4.霊界通信における問題点と、通信レベルを決定する要因

ニセ霊能者・ペテン師的霊能者の問題

霊界通信について考えるとき、必ず知っておかなければならない重要な点があります。それは霊界通信では“ニセモノ”が圧倒的に多いということです。これが霊界通信における最大の問題です。ニセの霊界通信が大半で、本物の霊界通信がわずかしか存在しないということは本当に残念ですが、事実なのです。

一般の人々には、霊の声は聞こえませんし、霊の姿を見ることもできません。したがって霊能者の言うことが本当かどうかを直接確かめることができません。ニセ霊能者はそれをいいことに、嘘や作り話で人々を騙すのです。一般の人々は、評判がいい霊能者は無条件に本物と思いがちです。テレビや書籍で名前の知られている霊能者は本物であると思っています。しかし実際には、こうした霊能者の多くが“ニセモノ”なのです。

ニセ霊能者にも、普通は少々の霊能力があるものです。そして時には、相談者本人しか知らないような秘密を言い当てることもあります。しかし彼らの語る内容の大半は、嘘や作り話なのです。大抵の人々は秘密を言い当てられると驚いて、その霊能者の言うことは、すべて真実であると思い込むようになります。話のすべてが正しいものと錯覚してしまうのです。こうしてインチキ霊能者は、人々を騙し続けることになります。お金がらみの霊能者、多額の報酬を要求する霊能者、あるいは日常生活の乱れた霊能者は、たとえ言うことの一部が当たっていても“ニセモノ”と判断して間違いありません。

霊界からの通信にも、ピンからキリまである

意図的に人々を騙そうとするニセ霊能者・ペテン師的霊能者や、低級霊の悪意によるものでない場合は、一応まともな霊界通信ということになります。しかしこのケースにおいても、必ず押さえておかなければならない点があります。それは一応まともと言える霊界通信にも、内容的にはピンからキリまであるということです。霊界からの通信であれば何でも価値があるというわけではなく、素晴らしいものがある一方で、全く霊的価値のない通信も数多くあるということです。

したがって通信のレベルを見極めることが、私たち地上人にとってきわめて大切なことになります。霊界通信のレベルは、いくつかの要因によって決定されます。その要因とは、通信霊の霊格・通信霊と霊媒の連携状態(潜在意識の混入)・霊媒の人格と霊性・外部からのニセ情報の混入などです。以下では、それらについて述べていきます。

通信霊の霊格の問題

――通信を送ってくるのがどの程度の霊なのか?

情報を送ってくる通信霊が、どのような霊性の持ち主であるのかということが、通信内容のレベルを大きく左右します。これが「通信霊の霊格」の問題です。分かりやすく言えば、通信を送ってくる霊が、高級霊か低級霊か、それとも単なる普通の霊なのかということです。大学教授から与えられる知識と、小学校入学前の子供から与えられる知識では内容は全く違ったものになりますが、それと同じようなことが霊界通信にも当てはまります。

霊媒を通して通信を送ってくる霊の多くが、小さな子供に相当する低級霊・未熟霊の類なのです。霊的に未熟であればあるほど物質的要素を多く持っているために、地上世界との接触がしやすくなります。そうした霊たちは人生の落伍者のような存在で、嘘を言って地上人をからかったり、地上人を混乱させて困らせたり、苛めたりすることに喜びを感じるのです。そしてデタラメな通信を地上に送ります。何も知らない地上人は、そうした低級霊からの通信をありがたがって受け入れますが、彼らはそれを眺めてほくそ笑んでいるのです。

このような悪質な低級霊とは別に、他界して間もない霊が通信を送ってくるケースもあります。この場合、霊は物質的要素をまだ拭い去っていないために、物質的世界と容易にコンタクトを取ることができるのです。しかしそうした霊は霊界の新参者ですので、それほど価値のある通信を送ってくることはありません。

一般的に行われている霊界通信の大半(90%以上)が、“低級霊・未熟霊・新参霊”からのものです。そうした霊たちから価値のある教訓やメッセージが送られてくることはありません。人類全体にとって本当に価値のある知識や教訓を得るためには「優れた通信霊(高級霊)」からのものでなければなりませんが、高級霊が地上に通信を送ってくることは、めったにないのです。

