シルバーバーチの故郷を訪ねて
英国訪問の報告
ニューズレター第28号
航空機を使ったアルカイダのテロ計画が、英国治安当局によって未然に阻止されたという報道が流れた昨年11月下旬、スピリチュアリズム普及会の3人のメンバーが、一年ぶりにシルバーバーチの故郷を訪問しました。
すでにニューズレター(23号:「トニー・オーツセン、再びサイキックニューズの編集長に!」)でもお伝えしましたが、トニーは現在、ツーワールズの編集長と同時に、サイキックニューズの編集長を兼任しています。そのため週2回はサイキックニューズ社に出向くという超ハードな毎日を過ごしています。
トニーからのメールで、今回の訪英では、ツーワールズのチェアマン(会長)であるジョージ・クランレー夫妻も会いに来るという連絡を受けていました。ジョージに会ってから分かったことですが、彼は一度だけ「シルバーバーチの交霊会」に参加していました。そのときのバーバネルの様子を、身振り手振りを交えて再現し、私達に説明してくれました。シルバーバーチの交霊会は、彼にとっても本当に印象深く、意義深かったことがよく分かりました。
いうまでもなくジョージは、英国スピリチュアリストの重鎮として知られ、現在はアーサー・フィンドレー・カレッジやスウィンドンの成人教育カレッジ、スウェーデンのコリンズ・カレッジで講座を担当しています。(*ここでの“カレッジ”は、スピリチュアリストを対象にした民間の個人塾のようなもので、日本で言う大学とは内容が異なります。)
彼は、1995年に日本心霊科学協会から招待を受け、一人の霊媒を引き連れて来日し新宿で記念講演会をしています。80人くらいの参加者があったとのことです。ジョージは妻のエリザベスと車を2時間飛ばして、わざわざ私達に会いに来てくれました。
当日は、11時にツーワールズのオフィスで待ち合わせました。ジョージ・クランレー夫妻とは初対面であるにもかかわらず、たいへん打ち解け、リラックスしてお互い話が盛り上がりました。その後、いつものようにロンドンで一番古いといわれるパブで昼食をしました。クランレー夫妻もベジタリアンで、彼は日本に行ったとき食事で苦労した話をしてくれました。パブで2時間くらい話を楽しんでから、もう一度オフィスに戻って1時間ほど、スピリチュアリズムに関する踏み込んだ話をしました。
いつもながらトニーは私達にとても気配りをしてくれ、資料置き場から、創刊号以来のツーワールズの縮小記録版を次々に持ち出して見せてくれました。結局、その日は4時間もの間、本当に和やかで心ふれ合うひと時を楽しむことができました。(*ただしネイティブでない私達日本人としては、4時間にわたる英語のコミュニケーションは、ほぼ頭の限界に達していました。)
話の中でトニーとジョージに、日本で翻訳されているスピリチュアリズム関連の書物のリストを見せ、これ以外にもよい本があったら紹介してほしいと申し出ました。すると間髪をおかずに、2人から嬉しい一言が返ってきました――「シルバーバーチ以外は、みんなラビッシュ(くずみたいなもの)ですよ」。それまでは率直に言って、「果たしてジョージはどの程度のスピリチュアリストなのかしら? どのくらい純粋な実践者なのかしら?」と思っていたので、この一言で彼の内容を知ることができ、ほっとすると同時に喜びが湧いてきました。
その後リストに挙げた一つ一つの書物のコメントをしてくれました。その中で、バーバネルの『これがスピリチュアリズムだ(This is Spiritualism)』と『500に及ぶあの世からの現地報告(Life after Death)』はとても素晴らしいと絶賛し、『霊訓』『霊の書』『ブルーアイランド』については、内容は素晴らしいが古風な英語であるとの評を述べていました。リストの書物を一通り見てから、翻訳したらよいと薦めてくれたのは、バーバネルの『現在のスピリチュアリズム(Spiritualism Today)』でした。ただしこの本は絶版になっているので、後日コピーして日本に送ってくれるということになりました。
私達のサークルでは今後、『ラマダンの叡智』『ジュリアの音信』、ハリー・エドワーズの著書の1~2冊、レスリー・フリントの『暗闇からの声』『アンソニー・ボーギアの霊界通信』などを翻訳したいと考えていますが、それらの本についてのさまざまな情報やアドバイスを受けました。
