スピリチュアリズムの天使論

――神秘のベールに包まれている“天使”の実像

ニューズレター第43号

霊界には、人間の霊以外の生命体(霊的生命体)が存在します。それが天使であり妖精です。古来より宗教や伝説を通じて、天使や妖精について語られてきました。もちろんその多くが作り話であり、真実の天使や妖精の様子を述べているものではありません。しかし現実に霊界には、天使や妖精が存在しています。そして人間と深い関係を持っているのです。今回は、スピリチュアリズムによって明かされた天使の実像について学ぶことにします。内容は次のようになっています。

今回の43号では1~7までを取り上げ、残りは次回に掲載いたします。

1.天使とは、どのような存在なのか

自然霊としての天使・妖精

天使や妖精は、地球などの物質世界に一度も肉体を持って生まれたことがありません。この霊的存在を“自然霊”と呼ぶことがあります。そして天使を高級な自然霊、妖精を下級な自然霊としています。しかし自然霊という呼称は、地球人類を基準とした見方であり、そこからイメージされる天使の姿は、実際とは大きく懸け離れています。

天使と人間は神の創造のわざの中では対等な関係にありますが、霊的進化という点から見ると、地球人類は天使の足元にも及ばないというのが実情なのです。

キリスト教神学と天使論

地球人類の歴史上、キリスト教は最も精力的に、天使の究明に取り組んできました。キリスト教では天使に多大な関心が向けられ、多くの見解が示されました。やがて神学の中に天使に関する分野(天使論)も生まれるようになりました。

しかしキリスト教を通して提示された内容の大半は、推量の域を出ていません。地球人が勝手に解釈した天使像を述べたにすぎません。

スピリチュアリズムでも、ほとんど明らかにされていない天使の実態

これまでスピリチュアリズムでは、天使についてはあまり多く語られてきませんでした。死後、霊界にいる人間霊についての記述は膨大な量に上りますが、それと比較するなら、天使についてはほとんどないと言ってもよいほどです。おそらくこれには、霊界側の意図があったものと思われます。まだ地球人の霊的レベルでは、天使について知ることは時期尚早との判断がなされたものと推察されます。死後は霊として生きる、霊が永遠に住む霊界があると言っても頭から信じない多数の人々がいる現状では、天使について大々的に語ることは、むしろ弊害を引き起こす可能性があります。

スピリチュアリズムでは、さしあたり現在の地球人の霊的レベルに合った霊的知識をもたらすことを優先し、天使に関しては“しばらく秘密にしておくべき”との決定がなされているものと思われます。数百年後には、今よりもっと天使について明らかにされるようになるはずですが、残念ながら現在に生きる私たちは、天使について多くを知ることはできません。ここでは、これまで明らかにされた範囲で天使について述べていきます。

2.天使界と人間界

宇宙に存在する無数の「人間界」

神の造られた宇宙には、私たちが住んでいる地球と同じように、物質的身体(肉体)を持った人間の住む天体・惑星が無数に存在します。そこに生きる人間たちは、地球人と同様に肉体を持って物質世界に生まれ、物質世界で成長し、やがて死を迎え、霊体となって霊界に行きます。そして再び物質世界に再生し、死後また霊界に行くことになります。こうした一連のプロセスを通して進化の道を歩んでいきます。

現在の最新の科学は、私たちが住んでいる3次元の宇宙空間以外に、次元を異にする別の宇宙が存在することを予想しています。同じ物質世界でありながら、次元の異なる無数の宇宙が存在する可能性があるというのです。もしそれが事実とするなら、人間の存在する天体は、無限ともいえる膨大な数に上ることになります。

さて、こうした天体のそれぞれに、それを取り巻くように霊界が広がっています。地球のような人間が存在する天体(物質界)と、それを包むように展開している霊界を合わせて「人間界」と言います。

私たちの地球は、その無数の人間界の一つにすぎません。物質世界である地球とそれを取り巻く地球圏霊界を合わせたものが、私たちの所属する人間界です。この人間界(地球圏)は無数に存在する人間界の中で、際立って歴史が浅く、進化のレベルが最も低いものの一つなのです。

天使界と人間界

神の造られた世界は、霊的世界と物質世界(宇宙)に大別されます。天使はこの両方の世界にくまなく存在し、その場全体を天使界としています。神の造られた世界のすべて(神の王国)が、そのまま天使界となっています。

