“ライブドア騒動”を霊的視点から見ると

ニューズレター第29号

敵対的M&Aは、押し込み強盗と同じ

“ライブドア”によるニッポン放送株買収の騒動が話題となっています。ライブドアの堀江氏がしていることを一言で言うならば――「他人が苦労してつくり上げてきた企業を商品化し、かねの力を武器にして奪い取ろうとする強盗的行為」ということです。本質的には、押し込み強盗と同じことなのです。

こうした行為は、神の摂理特に利他愛の摂理)に大きく背いていることは、今さら言うまでもありません。人間の道徳的常識としても許されることではありません。まさに、「物質至上主義」と「利己主義」による地球上の支配を浮き彫りにした一つの出来事なのです。

しかし、そのような悪事が、現在の地球では堂々とまかり通るようになっています。ライブドアがしようとしている敵対的M&AM&Aとは、企業買収のことです)は、世界の先進国ではたびたび見られます。今後、そうした動きは日本でも拡大していくと予想されます。

グローバリズムの申し子――堀江氏

今回のライブドアによるM&Aに対して、海外のメディアはライブドアに好意的姿勢を示しています。「日本の年寄り社会が意欲ある若者をいじめている」といったイメージでとらえ、日本社会がグローバル・スタンダードから遅れをとっていると批判しています。

堀江氏は、まさにグローバリズムの申し子・グローバリズムの寵児ちょうじといってもいいような存在です。アメリカを中心とするグローバリズムの観点からすれば、堀江氏がしていることは当たり前のことであり、それを潰そうとする反対派は間違った時代遅れの勢力ということになります。

現代のグローバリズムがもたらす地球上の悲劇

グローバリズムは、ヒト・モノ・カネが国境を越えて自由に行き来できるようにし、世界経済の一体化を促進するという、いかにも国際化時代における素晴らしい理念のように映ります。しかし物質至上主義と利己主義支配の現在の地球にあっては、そうした理想とは全く逆の醜い現実を出現させることになっています。

現在のグローバリズムは、市場原理とマネーゲームによって、地球全体を無軌道なメガ競争に巻き込んでいます。その結果、一部の力のある企業や個人にのみ物質的富が集中するようになり、世界規模で貧しい国家・貧しい人々を生み出すことになっています。貧しい人々の富を、裕福な人間が無情に吸い上げ、貧困はますます深刻化するようになっているのです。

また、世界経済全体がアメリカの消費(贅沢ぜいたく)に依存し、これによって支えられるといった異常な状況を巻き起こすことになっています。もしアメリカの景気が悪化すれば、世界規模で経済危機が表面化するようになります。

グローバリズムの進展は、世界人類の幸福を進めたのではなく、反対に不幸と貧困と不安をいっそう拡大させることになりました。「利他愛」の上に立ったグローバリズムは世界中の人々を幸せにしますが、現在のような「物欲主義・利己主義」に立ったグローバリズムは地球を地獄におとしめるだけなのです。地球全体の世界市場化を目指すグローバリズムは、“ひとり勝ち”したほんの一部の人間がすべての富を奪い独占し、多くの人々を貧困の中に追いやることになるのです。

霊的に間違っている現在のグローバリズム

自由化・規制緩和・市場開放の新自由主義路線のもとで進められている現在のグローバリズムは、き出しの「欲望資本主義」となり、地上人類を霊的成長からさらに遠ざけることになっています。現代のエゴ的グローバリズムは、一部の企業や個人に富をもたらす一方で、多くのアメリカ企業や国民をも窮地に追いやっています。そしてアメリカそのものを内部から弱体化させることにもなっているのです。

現在のグローバリズムは、明らかに「神の摂理」から外れています。地球上に存在してはならないものなのです。グローバリズムにともなう“マネーゲーム”は、人間の欲望追及を極限にまでエスカレートさせた最も利己性の強い行為なのです。

間違ったグローバリズムは、マネーゲームという極端な利己的行為を引き起こし、「カネさえあれば何でもできる」という、人間を堕落させる思考を社会に蔓延させることになります。嫌がる相手企業を、カネに任せてカネを外部から調達して)乗っ取ろうとする行為は、「神の摂理」に照らしたとき決して許されるものではありません。それは人間のつくった法律では適法であっても、また狂ったグローバリズムの基準では正しいとされても、霊的には間違っています。

経済活動には歯止めと規制が必要

肉体の欲望追求に対して一定の禁欲が必要なのと同様、経済活動に対しても、常に一定の歯止めと規制が必要なのです。資本主義の無制限の肥大化は、地球そのものを滅ぼすことになってしまいます。資本主義には、勝手気ままな欲望追求ができないようにするための制約が不可欠なのです。現在のグローバリズムは、それとは全く逆のことをして、すべての制限を取り払い、欲望追求を極限にまで推し進めようとしているのです。

堀江氏を賞賛する海外メディアも、賞賛される堀江氏自身も、この間違ったグローバリズムを“絶対善”としています。そして、このニセの理念の上に立ってマネーゲームを正当化し、他人の富を奪おうとしているのです。攻撃を受けたサンケイグループがその強盗から身を守るために、違法すれすれの対抗策を取ろうとしたとしてもそれを責めることはできません。ただし、大企業であるサンケイグループが企業買収の可能性を想定していなかった無防備さは非難されるべきでしょう。)

霊的摂理に近い従来の日本企業の在り方

マネーゲームの支配するところでは、人間として大切な“心”そのものを踏みにじることになります。心よりモノを重視し、心を全く無視することになります。今回のライブドア騒動は、グローバリズムの尖兵としての堀江氏が、自分達の企業に愛着を持ち、連帯性や心のつながりを重視する日本企業の在り方に対して挑戦状を突きつけたことになります。

現在の先進国では、ライブドアのような路線が主流になりつつありますが、神の前ではどこまでも間違っている以上、ライブドアの主張や野心を阻止しようとすることは正しいのです。利己性の極みまで至ってしまった資本主義・グローバリズムに歯止めをかけなければなりません。日本企業の在り方のすべてが摂理に合っているわけではありませんが、「利己性が少ない」という意味で、グローバリズムよりはずっとましなのです。これまでの日本企業の在り方は、決して古臭いのではありません。心と愛と連帯を重視する方向性は「神の摂理」に近いのです。

大手マスコミにも問題

今回のライブドア騒動に対して、いつ同じような立場に立たされることになるかも知れない大手マスコミ(新聞社・テレビ局)は、サンケイグループサイドに立ってライブドアを非難しています。そしてメディアの公共性という点で、堀江氏には大きな問題があると批判しています。

もちろんこうした見解は正しいのですが、視聴率だけを意識して中身のないバラエティー番組ばかり放送している民放TV局の現実を見るかぎり、そうした言い分に説得力を感じることはできません。その意味で今回の騒動は、テレビ局に対しては、よい意味での一石を投じたことになったのではないでしょうか。

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