スピリチュアリズム運動の本質
ニューズレター第41号
今回は、地球人類救済のために高級霊界から興された「スピリチュアリズム運動の本質」と、そこから派生するさまざまな定義について学んでいくことにします。
スピリチュアリズムが地上に展開を始めて、すでに160年が経ちましたが、いまだにスピリチュアリズムの本質が正しく理解されるまでには至っていません。心霊現象の研究、そして心霊知識としての内容が従来のスピリチュアリズムの中心を占めてきました。しかし、それはスピリチュアリズムの本来の目的ではありません。
これからは、スピリチュアリズムが「超宗教」として展開するようになっていきます。そうした新しい時代を迎えつつある今、スピリチュアリズムの本質をもう一度確認して、より広い視野から全体像を正しく把握していきたいと思います。
【1】スピリチュアリズムによる地球人類救済運動
――霊界サイドから見たスピリチュアリズム
1.スピリチュアリズムへの根源的な問いかけ
――なぜ、こうした運動が発生したのか?
これまでスピリチュアリズムは、さまざまな観点から説明されてきました。ある人はスピリチュアリズムを歴史的観点から眺め、他の人は思想的観点から理解しようとしてきました。また別の人はスピリチュアリズムの歴史上の人物に焦点を絞って説明を試みてきました。
そうしたいろいろな角度からの説明によって、スピリチュアリズムの側面を明らかにすることはできます。しかし考えてみれば、それらはいずれもスピリチュアリズム運動の結果の部分、表面的な部分を描き出しているにすぎません。スピリチュアリズム運動の本質そのものに言及しているとは言えません。スピリチュアリズム運動には、何らかの原因、それを生み出した原因があるはずです。ここでは問題を掘り下げて、スピリチュアリズムの本質について最も深い次元から考えてみたいと思います。
19世紀の半ばに、なぜ“スピリチュアリズム”という途轍もなく重大な動きが発生したのでしょうか。スピリチュアリズム発生の原因については、今日までほとんど取り上げられたことがありませんでした。それまでの歴史には存在しなかった「地球規模の宗教改革・人類の霊性復興運動」が、なぜ生じるようになったのでしょうか。
スピリチュアリズムは、偶然に発生したのでしょうか。それとも歴史的条件が重なり合った結果として、たまたまその時期に発生したということなのでしょうか。あるいはもっと別の原因があったのでしょうか。実はこうした根源的な問いかけに対する答えこそが、スピリチュアリズム運動の最大の特色・一番の本質の説明に関わってくるのです。
2.スピリチュアリズム運動の真の主役は誰?
スピリチュアリズム運動には、具体的な主役・主導者がいる
スピリチュアリズムは、偶然に発生したのではありません。当時の社会状況が、何らかの新しい宗教的動きを必要としていたことは事実ですが、しかしそれだけがスピリチュアリズム出現の理由というわけではありません。スピリチュアリズムには、はっきりとした原因、それを引き起こした主役がいるのです。このように言うと宗教に関わっている人は、それは“神以外にはない”と答えるでしょうが、実はスピリチュアリズム運動には、神以外の、もっと具体的な主役・主導者がいるのです。
ここで結論を述べますが、今から述べる内容は、高級霊の「霊界通信」によって明らかにされたものです。それは高級霊が示したスピリチュアリズムの一番の本質であり、同時にこれまで人類に公開されてこなかった霊界の秘密・奥義なのです。
霊界における大計画の推進
その結論とは、イエスを頂点とする何十億・何百億という高級霊が、地球人類を救済するための大計画を立て、それに基づいて霊界に想像を絶するような大組織が結成されたということです。そして霊界において綿密な準備が進められ、準備が整った段階で、いよいよ地上世界に向けて救済活動が開始されました。それが1848年だったのです。霊界を挙げての働きかけは、その後も継続して行われ現在に至っています。
地球は、霊界からの働きかけによって、徐々にではあっても改善の道をたどってきました。そして時が至って「霊界通信」が降ろされ、地球人類の誰も知らなかった霊界の事実が明らかにされました。いまだに霊の存在・霊界の存在を信じられない人々がいる中で、霊界の高級霊によって巨大組織活動が展開され、地球人類を救うための大プロジェクトが推進されているなどとは、とうてい考えることはできません。信じられなくて当然と言えます。しかし、それはすべて厳然とした霊界の事実であり、現実の話なのです。