したがって天使界を大海に譬えるならば、宇宙に数限りなく存在する人間界は、大海に浮かぶ無数の小島ということになります。無数の人間界は、天使界の中に点在しています。

天使界と人間界

天使界のヒエラルキー

――副小見出し

神の造られた霊界と物質世界(宇宙)のすべて、すなわち神の王国全体が、そのまま天使界となっています。そしてそこに住む無数の天使たちは、霊的進化を基準とする「ヒエラルキー(ピラミッド状の上下階級世界)」を形成していますヒエラルキーという言葉は、ギリシア語で「神聖なものの統治」すなわち「天使の階級」を意味しています)。キリスト教神学の天使論では、天使界がヒエラルキー(階級組織)であると説明していますが、この点においては本質を的確についています。霊界全体・宇宙全体にわたる天使界のヒエラルキーの頂点には、最も進化した天使(最高級天使)が位置し、そこから高級天使、天使、下級天使というピラミッド型の上下関係がつくられています。

私たちの属する太陽系にも天使界が展開し、その頂点には太陽系全体の運行を統括する高級天使が存在しています。そして地球圏に関わる天使たちは、その太陽系を統括する高級天使の支配の下に置かれています。太陽系に所属するすべての天使は、この太陽系天使界の最高の天使を仰いでいます。こうした太陽系天使界の上には、延々と天使のヒエラルキーの界層が存在しているのです。地球上で古来より行われてきた“太陽神信仰”は、このような「天使のヒエラルキー」の観点から見ると、それなりの正当性が認められることになります。大霊という唯一神の神観が確立されていなかった時代においては、人々が純朴な信仰心から太陽を信仰の対象と見なしていたことは、ある意味では当然と言えるかもしれません。)

この壮大な天使のヒエラルキーの中で、地球圏に関係する天使界は下位に位置します。天使界全体のヒエラルキーの中で、それほど高いところではなく、むしろ底辺近くに位置しているのです。

神の造られた霊界・宇宙という神の王国は、天使のヒエラルキーによって統制が行き届き、一大調和世界を形成しています。神の造られた王国は、天使によって完全な調和性を保ちつつ、全体として進化のプロセスを歩むようになっています。

天使界のヒエラルキー

3.天使の使命と役割

神の造られた世界(神の王国)がそのまま天使界となっていますが、この広大な天使界の構成員である天使たちには、どのような使命・役割が神から与えられているのでしょうか。神はどのような目的を持って、無数の天使たちを創造されたのでしょうか。

神の王国の役人

神の王国の創造者である大霊(神)は、神の王国の国王と言えます。天使たちは、その王国の管理・維持を神(国王)から託された役人・管理者です。神の王国の役人(天使たち)には、今述べたように上級から下級に至る階級(ヒエラルキー)が存在します。そして上の役人から末端の役人へと、神(国王)の命令と意志が伝えられるのです。神の王国の中で私たち人間の所属する人間界は、広大な王国の中に点在する無数の村落と言えます。地球は、その村落の中の一つなのです。

天使は神の役人として、また神の代理者として、人間を支配・管理します。とは言っても人間は神から“自由意志”を与えられ自由性が確保されているため、「霊的成長」に関係する領域については、天使といえども強制的に管理することはできません。人間は神の王国の住人として一定の自由を与えられ、その枠内で生活するように創造されているのです。

神の法則の執行官

一方、天使たちは、神の王国の役人・管理者としてばかりでなく、「神の摂理」の執行官として神の王国の秩序を守ります。人間の行為が、神の定めた規則(摂理)通りになされているかどうかをチェックし、摂理に一致していれば霊的成長を承認し、もし規則から外れたときには修正の道を示します。これが「償いの法則」の執行です。

天使には、こうした神の王国の執行官としての役目が与えられています。

神と人間の中継者

それと同時に天使は、神と人間の中継者として、両者の間を取り持ちます。神の意志を伝達し、神の真理を、神の王国の隅々にまで行きわたらせる役目を担っています。

神の愛の伝達者

天使はまた、“神の愛”の伝達者としての役目も与えられています。神の愛は、複数の天使を中継して人間に届けられます。これが神の愛の直接的な伝達ルートです(天使のヒエラルキーを通じてのルート)。

神の愛の伝達には、もう一つのルートがあります。それが人間霊のヒエラルキーを通じての間接的な神の愛の伝達です。地球人のヒエラルキーの頂点には、イエスがいます。このイエスの愛が、多くの高級霊を通じて末端の霊にまで届けられます。そして最後に私たちの守護霊・背後霊を通じて、一人一人の地上人に届けられることになります。

