トニー・オーツセンの近況と、シルバーバーチからの贈り物

ニューズレター第16号

皆さんは、“トニー・オーツセン”という名前をご存じでしょうか。潮文社の『シルバーバーチの霊訓』のうち2冊、コスモ・テンの『シルバーバーチ愛のシリーズ』3冊、ハート出版の『古代霊シルバーバーチのシリーズ』3冊の編集者です。トニー・オーツセンはバーバネルが他界した後、サイキック・ニューズ(週刊心霊紙)の編集長の座を引き継ぎました。その後サイキック・ニューズ社を去り、現在はツーワールズ(月刊心霊誌)の編集長として多忙な日々を過ごしています。

トニー・オーツセン

英国における代表的な心霊情報誌は、ここに挙げた「サイキック・ニューズ」と「ツーワールズ」です。サイキック・ニューズは、シルバーバーチの霊媒であったバーバネルが創刊したもので、『シルバーバーチの霊訓』を地上に広めるために、霊界からの導きを受けていたものと思われます。バーバネルの死後、トニー・オーツセンが編集長になりますが、10年ほど前に彼はそこを去り、やがてサイキック・ニューズ社は経営難から他社に身売りすることになりました。サイキック・ニューズは現在も発行されていますが、オーツセンの手を離れた今は、内容的にはまったくと言ってよいほど魅力のないものになってしまっています。

もう一つのツーワールズは、英国のスピリチュアリズムの草創期(1887年)に、有名な女性霊媒であったエマ・ハーディングによって創刊されました。今年は創刊115年目にあたり、2002年1月号で4295号を数えます。その発行回数が示すとおり、世界で最も権威と歴史を誇る心霊誌と言えます。バーバネルもこのツーワールズの編集長を務めたことがあり、当初は週刊だったのが、バーバネルの代に月刊となりました。そして時をへて、今はオーツセンが編集長をしています。 

『シルバーバーチの霊訓』は、このサイキック・ニューズとツーワールズという二つの心霊誌によって世界に送り出されることになりました。

ツーワールズの編集長のトニー・オーツセンですが、彼は現在わずかなスタッフとともに、ツーワールズ存続のために日夜奮闘しています。ご存じのようにシルバーバーチの交霊会は、1981年バーバネルの死去によって終わりました。オーツセンは、バーバネルから特別厚い信頼を受けた部下であり、息子のような存在でした。そしてオーツセンはレギュラー・メンバーとして、シルバーバーチの交霊会に参加していました。交霊会参加者の多くが他界した現在では、オーツセンはまさに「生き証人」と言える存在です。当時は若手のホープであった彼も、すでに還暦を迎える年齢になっています。

ツーワールズやサイキック・ニューズなど、さまざまな情報から判断すると、英国のスピリチュアリズムは今、大きな峠にさしかかっているように思われます。英国はスピリチュアリズムが最も盛んな国であり、国内各地に多くのスピリチュアリズム・チャーチが存在しています。また多くの研修機関があって啓蒙活動をしています。

しかし正直に言って、現在の英国のスピリチュアリズムにはあまり魅力がありません。かつての生き生きとして燃え上がるような“霊的生命”が感じられなくなっています。依然として古いスピリチュアリズムの形態を引きずったままで、半分形骸化しかけているように見受けられます。

そこではシルバーバーチが説くような、霊的な生き方・信仰的な生き方を求めている人は、ほとんどと言ってよいほど見られません。スピリチュアリズムの中心的組織である“大英スピリチュアリスト協会”(SAGB)では、まるで霊感占いと大差のないようなリーディングが当たり前のこととして行なわれています。またハリー・エドワーズが初代会長を務めた“英国霊的治療家連盟”(NFSH)では、所属するヒーラーの数こそ数千人にのぼるものの、「霊医」の存在さえも知らないような情けないヒーラー達によって治療が行われています。要するに霊的な質において、あまりにも進歩向上が見られないのです。底辺の広がりはあっても、質的には決して褒められる状況にはありません。

英国のスピリチュアリズムの現状を知るたびにがっかりしますが、そうした中にあって、トニー・オーツセンは、シルバーバーチがバーバネルの後継者として選び、使命を託したのにふさわしい人物です。彼の内容を知れば知るほど、本当に良い人材が準備されたものだと感心します。彼は本物のスピリチュアリストです。真のスピリチュアリズムの同志であり、英国のスピリチュアリズムの実質的な霊的中心人物と言えます。

そのトニー・オーツセンも現在に至るまで、スピリチュアリストならではの苦しい道を歩んできました。そして今も、まさに孤軍奮闘という言葉がぴったりのハードな毎日を送っています。心からの援助者がほとんどいない中で、仕事に忙殺される日々を過ごしていますが、彼は「ひまよりは、忙しい方がましさ」といつも口癖のように言っています。

彼のレターには、常に繊細でさわやかな心づかいが満ちあふれています。まるで日本人と話をしているような感覚に打たれることがあります。英国で狂牛病や口蹄疫こうていえきが大流行したときには、病気の牛が大量処分される映像を見ていられず、テレビのスイッチを切ってしまったそうです。私達(心の道場のメンバー)はベジタリアンで肉は食べないと言うと、彼は、「自分も厳格なベジタリアンで、肉だけでなく、チーズ以外の一切の乳製品も摂らない」と言っていました。

昨年、そのトニー・オーツセンから、素晴らしい二つのプレゼントをいただきました。それらはトニーが、バーバネルとシルビアの死後、形見として保管していたものです。一つは小さな大理石の灰皿です。半世紀にわたって、シルバーバーチの交霊会が開かれた居間のサイドテーブルの上に置かれていたものです。シルバーバーチの霊に包まれた部屋の中で、等しく聖なる霊に浸った灰皿です。トニーが言うところによれば、バーバネルは紙煙草から途中で葉巻に変えたそうです。

もう一つのプレゼントは、バーバネルとシルビアの個人的なアルバムです。1933~36年にかけて、主にバーバネル夫妻が海外旅行に出掛けたときのプライベートな写真が貼られています。第2次大戦前のもので、台紙はボロボロになりかけていますが、当時を偲ばせる150枚ほどの写真が収められています。その中には、バーバネルとシルビアの水着姿もあります。バーバネルの当時の水着は、上下が一つにつながったワンピーススタイルで、先のシドニーオリンピックで登場した最新男性水着と同じ形をしています。)

スペインでバカンスを楽しむバーバネルとシルビア夫妻
スペインでバカンスを楽しむ二人(1935年)
若き日のバーバネルとシルビア夫妻
若き日のバーバネルとシルビア夫妻(1936年)

写真はバーバネルが30代前半の頃に撮られたものです。シルバーバーチからの通信は彼が18歳のときに始まっていますから、現在私達が手にしている霊訓のうち、初期のものが降された時期だと思われます。

私達は、このプレゼントはスピリチュアリズム普及会のメンバーだけでなく、日本のスピリチュアリスト全員に対する「シルバーバーチからの贈り物」であると感じています。そしてこうした嬉しい出来事は、日本に『シルバーバーチの霊訓』を中心とした本物のスピリチュアリズムが展開する時期が到来したことを示しているようにも思えます。今後日本において、霊的教訓を人生の指針として歩む「真のスピリチュアリスト」が、次々と輩出されることを暗示しているのではないでしょうか。

トニー・オーツセンにはそうした思いを伝え、お礼を述べました。

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