スピリチュアリズム運動の主役は、霊界の高級霊たち
先ほどの「スピリチュアリズム発生の原因は何であるのか?」という質問に戻りますが、その答えは「霊界にいるイエスをはじめとする無数の高級霊たち」ということになります。スピリチュアリズムは、そうした具体的な主役・主導者によって意図的に興され進められている運動です。高級霊たちが計画し、推し進めている巨大組織活動がスピリチュアリズムなのです。
スピリチュアリズムの“主役”は、霊界の高級霊たちです。地上で働く霊媒やスピリチュアリストは、スピリチュアリズム運動における単なる地上サイドの援助者にすぎません。「スピリチュアリズム運動の主役は霊界の高級霊たち」――これがスピリチュアリズムの一番重要な点なのです。
「(それ以前にも)一時的にインスピレーションがあふれ出たことはありますが、長続きしていません。このたびのコミュニケーションは組織的であり、協調的であり、管理・監督が行き届いており、規律があります。一大計画の一部として行われており、その計画の推進は、皆さんの想像も及ばないほどの協調体制で行われております。背後の組織は途方もなく巨大であり、細かいところまで見事な配慮がなされております。すべてに計画性があります。
そうした計画のもとに霊界の扉が開かれたのです。このたび開かれた扉は、二度と閉じられることはありません。」
3.スピリチュアリズム運動の目的とは?
高級霊たちの意志と、スピリチュアリズムの目的
何百億という高級霊が総結集して、一糸乱れぬ組織活動のもとで進められている大プロジェクトは、いったい何を目的としているのでしょうか。それはこのプロジェクトを計画した高級霊たちの意志であり、決意そのものと言えます。『シルバーバーチの霊訓』に代表される高級霊界通信は、その高級霊たちの心情・決意を明確に伝えています。高級霊たちの思い、すなわち“スピリチュアリズム”という大プロジェクトの目的は――「地球人類の救済」という一言に言い尽くされます。これこそがスピリチュアリズム運動の究極の目的なのです。
霊界から見ると、地球ならびに地球人類は、霊界から救いの手を差し伸べないかぎり、もはやどうにもならないところにまで至っています。地球人類みずからの力では、自分たち自身を救うことができない状況にまで堕ちています。限界を超えた地上世界のあまりのひどさに、霊界人は、自分たちが中心となって救いの手段を講じなければならないという決断を下しました。そしてスピリチュアリズムという大プロジェクトを興すことになったのです。
“救い”の必要性を自覚できない地上人
ところが肝心の地上人は、これまでずっと暗黒の中にどっぷり浸かってきたため、それが当たり前になっています。異常だと思えなくなっています。霊界の存在など全く知らない地上人の多くが、“人間社会とはこんなものだ”と悟り切ったような認識をしています。自分たち地上の人間に、どうして救いが必要なのかが分かりません。自分たちは別に救ってほしいなどと思ってはいないし、その必要性もないと考えるのです。実は霊界から見たとき、そうした地上人の状況こそが、すでに霊性の下限ラインを超えた悲惨な実情を示しているのです。
とは言っても、“自分には救いなど必要ない”と強気になっている人間も、死んで霊界に入ると、その考えは一変します。地上で自分が犯した利己的行為の愚かさを自覚し、奈落の底に突き落とされるような状況に立たされると、必ず神に救いを求めるようになります。自分には救いなど必要ないといった傲慢な態度は、跡形もなくなってしまいます。要するに、地上にいる間は「霊的無知」のままで過ごしているため、自分たちがどれほど惨めな状態にあるのか、地球がどれほど醜い状態にあるのかを実感できなくなっているのです。
どのような人間も霊界に行くと、「地上人には霊界からの救いの手が、何としても必要である」ということを実感するようになります。
4.霊的無知から発生した地球上の悲劇と、霊的真理による人類救済
暗黒の地球