さて、そのイエスですが、イエスはさらに霊的レベルの高い高級天使から“神の愛”を与えられています。したがっていずれの神の愛の伝達ルートも、すべて天使を中継しているということになります。

神の愛の二通りの伝達ルート

4.天使と人間の共通点

天使と私たち人間では、どのような点が同じで、どのような点が違っているのでしょうか。ここでは天使と人間の共通点を通して、天使の実態を明らかにします。

ともに同じ“ミニチュアの神”

神(大霊)によって創造された分霊的存在であるという点においては、天使と人間は同じ立場にあります。両者はともに、神(大霊)の分霊(ミニチュアの神)を本質・本我としています。その意味で神は共通の「親」であり、天使と人間は同じ「神の子供」ということになります。

ともに永遠の個別的存在

私たち人間は、神によって分霊的存在として創造されました。そしてその瞬間から、永遠の個別的存在として、永久に生き続ける宿命が与えられたのです。したがって今後、再び神のもとに戻り、神と融合化して個性を失うようなことにはなりません。

私たちが“永遠の存在”であるということは最大の神秘です。もし遠い将来、何十億年かの後に太陽系のすべてが消滅する、宇宙全体が消滅するというような事態を迎えたとしても、いったん神から独立性を与えられた人間は、霊として霊界で永遠に存在し、進化の道をたどっていくことになります。地上世界(物質世界)で同じ個別的存在として創造された動物が、死後はその個別性を失い、集合的な霊魂(動物の類魂)の中に吸収・融合されるのとは根本的に違っています。

天使も私たち人間と同じく、いったん神によって創造され個別霊となった後には“永遠の存在”として霊界で生き続けることになります。

ともに永遠の進化の道をたどる

天使と人間の最大の共通性は、神によって創造された分霊的存在であるという点ですが、これはともに神によって「永遠に霊的進化をする存在」として造られたということを意味しています。永遠の進化の道をたどっていくのは、人間だけではありません。人間の数をはるかにしのぐ天使たちも皆、永遠の進化の道を歩んでいるのです。そうした限りない進化のプロセスを通して、天使と人間は互いに神に近づいていくことになります。そして神に近づけば近づくほど、より大きな幸福が得られるようになっています。

宇宙に散在する無数の人間界は、その構成員である人間の霊的向上にともない、霊的進化をとげていきます。地球人の霊的進化とともに、地球という惑星自体も進化していくのです。それと同様に、広大無窮の全天使界(神によって造られた全霊界と全宇宙)も、天使の霊的向上とともに進化の道をたどることになります。こうして天使界も人間界も、徐々に神に近づいていくことになります。

ともに神への奉仕と愛を通して、霊的成長をする

人間の霊的成長は「利他愛の実践」、すなわち他者に対する「無償の奉仕」を通してなされます。純粋な奉仕は神を愛することになり、人間にとって最も大切な霊的成長を促すことになります。

純粋な奉仕への意欲・利他愛への意欲は、霊的な本能です。肉体の本能がさまざまな肉体的欲求を喚起するように、“魂の本能”は利他的行為(奉仕)を欲求するようになります。そのため霊界では、すべての霊が奉仕の仕事を希求し、心から喜んでその仕事に携わっています。仕事自体が他者への奉仕・利他愛の実践となり、その結果、神を愛し神に近づくことになるからです。

地上人も、他の人間(同胞)や動植物を正しく愛することによって神に奉仕し、神を愛することになり「霊的成長」がもたらされます。そして利他的行為という摂理に一致した生き方によって、神が準備された幸福を満喫することができるようになります。これが「利他愛の法則」です。

人間だけでなく天使も、この利他愛の法則(摂理)に支配されます。天使は、神への奉仕を通して神を愛し、それによって「霊的成長」を達成して神の準備された幸福を手にすることになります。天使にとっての「神への奉仕」とは、神から与えられた使命・役割を忠実に遂行することに他なりません。神の王国の役人・神の摂理の執行者としての役割を果たすことによって神に奉仕し、神を愛することになります。その結果、霊的成長が促されることになるのです。

ともに大霊のみを崇拝の対象とする

天使はこれまで、未熟な地球人から神々として崇拝されてきましたが、当の天使たちは皆、神(大霊)のみを崇拝の対象としています。天使を神々として信仰の対象・崇拝の対象とするというようなことは、進化の未熟な地球であればこその話なのです。