通信内容の矛盾について

霊界にいる霊たちは、自分の至ったレベルまでのことしか知ることができません。自分の霊格以上の世界については全く分からないのです。ところが多くの霊が、自分が見たり体験したことがすべてであると思い込んで地上に通信を送ってきます。通信霊の「霊格」は、それぞれ異なりますので当然、地上で受け取る通信内容は違ってきます。その結果、(通信霊の霊格の違いによる)通信内容の矛盾という問題が発生することになります。

こうした通信内容の矛盾の最たるものが、“再生”についての問題です。ある霊は「再生はある」と言い、ある霊は「再生はない」と言います。このためスピリチュアリズム界は、再生の問題をめぐって長い間二分されてきました。現在ではシルバーバーチなどの高級霊の通信によって“再生”については、一定のレベルに達した霊でないかぎりその事実を知ることはできないことが明らかにされ、この問題にほぼ決着がつきました。

通信霊と霊媒のオーラの融合の問題

――通信霊と霊媒の連携性

霊界通信において問題となるのは、霊がいかに上手に霊媒の潜在意識を支配するかということです。「通信霊と霊媒のオーラの融合」の問題です。霊媒の潜在意識の支配は、霊媒のオーラと霊自身のオーラを融合化させることによって可能となります。ですから初めはぎこちなかった霊界通信も、回を追うごとにオーラの融合化が進み、洗練されたものになっていきます。霊界通信によって霊界の高い情報を得るためには、霊と霊媒の洗練された連携プレーが必要不可欠となるのです。

地上の霊媒(チャネラー)の潜在意識の中に、霊媒自身の強烈な主張や意見が内在していると、オーラの融合化がスムーズに進みません。オーラの融合が不十分な状態では、通信霊は霊媒の潜在意識を思いどおりに用いることができなくなります。そこで通信霊は、とりあえず霊媒の潜在意識内の意見や知識を吐き出させ、潜在意識を使いやすい状態にもっていきます。こうして吐き出されたものが、人々にはまるで霊界からの通信のように映るのです。霊媒が知識欲旺盛でいろいろな本を読み漁っているような場合には、特にその傾向が強くなります。言うまでもなくそうした状況で霊媒を通して語られる内容は、たとえ霊媒がトランス状態にあったとしても、霊界からの通信ではありません。

私たちが霊界通信に触れるときには、通信内容に、どの程度まで霊媒(チャネラー)の潜在意識の内容が混入しているかをチェックしなければなりません。アメリカの“チャネリング”を見ると、あまりにも霊媒の潜在意識内の知識が混入していることが分かります。時には通信内容の大半が、霊媒の知識に他ならないといったものまで見受けられます。

少し注意すれば、その程度の情報なら、わざわざ霊界通信でなくとも、あちらこちらに出回っている本から入手できるということに気がつくはずです。ところが困ったことに、潜在意識の関与を見抜くことができない地上人は、それを進化した宇宙人や霊からの通信のように思い込んでしまうのです。

また低級霊とのコンタクトを安易に許してしまうような程度の悪い霊媒(チャネラー)の場合には、低級霊が意識的に霊媒の潜在意識に内在する低俗な思想を利用することになります。そしていい加減なストーリーをつくり出し、通信として語るのです。この時、霊に利用されている霊媒は、自分自身の潜在意識が悪用されていることに全く気がつきません。そのため霊媒自身も、それを本当の霊界通信と錯覚してしまうことになります。

霊界からの情報伝達は、非常に複雑なプロセスを経て行われます。大抵の人々は、入神霊媒や自動書記は、霊が霊媒に乗り移って、霊媒の口や手を使って話をしたり文字を書くと思っています。しかし実際には、霊が霊媒の口や手を、直接的に使用するわけではありません。

少し難しい話になりますが、そのメカニズムを述べると次のようになります。人間には、今自覚している意識とは別の“潜在意識”があります。私たち地上人の日常の行動の多くが、実はこの潜在意識によって自動的に営まれるようになっています。潜在意識とは、日常生活の行動や思考のコントロールタワー(司令塔)のようなところと言えます。霊が霊媒の潜在意識の言語活動を司る部分を支配すると、霊は、霊媒が日常用いている文法や単語を用いて、自分の考えを伝えることができるようになるのです。