霊界から見ると、地上世界の悲惨さは目に余ります。霊界と比べると、地上世界の暗さ・醜さは限度を超えています。少し視野を広げてみれば、私たち地上人にも、この地球上にはさまざまな悲劇が存在していることが分かるはずです。同じ地球上に住みながら、極度の貧困の中で最低限の生活の糧にも不自由し、動物以下の生活を強いられている人々が大勢います。飢餓に苦しみ、常に死と隣り合わせになっている哀れな人々がたくさんいるのです。
そうした事実は、地上が地獄に等しい世界であることを証明しています。霊界から見ると、地上の悲惨さ・醜さは正視できないほどです。まさに地球は“暗黒の地獄”とも言うべき低次元の惑星なのです。
霊的無知から、物質中心主義と利己主義が蔓延
その暗黒状態を招いた一番の原因は、地球人類の「霊的無知」にあります。地上人は肉体という物質の衣をまとっているため、霊的存在としての本来の意識を自覚できなくなっています。そして肉体だけが自分自身であると思いこみ、人間は死によってすべてがなくなると考えています。こうした唯物的な考えしか持てない人間は、“地上人生をできるだけ楽しんで過ごさなければ損だ”と思うようになり、物質的喜びや本能的快楽を必死になって追い求めるようになるのです。
そうした快楽追求の人生では、何よりも自分の物質的利益・物質的満足を優先して求めるようになるため、お互いの間に利害関係が生まれるようになります。こうして「霊的無知」は、地球上に「物質中心主義」と「利己主義」を蔓延させることになりました。
地球上を覆う、さまざまな悲劇
物質中心主義と利己主義は、地球上にさまざまな“悲劇”を発生させています。戦争は動物以下の殺し合いであり、誰もが戦争は悪いことだと知っているにもかかわらず、やめることができません。人類歴史を通じて人間は、延々と戦争・人殺しを続けてきました。そして現在も同じ愚行を繰り返しています。国際社会も国際連合などの機関も、それを止める手立てを持っていません。
また利己主義から発する富の奪い合いが極端な貧富の格差を生み出し、一部の人間に富(財力)と権力を集中させるようになっています。少数の億万長者が贅沢三昧の生活を送る一方で、圧倒的多数の人々が、その日暮しの貧しい生活を余儀なくされています。金持の多くは貧困者のために、自分の富の一部さえも分け与えようとしません。目の前で貧困者が餓死の危機にさらされていても、決して自分の富を手放そうとしません。“神”は、地球の大地から67億の地球人類が十分に食べていけるだけの食料を与えてくれていますが、現実には十数億という人々が飢えに直面しています。そうした貧困・飢餓が、戦争を引き起こす原因にもなっています。戦争や貧困・飢餓以外にも、地球上にはさまざまな悲劇が存在します。
この地球上を覆い尽くしている悲劇は、すべて地球人類の「霊的無知」から発生しています。地球上の悲劇の元凶は「霊的無知」にあるのです。
霊的真理による霊的無知の克服
霊界の高級霊たちは、こうした地球上の悲劇を解決するために“スピリチュアリズム”を興しました。その目的は「地球人類を救うこと」、言い換えれば戦争や飢餓などの地球上の“悲劇”をなくすことです。そしてそのための方法として、悲劇の元凶である「霊的無知」の解決を主要目標にして働きかけを開始したのです。“霊的無知の解決方法”――それは「霊的知識・霊的真理」を地球人類にもたらすことです。
霊的真理によって――「人間は永遠の霊的存在である」「地上人生は霊界での生活の準備をするためにある」「物質的なものには何の価値もなく、地上生活に必要な最低限のものがあれば十分である」といったことを心の底から納得するなら、地球人類は、これまでの物質至上主義・本能的快楽主義の支配から脱することができるようになります。そしてモノや富をめぐっての争いもなくなり、地球上から利己主義が姿を消すようになります。
霊中心主義・利他主義支配の「霊的同胞世界」
霊的真理が地上世界に広まることによって、これまで地球上に蔓延してきた物質中心主義が「霊中心主義」に、利己主義が「利他主義」に代わることになります。それにともない“悲劇”は徐々になくなっていきます。そして暗黒の地球は、神を共通の“霊的親”とする「霊的大家族世界」「霊的同胞世界」に生まれ変わることになります。
これがスピリチュアリズムが目指している地球の姿であり、地球人類救済運動の最終目的なのです。
まとめ
以上の内容を整理すると、次のようになります。

【2】スピリチュアリズムとは何か(スピリチュアリズムの定義)
