“死後の世界の事実”は、スピリチュアリズムがもたらした最高の恩恵〈No.3〉

死後世界観(他界観)「霊界」について

インフォメーションNo.26

前回は、人間が死後、最初に入る「幽界」での生活について見てきました。幽界での目的は、地上で染みついた地上的・物質的意識を拭い去ることです。幽界における霊的純化のプロセスを通して霊的意識が目覚め、純粋な霊的存在となって次の世界である「霊界」へ進んでいきます。

幽界を卒業して霊界に入った霊は、自分の霊的成長レベルに見合った界層で新しい生活を始めることになります。人間にとって本来の住処であり、永遠の生活を送ることになる「霊界」とは、どのような世界なのでしょうか。これまで、霊界についてはほとんど知られることがありませんでした。

今回は、スピリチュアリズムによって初めて明らかにされた霊界の様子について見ていきます。

霊界は、無数の界層からなる世界

スピリチュアリズムが明らかにした最も重要な霊界の事実は――「霊界は界層から成り立っている世界である」ということです。霊界という1つの世界の中に、無数の界層が重なり合って存在しています。

霊界の界層は、霊的成長レベルによって分かれ、低いレベルから高いレベルへと幾層にも連なっています。霊格(霊性)が高ければ高いほど、利他性が強ければ強いほど高い界層に入っていくことになります。霊的成長レベルは一人一人異なり、100人いれば100通りの成長レベルがあるように、霊界の界層も無数に存在しています。界層間に境界線はなく、すべてがグラデーション的に連続して連なっています。皆さんの中には、神智学で説いている「七世界論」を信じている方がいらっしゃるかもしれませんが、シルバーバーチはそれをきっぱりと否定しています。

地上では、さまざまな霊的成長レベルの人が同じ平面上で生活をしていますが、霊界に行けば、各自の成長レベルに応じた別々の界層に住むようになります。そこでは同じ霊的成長レベルの霊たちが引き合い、グループをつくって共同生活を営みます。例外的なケースを除いては他の界層との交流はなく、界層ごとに厳格に住み分けがなされています。

例外的なケースとは、高い界層にいる者が低い界層にいる者の指導にあたるときや、地上人の死に際して幽界下層まで出迎えに行くとき、また高級霊が地縛霊を救済する使命を持って赴く場合などが挙げられます。その反対に、低い界層にいる霊が高い界層にいる霊に会いに行くことはできません。原則的には上下の界層間に交流はありません。

人間は死後、幽界を卒業すると自動的に自分の霊的成長レベルに見合った霊界の界層に入り、そこで霊的親和性で結ばれた仲間と共同生活を送ることになります。

幽界よりもすべての点で素晴らしい

では、霊界とはどのような所なのでしょうか。幽界の特質である自分の思いが何でも実現することや、テレパシーでお互いの心が通じ合うことなどは、そのまま霊界へ持ち越されます。しかも、それらのすべてがより完璧に高められて実現するようになります。

霊界の環境は、幽界よりもすべてにわたって遥かに美しく輝いています。幽界の環境は、地上時代に各自が抱いてきた物質的欲求の反映であり、一人一人の思念がつくり出した幻の環境です。しかし霊界では、すでに物質的欲求は消え、同じ霊的成長レベルの者が集まって生活しています。そのため各界層の環境は、グループ全体の心が反映した調和のとれた世界になります。どの界層も幽界とは比べものにならないほど美しく、高い界層に行けば行くほど輝きを増していきます。

シルバーバーチは、霊界の美しさについて次のように述べています。

「その美しさも霊の世界の美しさと比べるならば色あせて見えます。霊の世界には、地上の誰ひとり見たことがない花があり、色彩があります。地上にはない風景や森があり、小鳥もいれば植物もあります。小川もあれば山もありますが、どれ一つ取っても、地上のそれとは比較にならないほど美しいのです」

『シルバーバーチの教え(上)』(スピリチュアリズム普及会)p.187

こんなにも素晴らしい霊界に、誰もがいずれ必ず行くことになるのですから、“死”は恐れるどころか、心から待ち望むべき出来事と言えます。

地上の愛のゆくえ

すべての霊が自分の霊的成長レベルに合った界層に入っていくと言うと、「では、今の愛情関係は死後、どうなってしまうのだろうか?」と、疑問を抱く方がいらっしゃるかもしれません。結論を言えば、どんなに地上で愛し合った夫婦や家族であっても、霊的成長レベルが違っていれば、同じ界層に入ることはできません。「死後も一緒に住みたい」と思っていても、その願いは叶いません。幽界ではしばらくの間、地上時代の延長のような関係を持つことができますが、霊界へ行けばそのほとんどがバラバラになってしまいます。