日本からアジア各国へシルバーバーチを普及するための翻訳計画(*取り敢えずは韓国語・中国語)についても、いろいろな情報をもらいました。日系ブラジル人のためのポルトガル語バージョンについて質問したところ、「No(なし)」ということでした。英語圏以外の翻訳としては日本語が唯一全巻翻訳ということで、ドイツ語は昔数冊が翻訳されただけで、今は絶版の状態であることが分かりました。
2人から話を聞いているうちに、日本は今や世界で最大のシルバーバーチ大国になったこと、英国以上にシルバーバーチの影響力が及ぶようになっていることを感じました。昨年SAGBに行ったときは、玄関の書籍販売コーナーにシルバーバーチがずらりと並んでいた(*おそらく再版したばかりだったのでしょう)のに、今回行ってみると、シルバーバーチは片隅に少し置かれているだけで少々がっかりしました。
英国のスピリチュアリズムの底辺は広いものの、トニーやジョージのようにシルバーバーチの真の価値を理解しているスピリチュアリストは、ほんの一握りに限られるようです。この辺りの事情は日本と大差ありません。ましてやシルバーバーチの教えを忠実に実践に移し、その普及のために人生を捧げるといった人間は皆無に等しいことが分かります。日本と比べて、上限のパワーが感じられません。
シルバーバーチの次のような言葉を思い出してしまいました――「皆さんによる組織的活動は今、一つの難しい、魅力の乏しい局面にさしかかっております。勃興当初(19世紀半ば)の、あの輝かしい魅力も次第に色あせ、方向性が十分に定まっていないようです。」
(『シルバーバーチの霊訓 霊的新時代の到来』(スピリチュアリズム普及会)p.188)
英国での先輩スピリチュアリスト達の努力と犠牲があって、現在、アジアの日本でシルバーバーチを手にすることができるようになっています。それに対する感謝の思いを、日本のスピリチュアリストを代表して2人に伝えました。
アメリカから出発した地上のスピリチュアリズムは、時をへずして英国に中心を移し、大きく力を伸ばしました。その後スピリチュアリズムは、表面上は徐々に衰退しているかのような道をたどることになりますが、その一方で『シルバーバーチの霊訓』を通じての、さらなるレベルアップへの道が準備されてきました。
21世紀、シルバーバーチの教えが世界中に広がり、世界規模で次のスピリチュアリズム・ブームが引き起こされようとしています。そうした時期が、すぐ真近に迫っています。『シルバーバーチの霊訓』が英語圏から世界中に普及し、それにともないスピリチュアリズムは地球のすみずみにまで大きく展開することになります。そんなスピリチュアリズムの未来を感じた今回のイギリス訪問でした。
最後に、トニーは私達が訪問するたびに、いつも素敵なお土産を準備してくれています。これまでに、トニーがバーバネルの遺品として大切にしていた5冊のアルバムのうち、すでに3冊までもいただいております。「本当に大丈夫なのかしら?」とこちらが心配するほどに、気前よくくれるのです。
トニーからのプレゼントについては、ニューズレターを通じてお伝えしています。バーバネル愛用の大理石の灰皿、編集長としての執務机のペン皿、交霊会の後のティータイムで使ったカップセット、また多くの写真や書籍など――小さなシルバーバーチ博物館・記念館ができそうなほどです。
そして今回、果して私達にくれるお土産は残っているのかしらと思いつつも、やはり期待してしまいました。昼食のときサークルのメンバーからの土産を渡すと、トニーはやおらバッグの中に用意していた土産を取り出しました。今回はバーバネルとシルビアが長年にわたって愛読していたホメオパシーの本でした。バーバネル夫妻が現代医学を嫌って自然療法に頼っていたことは以前お伝えしましたが、その自然療法とは“ホメオパシー”であったことがよく分かりました。背表紙がはがれるほどに繰り返し読んだ本を、プレゼントとして用意してくれていました。「やった~!」と、また心の中で叫んでしまいました。
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