1.2方向からのスピリチュアリズムの定義
スピリチュアリズムとは、どのようなものであるのか、おおよそ理解していただけたものと思います。最後にこれまでの内容を確認する意味で、スピリチュアリズムの定義をまとめてみます。スピリチュアリズムの本質とは何か? その本質を簡単に言えばどのようになるのか?――これが“スピリチュアリズムの定義”となります。
スピリチュアリズムについては、それを計画し展開する霊界の高級霊の立場と、その計画の対象となっている地上人の立場では見方が異なります。“スピリチュアリズム”という同じものを眺める視点が、霊界人と地上人では全く違っています。
そのため霊界サイドからのスピリチュアリズムの定義と、地上サイドからのスピリチュアリズムの定義という二通りの定義が成立します。言うまでもないことですが、霊界サイドからの定義こそが「スピリチュアリズム運動の本質」を最も端的に言い表しています。したがってこれが、スピリチュアリズムの1次的定義(根源的定義)ということになります。それに対し地上サイドからの定義は、2次的定義ということになります。
2.霊界サイドからのスピリチュアリズムの定義
――スピリチュアリズムの1次的定義
霊界サイドから見たときスピリチュアリズムは、どのように定義されるのでしょうか。スピリチュアリズムの主役・主導者は、霊界にいる高級霊たちです。彼らは地上世界の悲劇を解決して地球人類を救うために、一大救済計画を立案しました。それが地上に展開して“スピリチュアリズム運動”となりました。そしてその後も、最初の計画どおりに霊界を挙げての働きかけが続けられてきました。スピリチュアリズムのさらなる発展、霊的真理普及の拡大を目指して、活発な活動が推進されてきました。その結果、地球は徐々に進化向上し、改善の道をたどることになったのです。そして今この時も、地球上から悲劇をなくすために、霊界から総力を結集した懸命な働きかけがなされています。
イエスを中心とする高級霊たちが、もし“地球人類を救済しよう”という決意をしなかったなら、現在、地上で展開しているスピリチュアリズム運動は存在しませんでした。スピリチュアリズムのすべては、地球人類の救済を願う高級霊たちの決断から出発しているのです。
スピリチュアリズム運動を導く霊界側から見たときの“スピリチュアリズム”とは――「霊界主導の地球人類救済プロジェクト」ということになります。これがスピリチュアリズムの本質を最も的確に表現している定義であり、1次的定義(根源的定義)となります。そうした霊界の高級霊による地球人類救済計画を細分化して見ると、そこにさまざまなスピリチュアリズムの小定義が成立します。
3.地上サイドからのスピリチュアリズムの定義
――スピリチュアリズムの2次的定義
これまでスピリチュアリズムについて、さまざまな定義が試みられてきました。しかし、そのいずれもが地上サイドから見た定義でした。スピリチュアリズムの一番の本質的定義は、今述べたように「霊界主導の地球人類救済プロジェクト」となりますが、それを地上人の側から見ると、いろいろな定義が成立することになります。
地上サイドから見た“スピリチュアリズム”とは――まず「宗教の形式をとらない新しい心霊啓蒙運動」そして「地球人類史上、初めての地球規模の宗教改革運動」ということになります。宗教にとっての最大の使命であり根本的テーマである死生観・死後観・霊魂観に明確な解答を与え、これまでいずれの宗教においてもなし得なかった「霊的革命・宗教革命」を起こすのがスピリチュアリズムなのです。
さらに地上サイドから見ると――「地球人類の霊性復興運動」「地球規模の霊的覚醒運動」ということになります。地球人類の悲劇の元凶である「霊的無知」を解決するために、霊界から「霊的真理」がもたらされました。それを受け入れるところから地上人の救いの道が始まります。霊的真理と出会い、それを受け入れ実践することによって、地球全体を支配してきた「物質至上主義・利己主義」という霊的成長の阻害要因が取り除かれていくことになります。
スピリチュアリズムは、霊的真理に基づく一人一人の人間の「霊的成長の道」であると同時に、地球人類全体にとっても「霊性復興の道」となっています。その意味で“スピリチュアリズム”は――「霊的真理による霊的同胞世界確立の大プロジェクト」と言えるのです。