それは、地上の大半の愛情関係は、「真実の愛・霊的愛」で結ばれたものではないからです。“霊的愛”とは、お互いの霊的成長を最優先し、それを願う“利他愛”のことです。それぞれの霊的成長を援助し促すような関係、お互いが“霊的絆”で結ばれている関係です。

ところが地上の男女愛や家族愛の大半は真実の愛ではなく、単なる肉体的・血縁的なつながり、地上だけのつながりにすぎません。こうした肉体的な愛・物質次元の愛の関係は、霊界に行けばすぐに消えてしまいます。地上では、とかく血縁を重視しますが、霊界ではそれは全く通用しません。

一方、真実の愛で結ばれている場合には、死後その関係はなくなるどころか、さらに強い絆で結ばれるようになります。霊界で別々の界層に行くことになっても、悲しみはまったくありません。2人が霊的絆で結ばれていれば、愛の関係が失われることはないのです。

また霊界では、地上における男性・女性という区別(性差)は界層が上がるにつれて減少し、消滅するようになります。地上では人間を見るとき、まず男と女に分類しますが、霊界ではそうした分類はなく、純粋な霊的・精神的要素だけが基準となります。

「神の摂理」が全霊界を支配

純粋な霊的世界である霊界には「神の摂理」が行き渡っており、それはすべての霊界人にとって共通の法則・常識となっています。地上にはさまざまな宗教があり、人々は思い思いの宗教を信じていますが、霊界にはそうした宗教はありません。地上の宗教を信じているのは、幽界下層で相変わらず狂信を続けている“地縛霊”だけです。霊界には、キリスト教もイスラム教も仏教もありません。あるのは「神」と「神の摂理」だけです。「神」と「神の摂理」を信仰対象とするのが、すべての霊界人に共通する唯一の宗教なのです。

神の摂理で最も重要なのが「利他性の摂理」です。霊界には、地上のような利己主義は一切なく、すべてが「利他性の摂理」に貫かれています。「利他愛の実践」によって、霊界で生きていくための霊的エネルギーを取り入れることができるのです。

そのため霊界では、すべての霊が他者への奉仕・利他愛の実践に励んでいます。霊界には無数の仕事があり、一人一人の霊性・能力・適正・意欲に応じた仕事に携わることになります。高い界層の者から低い界層の者まで、すべての霊が必ず自分に合った仕事に就き、忙しく働いています。霊たちは日々の仕事を通して他者に奉仕し、最高の喜びと充実感・幸福感を味わうようになっているのです。

霊的グループ全体で共同成長していく

すべての霊が霊的進化の道をたどっていきますが、それは一人だけで達成していくわけではありません。同じ界層の仲間(霊的家族)と一緒に生活する中で、共に成長していきます。

霊的グループ(霊的家族)の中では、メンバー全員の意識・心が一つに融合して「大きな共有意識体」が形成されます。それぞれの心が一体化し、自分の心が他人の心と一つになります。地上では考えられないことですが、あなた=私=グループ全体という「心の融合化」が実現します。これを「類魂(グループ・ソウル)」と言います。メンバー全員の魂が融合した類魂では、それぞれの体験や知識を共有することができ、それによって全員が共同成長していくことになります。こうした共同成長システムの中で「再生」が行われています「再生」については、別の機会に詳しく取り上げます)

このように人間は霊界において、想像を絶する美しい環境の中で自分に適した仕事に携わり、心が通い合う仲間と共に霊的成長の道を歩んでいくことになります。

3回にわたって、スピリチュアリズムが明らかにした“死後の世界の事実”について見てきました。人間は死後、どのようなプロセスをたどることになるのか、再確認されたのではないでしょうか。

これまで人類は、死についての正しい知識がなかったために死を恐れ、宗教に救いを求めてきました。しかし、「霊的無知」に陥っている宗教は間違った教えを説き、人々に救いをもたらすことはできませんでした。

宗教は本来、“死後の世界・霊的世界”についての真実を教え、人々を霊的成長へと導く使命を持っています。しかし地球上には、その使命を果たしてきた宗教は一つもありません。スピリチュアリズムによって初めて正しい霊的知識・「霊的真理」がもたらされました。それは、人類が「霊的無知」から解放される新しい時代を迎えたことを意味しています。スピリチュアリストは、まさに霊的新時代の“先駆者”、霊的道の開拓者なのです。

私たちも、人類の霊的進化のため、人々の本当の幸せのために精いっぱい奉仕していきたいと思っています。

2017年も残すところあとわずかとなりました。迎える新しい年が、皆様にとって霊的宝を積み上げる歩みとなりますよう、心よりお祈り申し上げます。(祈り)

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