高級霊からの通信となると、こうした作業がきわめて難しくなります。一方、物質性の多い低級霊や、死後間もない霊の場合は、霊媒の潜在意識に自分の意識を吹き込むだけで簡単にメッセージを伝えることができるようになるため、通信は意外と簡単に行われます。低級霊や未熟霊からの通信が多いのは、このような理由によります。

ホワイトイーグルの霊界通信は、スピリチュアリズムの中ではかなり定評のあるものとされています。しかしこの霊界通信には、内容的にきわめて高度で優れたものがある一方で、霊媒であるグレース・クックの潜在意識の影響がかなり濃厚に見られます。キリスト教主義や神智学の思想が色濃く存在しているのは、霊媒の潜在意識による脚色と思われます。

霊媒の人格性・霊性の問題

霊界通信のレベルの決定には、さらに別の重要な要素が影響します。それは「霊媒の人格性・霊性」という問題です。霊媒の霊性が低く、下品で人格性が劣り、物質性・本能性が強いときには、体全体から物質的な低いオーラが発散されます。そのような人間に、高級霊が接触を図るはずはありません。どのようにしても霊的純粋度の高いものを扱うことはできません。高級霊が用いる霊媒とは、人格性・霊性ともに優れ、本能性が少なく、自己犠牲の精神に富んだ人間に限られます。

率直に言えば、巷で見られる大半の霊媒者その多くが霊能力を金儲けの手段としています)は、高級霊ではなく俗悪な低級霊の道具になっています。高級霊に相応できる霊媒は、めったにいるものではありません。

外部からの不純な情報混入の問題

霊媒がペテンや詐欺などをしようという悪意はないのに、無意識のうちに真実でない情報を地上人に伝えてしまうことがあります。先に述べた潜在意識内の知識を吐き出すケースもその1つです。それ以外にも、霊媒がテレパシーによって他の霊や地上人から入手した情報を、通信霊からのものと錯覚して伝えてしまうという場合があります。

また交霊会の参加者や審神者さにわが、特定の意識や考えに強くとらわれていると、その思念が霊媒の潜在意識に紛れ込んでしまうようなことがあります。ある種のテレパシー現象と言えますが、この場合、通信霊自体を巻き込んでしまうようなこともあります。地上人の霊気によって通信霊が自分自身を見失い、通信霊としての立場に立てなくなってしまうのです。こうした状況で霊媒が伝える情報は本物ではありませんが、誰もその間違いを見抜くことができません。それを見破ることができるのは、よほどの鑑識眼を身につけた人間でないかぎり無理なのです。

「小桜姫通信」は、浅野和三郎による日本スピリチュアリズム初の本格霊界通信としてよく知られています。この霊界通信には、サニワを務めた浅野の思考(神道主義)が濃厚に反映されています。まさにここで述べた外部からの不純な情報混入の典型的な実例と言えます。さらにこの通信には霊媒である夫人の潜在意識の混入・脚色が見られます。

現在、小桜姫の墓の所在が明らかにされ、小桜姫の実在が確認されていますが、霊界通信の内容がそのまま事実であるということにはなりません。霊界通信の内容は、通信霊の霊界における歩みをそのまま示しているのではなく、地上人の思念の反映であったり、それを基にした霊媒の脚色である可能性があるのです。

スピリチュアリズムにおける厳しい検証

以上述べてきたようなさまざまな理由から、一口に霊界通信と言っても、内容的にピンからキリまでのレベルが生じることになります。それを整理すると次のようになります。

霊界通信のレベル

スピリチュアリズムは、これまで霊媒現象や霊界通信に対して徹底した検証を行ってきました。それを通じて本物とニセモノを厳しく区別し、さらには通信内容のレベルを見定めてきました。その結果、現在までにいくつかの本物の霊界通信が発見され、その真価が認められています。

その中で特に優れたものが、後で述べるモーゼスの『霊訓』・『シルバーバーチの霊訓』・カルデックの『霊の書』で、これらは“世界三大霊訓”と言われています。世界三大霊訓の中には、スピリチュアリズムの思想・教訓の真髄が凝縮されています。とりわけ『シルバーバーチの霊訓』は、最高レベルの霊界通信というべきもので、質量ともに抜きん出ており、地上人類が手にした最高の叡智・教訓と言えます。

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