スピリチュアリズム・トピックス

アメリカ・イギリス事情

ニューズレター第17号

2月18日、滞在先のニューヨークのホテルで、たまたまテレビを見ていました。その日は丁度、プレジデント・デイ「大統領の日」で、それにちなんでABCテレビでは、「ケネディー家の特集番組」を放映していました。

アメリカでは毎年、歴代大統領に対する人気投票が行われ、その結果がこの日に発表されます。今年もリンカーンが1位でした。これまでの人気投票の結果を総合すると、1位リンカーン、2位J.F.ケネディーとなります。

アメリカ人が最も偉大な大統領と考えている「リンカーン」は、生前、交霊会に深い関心を示し、霊の声に耳を傾けていたことがよく知られています。有名な“奴隷解放宣言”は、当時の政治的情況に発表を渋っていたリンカーンに対して、霊側が催促するという形で、1861年に実現しました。

そのリンカーンは現在、霊界でシルバーバーチ霊団の一員として働いています。シルバーバーチの部下の一人として、スピリチュアリズムのために働いているのです。

こうしたことは、アメリカ人にとってなかなか受け入れ難いことかも知れませんが、紛れもない霊的事実なのです。アメリカの歴代大統領の中で最も偉大なリンカーンは、今、霊界で、私達地上のスピリチュアリストと同じ方向に向かって努力しています。その意味で、リンカーンにとって一番身近な存在は、アメリカ国民ではなく、私達スピリチュアリストということになるでしょう。

リンカーン像
ワシントンにある「リンカーン記念館」のリンカーン像

アメリカ人がリンカーンに次いで偉大な大統領と考えている「J.F.ケネディー」は、どうでしょうか。アーリントン墓地にあるケネディーの墓には、毎日大勢の人々が訪れ、アメリカ国民の間における彼の人気の高さをうかがわせます。

ケネディーの墓の隣には、ジャクリーン夫人オナシスと再婚。オナシスの死後米国に戻り、他の男性と同居、死を迎えた)の墓、流産した未熟児、生後数カ月で亡くなった赤ちゃんの3つの墓が並んでいます。去年、飛行機事故で死んだ息子J.F.ケネディー・ジュニアの墓は、ここにはありません。生前の彼の意向を尊重して、海に散骨したということです。

故J.F.ケネディー大統領は、近年、某霊媒者を通じて、地上に通信を送ってきています。それによると、霊界に行ったケネディーは、自分の霊的内容のなさを痛切に感じたようです。そして次のようなことを言っています――「わたしは、あのような高い地位にふさわしい人間ではありませんでした。あの地位は、努力ではなく金で手に入れたものであり……。いまにして思えば、わたし自身の外部にあり、あなた方の世界の外部にあるもっと大きな力が(暗殺という形で)わたしをあの地位から解放してくれたということがわかります。」

この霊界通信が本物かどうかの確証はありませんが、生前のケネディーの行状を考えると、「なるほど……」と頷けます。ケネディーの女好きは広く知られていましたが、それは彼の本性・霊性の内容の一部を示しています。政治家としての力量は優れていたものの、霊的存在としての内容は、それほどではなかったようです。

さて英国では、去る2月9日にマーガレット王女エリザベス女王の妹)が71歳で死去されました。

イギリス王室のスピリチュアリズムとの深い係わりは、ビクトリア女王の時代に始まっています。夫アルバートの死後、ビクトリア女王は交霊会にのめり込み、「霊のお告げで政策を決定している」とまで批判されるほどでした。

近年では、故アスローン伯爵と故マリー・ルイーズ王女が、何度もハリー・エドワーズ治療院に足を運び、“スピリチュアル・ヒーリング”を受けていたことが知られています。2人は熱心なスピリチュアル・ヒーリングのファンだったのです。マリー・ルイーズ王女は、エリザベス女王の戴冠式に出席するため、その2日前に老体に鞭打ってハリー・エドワーズの所へ足を運び、霊的エネルギーを補給してもらって式典に臨みました。

最近では、アン王女がスピリチュアル・ヒーリングを受けたことや、チャールズ皇太子がスピリチュアル・ヒーリングも含めたホリスティック医学に、積極的に協力していることが知られています。

先頃亡くなったマーガレット王女ですが、彼女は生前から霊的世界についての知識を持っていました。死後の世界の実在や、そこでは一切の肉体的苦しみがなくなることや、死は第2の人生の出発であることなどを、しっかりと認識していました。

話はさかのぼりますが、ジョージ6世エリザベス女王・マーガレット王女の父君)が死去された際、しばらくして密かに“交霊会”が催されました。霊媒は有名なリリアン・ベイリーで、彼女は交霊会の参加者の身元を一切知らされていませんでした。リリアン・ベイリーは霊媒の務めを果たし、深いトランス状態から醒めて目を開けたとき、初めて参加者が王室一族であることを知りました。エリザベス女王、女王の母君クイーン・マザー、彼女はジョージ6世の妻で現在101歳)、アレクサンドラ王女、フィリップ王子、そしてケント公爵夫人であることに気がついたのです。

マーガレット王女は、その交霊会には参加していませんでしたが、交霊会で父親の霊が現れ喋ったことを、間違いなく聞いたはずです。その後、クイーン・マザーは、何度もベイリー夫人を呼んで交霊会を持つことになりました。

さて故ダイアナ妃が、英王室内で唯一頼りにしていたのが、マーガレット王女であったことはよく知られています。ダイアナ妃とマーガレット王女には、本人自身の不倫・夫の不倫・離婚という、どろどろした共通の人生経験があります。

ダイアナは、多くのスキャンダルを引き起こし、英王室の伝統的権威を大きく傷つけることになりました。しかしその一方で、リタ・ロジャーズという女性霊媒者と親しく交わり、彼女の熱烈な信奉者でもありました。ダイアナは、霊界からのメッセージに耳を傾けるという一面も持っていたのです。

ダイアナは、交通事故で死ぬ半月前に、彼女と一緒に事故死することになる恋人ドディーとともに、ヘリコプターでリタの家を訪問しています。そして事故の前日には、パリからイギリスの彼女の家に電話をしています。リタ・ロジャーズとダイアナについては、最近発刊された『愛の絆』野村安正訳・中央アート出版社に詳しく述べられています。)

英国王室はこれまで、さまざまなセックス・スキャンダルを引き起こし、肉体的煩悩にふり回される地上人の醜い姿を露呈してきました。しかしその一方で、大勢の王室関係者が霊の存在を信じ、交霊会に参加するという、スピリチュアリズムとの係わりを持ってきました。物質世界での多くの煩悩に翻弄ほんろうされながらも、霊界の存在を信じ、霊のメッセージを求めるという素朴な霊的姿勢を持ち続けてきたのです。

シルバーバーチは、英王室存続についての意見を求められたとき――「国民の心を一つにするものは大切にすべきです」と答え、王室の存続に肯定的な見解を述べています。シルバーバーチがこうした見解を述べたのは、英王室がスピリチュアリズムのPRに大きな貢献をしているという一面も考慮していたものと思われます。

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