低級天使は、高級天使の厳格な支配下にありますが、その低級天使が高級天使を崇拝の対象とするようなことはありません。シルバーバーチが、地球圏霊界最高の高級霊であるイエスに対して――「尊敬はしても信仰の対象・祈りの対象としてはならない」と言っているのと同じことなのです。

ともに知・情・意を含む心を持つ

人間の心は、しばしば「知・情・意」の働きから説明されます。人間の心は、知性・感情・意志の内容によって、さまざまな様態を示すようになります。知性の働きが優れている人と、そうでない人がいます。愛情深い人・思いやりのある人と、情的なものが乏しい人がいます。高貴な感情(利他愛)を持っている人がいる一方で、感情は豊かであっても利己性の強い人・感情の不安定な人もいます。また意志の力が強くて忍耐力や積極性に富む人もいますし、その反対の人もいます。このように知・情・意の内容の組み合わせによって、人間の心にはさまざまなパターンができ上がります。一人一人の心はそれぞれ異なり、十人十色となります。

天使も人間と同じような心を持ち、その心には「知・情・意」の要素が含まれています。天使と人間の心にはこうした共通性がありますが、同時に大きな違いもあります。それは天使の心は純粋に霊的なものであるのに対して、人間の場合は、よほど進化した者(高級霊)でないかぎり、大なり小なり物質性(肉体本能性)が心の中に存在しているということです。天使と人間の心には、このような隔たりがあります。心の全体の傾向を支配するベースが、天使と人間では異なっているのです。このため知・情・意のいずれの点においても、天使は人間よりもはるかに優れているということになります。高級霊の優れた知性と情(愛情)を、さらに高めたものが天使の心と言えます。天使は生まれながらにして高級霊であり、人間よりもずっと神に近い心を持っているのです。

天使は、人間に霊的真理を示す立場にあり、神の役人として摂理に通じていなければなりません。天使は、人間の高級霊に真理を示すこともあります。そうした天使は、人間からすれば、最高に優れた知性・神のような知性を持っているということになります。天使はまた、神の愛を伝える使命を持っている以上、人間にとっては神のような愛・深くて純粋な愛の持ち主ということになります。神の愛を与えることができる神の代理者であり、その愛は完全な利他性そのものです。それは高級霊の純粋な利他愛を、さらに一段と高めたものと言えます。

もう一つの心の要素である「意」については、確かなことは地上人にはほとんど知らされていません。しかし次のように推測することができます。天使が私たち人間と同じように永遠の個別的存在として造られ、しかも高度な知性を付与されている以上、単なる神のロボットでないことは明らかです。天使は私たち人間が有しているような“自由意志”を持っているはずです。

私たち人間はこの自由意志によって、神の摂理に反した方向に向かうことができますとは言っても一定の枠内における自由が与えられているだけで、無制限の自由ではありません。そのため摂理から外れた場合には、摂理の働きによって歯止めがかけられたり、復帰の方向が示されるようになります)。それに対して天使は、摂理の執行人・摂理の管理人としての役目上、自由意志を持ってはいても人間のように摂理から外れるといったことはありません。自由意志がありつつも、神の叡智によって設けられた何らかの管理システムの下に置かれていると考えられます。すなわち天使は高度な知性を持ちながらも、人間とは異なる制約のともなう自由意志を付与されているということです。

天使も人間と同様、誕生して成長のプロセスをたどることになります。その成長の一定段階で、天使としての資格を有することになる、人間でいえば成人することになりますが、それまでは上位の天使によって一方的な支配を受け、その下で、天使としての資質を身につけるプロセスをたどることになります。天使も一人前になるためには必須の成長プロセスを踏まなければならないということです。天使としての自立(一人前になること)は、自由意志が常に摂理と一致し、その枠内に収まっている、摂理から決して外れないという内容を身につけたときに認定されるものと思われます。そして初めて天使としての役割につくようになります。

天使は、神の役人として、神の代理人として神の王国の管理に当たるという役割を通して神に奉仕し、神を愛することになります。そしてそれこそが天使にとっての喜びであり、幸福の源泉となります。

