(フォックス家事件の1年前)に出版された書物の中で、彼はスピリチュアリズムの出現を次のように告げています。「一方が肉体に、もう一方が高次の領域にいながら、スピリット同士が交わるという1つの真実が(中略)まもなく明らかになるだろう」――そしてその翌年、フォックス家事件が起きました。スピリチュアリズムが地上に出発したまさにその夜、彼は次のように述べています。「今日の明け方、暖かいそよ風を顔に受けながら、私は優しく強い声がこう語るのを聞いた。“兄弟よ、よい仕事が始まった。ごらん、生きた証明が生まれたのだ”」

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