これが天使の「意志」についての内容(推測)です。残念ながら現時点では、これ以上の詳細な事柄を知ることはできません。

ここまで、天使と人間の共通点を述べてきました。次に両者の違い(相違点)について見ていきます。

5.天使と人間の相違点

――進化の形式・誕生・性別・身体

天使と人間では霊的進化の仕方が異なる

天使も人間も、神の摂理にそって霊的成長がなされることは先に述べた通りです。しかし天使と人間では、霊的成長の仕組みが違っています。

人間を支配する霊的進化の法則にはさまざまありますが、その中で最も基本的なものが「霊優位の法則」と「利他性の法則」です。霊優位の法則とは、霊を物質(肉体)よりも上位に保ち、霊を優先した歩みをするということです。物質世界での生活を体験することのない天使には、この法則は無用です。天使にとっては霊優位の生き方は当たり前であり、それ以外の生き方は存在しません。したがってこの法則は、物質でできた身体をまとい、物質界に生きる人間にのみ適用される法則ということになります。この点で、天使と人間は根本的に違っています。

物質世界という厳しい環境に生まれ、多くの葛藤を体験しなければならない分だけ、人間は霊的成長が促されます。その意味で人間は、天使よりも恵まれていると言えるかもしれません。利他愛と利己愛の内面葛藤は、肉体を持たない天使にも霊たちにもありません。人間が物質世界において善悪両面の体験をすることは、それによって善を志向する力を強め、霊的成長を促そうとする神の計画によって定められました。

神は、物質世界での体験をするかしないか、物質生活を必要とするかしないかという点において、天使と人間との間に大きな区別・違いを設けられました。人間は物質生活を通じて霊的成長の道を歩むように造られていますが、天使はそのようにはなっていません。

では、天使は物質世界での体験を経ることなく、どのようにして霊的進化をすることができるのかということになりますが、それについての詳細は現在の私たちには知らされていません。天使も神の摂理にそって霊的進化をすることには変わりありませんが、具体的なその仕組みについては秘密にされています。現時点では、霊的成長の仕組みが天使と人間では異なっているという以上のことは明らかにされていません。

私たち地球人類は、長い進化の期間を経て、地上圏霊界を卒業することになります。その後は、物質世界とは関わりを持たない中で、霊的進化の道をたどることになります。新たな地上体験を求めるための再生が不要となるのです。こうした段階に至ると、霊的成長に関しては天使と同じ立場に立つことになります。この意味で、人間は長い進化のプロセスを通じて、徐々に天使に近づいていくようになると言えます。地球圏霊界の上層では、天使と等しい立場にまで進化した高級霊たちが、実際に天使と仕事を共有したり、同等の立場で協力し合っています。

出生・誕生

「天使は物質的生活を必要としない」という言葉の中に、天使と人間の本質的な違いが端的に示されています。これまで多くの人々が、天使はどのようにして誕生し増殖するのだろうかと疑問を抱いてきました。それは今日まで地球人には大きな謎とされてきた問題です。

天使も人間も、神の霊の分霊化のプロセスを通じて永遠の個別的存在となります。“神の分霊”として独立する時が、天使にとっても人間にとっても生命の出発点です。この分霊となる出発場所が、天使と人間では違っています。人間は物質界への誕生をもって、神の霊の分霊化がなされます。地上での受胎時期が、分霊が付与される瞬間です。したがって物質世界こそが、人間の出発点・出発場所となります。人間が個別霊となるために、神は物質世界を準備されたのです。

それに対して天使は、人間のように物質世界から出発するのではなく、初めから霊界において創造されます。天使は、人間とは違った方法で神から分霊を付与された新しい生命体として誕生することになります。

性別の有無

「天使に性別はあるのか?」ということも、これまで人類にとって大きな疑問となってきました。神が人間に男女の性別を与えた最大の目的は、生殖のためです。物質世界では男女の生殖行為によって“肉体”という道具が提供され、それと同時に神の分霊が“魂”として付与されることになります。物質の身体が準備されると、魂が吹き込まれることになるのです。男女が一体化して物質の道具である肉体的身体を提供する準備ができると同時に、神の霊の分霊化が自動的に発生して、新たな霊的生命が誕生することになるのです。

神は自分の王国の物質次元の世界を、男と女(雌雄・陰陽)に二分化して創造しました。これら(男女・雌雄)が合体することによって、物質レベルでの“神の再現”が実現するようになります。そして神の創造の業が、地上世界においても展開するようになります。地上世界が、男と女に二分化されていることには、こうした意味があります。神は、地上の男女の物質次元での一体化(受精)をきっかけとして、新たな霊的生命の出発点とされたのです。

しかし天使の誕生には、人間のようなプロセスは必要ありません。男女の生殖行為を通じて新たな生命が誕生するようには造られていないのです。神は、男女という性別のないところで、天使の繁殖プロセスを準備されました。したがって天使には、人間のような男女の性別はありません。地上的表現を用いるならば、天使は初めから中性として造られているということなのです。

男女(雌雄・陰陽)の区別化は、人間界・物質界における特徴であって、霊界全体(天使界)を貫く原則ではありません。私たちが当たり前と思っている男女の区別は、物質世界という進化の低いレベルでの特徴であり、人間も物質の影響を超越した境涯(宇宙圏霊界)に至ると、地上的な性別は存在しなくなります。霊的進化に応じて、地上的な男女の差は減少していくのです。再生において、女性が男性として生まれたり、反対に男性が女性として生まれることが頻繁に起こり得るのは、男女の区別が絶対的なものではないからです。男女の区別は、霊界全体の中では大きなウェイトを持ってはいません。それは人間の繁殖と進化に貢献するための、特殊な一時的状況と考えるべきものなのです。

天使の場合は初めから、こうした人間ならではの問題(性別)をクリアしています。天使は男女の区別のないところで、新しい生命を誕生させることになります。この点で天使と人間は根本的に異なっています。広大な宇宙の中で人間が次々と増殖しているように、天使もさらに大きな世界の中で、次々と新しい生命を誕生させ増殖しています。

では天使の増殖の仕方は、どのようなものなのかということになります。人間のような男女の生殖行為によらないものであるなら、いったいどのようにして、またどこから出生するようになるのでしょうか。この点については先ほども述べたように、そのほとんどが私たち地球人には秘密とされています。推測の域を出ませんが“天使の増殖”は、一定の霊的資格を持つに至った天使が、想念を凝縮させることによって、新たな天使を創造するようになるものと思われます。)

外観・身体

私たちは、頭と胴体、両手両足という身体構造を当たり前のものと思い込んでいます。それ以外の身体形式を持った生命体などは、フィクションやテレビの怪獣番組の上でのみ存在するものと思っています。天使の存在を信じる地球人の大半が、天使は私たち地球人と同じような身体を持っていると考えています。事実、宗教画の中では、天使は決まって人間の姿で描かれています中世以降のキリスト教では、天使には翼が付け加わるようになりました)

しかし私たちが見慣れている身体は、物質世界に適合するための形態であって、霊界全体の共通的な形式ではありません。私たちの肉体と霊体の外形は、神の造られた世界の中ではきわめて限られた形式、むしろ特殊と言うべきものなのです。シルバーバーチは――「宇宙に存在する他の天体の人間は、地球人とはその身体的外見が全く異なっている」と述べています。もし私たちがそうした他の天体に住む人間と出会ったとしたなら、とうてい同じ人間とは思えないでしょう。

天使について考える際には、それと同様の視点が必要になります。霊界に遍在する天使が、私たちと同じ身体形式を持っていると考える方が不自然で不合理なことなのです。まして物質世界での生活を全く必要としないということになれば、その身体の形態は予想もつかないものになると考えるのが当然のことなのです。

地球人は死後、霊界において進化し、再生を経て地上圏霊界を卒業します。そしてより高い世界(宇宙圏霊界)に入っていくことになりますが、そこではもはや再生というプロセスは不要となります。そのレベルにまで進化した霊は、これまでの霊体という身体を脱ぎ捨て“光源体”としての個別性を持つようになります。ここに至るまでは霊的身体が個別性を示すものであったのに対して、今度は光と色彩がそれに代わることになります。身体は消滅し、光源・色彩として存在し、そこに高度な意識がともなうようになるのです。

実は天使は、もともとそうした“光源体”として存在しています。地上の霊能者には、天使は身体的形態を超越した光り輝く存在として映ります。天使は初めから、地上世界での体験を経て霊的成長をするようには造られていません。したがって地球人のような身体は必要がないことになります。時々、天使が人間のような身体を持って現われる様子が霊視されますが、それは地球圏に降りてくるために、敢えてそうした形態を取っているのです。地球人との直接の関わりを持つ必要がないなら、特に人間と同じような霊体を身にまとうようなことはしません。実際、地上圏を卒業した高級霊(人間霊)とともに働いている天使は、霊体という身体を持っていないことが多いのです。地上圏(物質圏)において働くために、わざわざ霊体という身体をつくるのであって、霊視される天使の霊体は、どこまでも仮の身体なのです。

また翼をつけた天使が霊視されることがありますが、それも地球人の先入観に天使側が配慮してわざわざつくり上げたものです。地球人は長い間、天使は天にいる神と地上の人間の間を行き来するために、鳥と同じような翼が必要であると思い込んできました。そうした地上人の考えに合わせて、天使は敢えて翼をつくり出して地上人に見せてきたのです。

地上圏に存在する天使は、人間の高級霊が必要に応じてしているように、地上人からエクトプラズムを取り出して、物質化した身体をつくることもできます。その際には、地上人と食事をするようなこともできるのです。

6.天使の人間界への関わり

地球上のすべての人間の営みに天使が関与

人間界は、天使界という大海に浮かぶ小島です。私たちが住んでいる地球圏は、その無数の小島の一つです。地球(物質世界)と地球圏霊界を合わせた「地球人間界」は、天使界の中にすっぽりと包まれています。したがって天使の存在しない場所はありませんし、天使の働きと無関係な時間もありません。

地球上に住む私たちの周りには、常に天使がいます。地球を取り囲むように広がる霊界には、地球出身の人間の霊たちとともに、無数の天使たちが住んでいます。そして神の代理者として摂理を執行し、同時に神と人間との中継者として私たち人間と深く関わっています。神の摂理は宇宙のすべてを支配していますが、そこには決まって天使が、神の王国の役人として存在しているのです。

人類の霊性進化に対する天使の関与

私たち人間の霊的成長は神の摂理に基づいてなされる以上、その霊的成長の歩みにも常に天使が関わることになります。天使は人間の行為が「神の摂理」にそっているかどうかをチェックし、摂理に合っているときには霊的成長という善い結果をもたらします。摂理に反したときには苦しみ・痛みという形で知らせ、必要な修正の道を準備します。

地球全体・国家全体・民族全体・宗教に対する天使の関与

神の王国のすべては、神の支配の下に存在しています。その神の支配は、具体的には天使を通してなされています。したがって神の代理者としての天使の支配は、霊界と宇宙のあらゆる次元に行きわたっています。

私たちの属する「地球人間界(地球圏)」にも、その全体(霊界・物質界)を支配する超高級天使が存在しています。そしてその超高級天使の下に、地球上のあらゆる人種、あらゆる国家、あらゆる民族を支配する天使が配置されています。さらにその天使たちの下に、地域やグループを支配する天使が置かれています。またその下に、社会から各家庭を管理する天使がいます。そしてこの後で述べるように個人レベルで、一人一人の人間に関与する天使も存在しています。また地上のあらゆる宗教にも、それに関わる天使が存在し、すべての宗教を摂理によって管理しています。

このように宇宙・太陽系・地球・国家・社会・家庭・個人・宗教組織へと、すべての次元においてそこを統括する天使が、神の役人として置かれ、神の王国の支配・管理の役割に従事しているのです。

守護霊・背後霊に対する天使の関与

私たち地球人には、常に一人の守護霊が付き添い、その導きのもとで霊的成長の道を歩むようになっています。守護霊は同じ地球出身の先輩として、地上人とともに霊性進化の道を歩んでいきます。こうして一人の地上人と一人の守護霊は、一対の単位を形成しています。

そうした守護霊とは別に、一人一人の地上人を摂理によって管理するための天使が置かれています。そして地上人と守護霊という一対単位の人間たちの歩みを「神の摂理」にそってチェックし、摂理にそって結果をもたらし、必要に応じて修正の道を用意します。天使は神の役人として、地上人と守護霊という人間界の住人を管理・支配しているのです。したがっていかなる地上人にも、常に一人の守護霊と一人の天使が付き添っているということになります。

地上人を導く守護霊や背後霊に対しても、天使は神の代理者の立場から監視・チェックをします。このように守護霊も、神の代理者であり摂理の執行者である天使の支配を受けるようになっているのです。守護霊が摂理に反して余分な手助けをすれば、その行為は天使によって裁かれることになります。

人間の行為・営みに対する天使の関与

人間界のすべての行為・営みは、神の摂理の支配の中にあります。とかく人間は、自分の自由意志に基づいて好き勝手な行動をしているように考えがちですが、本当は限定された自由の中にいるだけなのです。自由意志といっても常に神の摂理の枠内にあります。この摂理による支配は、直接的には天使を通して執行されます。したがって天使との関わりを持たない人間の行為・営みはありません。

人間の営みは、神の摂理にそって天使による審判を絶えず受けることになります。人間が利他的な行為をするとき、あるいは純粋な思いで奉仕活動に専念するとき、それは天使によって正しく評価・判断され、「霊的成長」という善い結果がもたらされるようになります。摂理に反した利己的な行為に対しては、摂理にそって“苦しみ”という結果がもたらされるようになります。天使によるその判断には、一点の間違いも狂いも矛盾もありません。

人間の仕事に対する天使の関与

人間が日々行っている仕事は、霊的成長に大きな影響を及ぼします。したがって地上人、一人一人の仕事についても、天使は密接な関わりを持っています。特に農業などの生き物・生命体と関わりのある仕事では、天使と人間の関係はより直接的になります。あらゆる生命活動は、神の摂理に基づいて展開しています。その生命活動を神に代わって司っているのが天使であるからです。

医学も天使との関わりが深い仕事です。病気の多くはカルマが原因となっています。そうしたカルマも、すべて天使の管理の下に置かれています。したがって病気の治療行為には、天使が直接的に関与するようになります。

スピリチュアリズムで展開しているスピリチュアル・ヒーリングも、当然のこととして天使が大きく関わっています。スピリチュアル・ヒーリングは、霊界の医者(霊医)によって治療エネルギーが調合され、それがヒーラーを通じて患者にもたらされるという形で進められますが、そのヒーリングの大もととなる治療エネルギーは、すべて天使を介して霊医に届けられます。それを霊医がさまざまに調合し、利用するのです。そしてスピリチュアル・ヒーリングが効果をあらわすかどうかについても、カルマの状況に照らして、すべて天使が決定することになります。

地球人類の霊性啓発のための天使の受肉化

地球人類の霊性進化のために、地球出身の先輩霊たちが霊界から働きかけをしています。守護霊や背後霊として地上人を導いたり、霊自身が地上に再生することによって、地球人類の霊性啓発を進めてきました。

そうした先輩霊による働きかけとは別に、人類の霊性啓発のために天使自らが地球人類の一人として地上に生まれ、人間としての人生を歩むことがあります。この天使の受肉化(人間化)という出来事はめったにないことですが、人類の歴史の中にはこうしたケースが実際に存在しますその際、天使は神(摂理)の認可を受けなければならないことは言うまでもありません)

天使の受肉化の代表的ケースが、実は“イエス”だったのです。これは地球人類にとって、まさにエポックメーキングな大事件であり、地球人類の歴史を根本的に変化させる出来事でした。地球人類は、この歴史上最大の出来事によって飛躍的な霊性進化の道を歩み出すことになりましたこれについては次号で詳しく取り上げます)

7.天使の動物界・植物界・鉱物界への関わり

神の支配は、人間界ばかりでなく、動物界や植物界・鉱物界にも及びます。神の摂理の支配を受けないものは、宇宙には存在しないからです。これは動物界・植物界・鉱物界も、すべて天使の管理・支配の下に置かれているということを意味します。無生物とされる鉱物界や自然現象・物理現象に対しても、天使の関与が常にあるのです。実際に動物界を管理する役目を持った天使、植物界を管理する天使、鉱物界を管理する天使がいるのです。これらの天使たちは、進化のプロセスとしては当然低いレベルに属します下級天使というべき存在です)。彼らは高級天使の厳格な指揮下で働き、そのすべてが高級天使の支配の下に置かれています。こうした天使のヒエラルキーを通して、神の支配は物質世界・自然現象にまで及ぶようになっています。

動物・植物・鉱物を管理する天使たちは、その手足となるような部下を持ちます。自らの意念によって、自分の分身ともいうべき労働者・職人たちをつくり出します。それが“妖精”です。神の王国においては、神が王様であり、天使が役人、妖精が末端の労働者ということになります。神の造られた万物の管理には、天使が直接的に手を下すのではなく、多くの妖精が天使の手足として用いられるのです。天使によって動物界・植物界・鉱物界は管理・維持され、全体としてゆっくりとした進化の道をたどっています。

さて人間から愛を受けて育った動物は死後、主人である人間が他界してくるまで、霊界でその外形を維持します。それには天使と妖精が関与します。「動物を愛する」という人間の善なる行為に対して、天使がそのようにして善の結果を人間にもたらすのです。“ペット”として愛された動物が、飼い主の他界時に迎えに現われるという事実は、天使によって与えられたご褒美なのです。

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