永遠の霊性進化の道と、一瞬の地上人生
――“永遠に生きる”ということの深い意味を再確認しましょう
ニューズレター第29号
シルバーバーチは、あるとき次のように言っています――「大切なのは、人間が永遠なる魂であり、地上生活はその永遠の巡礼の旅路のほんの短い、しかし大事な一部なのだという事実を知ることです」
(『シルバーバーチの霊訓(1)』(潮文社)p.43)
私達は、人間が永遠的存在として造られ死後も存続すること、そして地上人生はその死後の世界(霊界)への準備をする場所であることをすでに学びました。
「人生の目的は至って単純です。霊の世界から物質の世界へ来て、再び霊の世界へ戻った時にあなたを待ち受けている仕事と楽しみを享受する資格を身につけるために、さまざまな体験を積むということです。そのための道具としての身体をこの地上で授けてもらうというわけです。この地上があなたにとって死後の世界に備える絶好の教訓を与えてくれる場所なのです。」
しかし正直なところ――「人間は永遠的存在である」「地上人生はその永遠の生活の準備をする所である」というシルバーバーチの言葉の深い意味を、今日まで実感することなくきたのではないでしょうか。ここでもう一度、私達が永遠の存在であること、そして地上人生はその中のほんの一瞬の出来事であることを確認したいと思います。
1.永遠の個的存在として造られた人間
人間のみが死後も存続する
神は“霊の大海”から一滴を取り出し、ミニチュアの神・分霊とされました。それが私達人間なのです。そしていったん個別性を与えられた人間は、その後、永遠に生き続けることになります。私達は真理を通じて、死後も霊界で生活することを学びました。地球上には百数十万種もの生命体が存在しますが、その中で人間のように、死後も個性を持ったまま永遠に生き続ける存在は他にありません。何と驚くべきことでしょうか。無数の生命体の中で、人間だけに永遠性が与えられているという事実は、宇宙最大の謎であり神秘です。
私達が人間として生まれたということは、神のすべての創造の業の中で、きわめて特別な出来事と言えます。その私達を、神はこれから永遠に、自分の子供として愛してくださるのです。それを思うと、言葉に言い表せないほどの感動の思いが湧き上がってきます。
永遠に生き続ける人間
ここで、私達の想像力を最大限にまで働かせてみましょう。今地上で生きている私達は、いつか必ず死を迎えることになります。ある人にとってはそれは20年後のことかも知れませんし、別の人にとってはわずか数年後のことかも知れません。大半の地上人は、霊界があることを知らないために“死”を最大の不幸・最大の悲劇と考えます。そして少しでも死を先送りにしたいと必死になっています。しかしどのような人間も、やがて死を迎え霊界入りすることになります。
さて、肝心なのはそこからです。私達は、霊界でどのくらい生き続けるのでしょうか。100年、200年だけでないことは、スピリチュアリストなら誰でも知っています。1000年、2000年で私達の魂が消滅するようなこともありません。それどころか1万年後も10万年後も100万年後も、さらには1億年後も私達は霊界で存在しているのです。そして、その後もずっと生き続けます。“死”という終わりは永遠にやってこないのです。これが――「人間は永遠的存在として創造された」ということの意味なのです。
永遠の霊的進化の法則
ここで重要な点は、人間はただ「永久に生き続ける」ということだけでなく、同時に「霊的成長をなしていく」ということです。つまり人間は、進化、進化の果てしない道をどこまでも歩んでいくのです。これを――「永遠の霊的進化の法則」と言います。人間に関する神の第一法則・根源的摂理です。
今、地球の年齢は46億年、宇宙の年齢は137億年と言われていますが、私達人間は、今後それよりもずっと長く存在することになります。そして遠い将来、地球が滅び、宇宙が収縮・消滅するようなことがあったとしても、いったん“神の子供”として造られた私達は、永遠に霊的進化の道を歩み続けることになります。そんな悠久の時の流れを考えると頭がくらくらしてきますが、これは紛れもない事実なのです。
「人間は霊的に成長することを目的として、この世に生まれて来るのです。成長また成長と、いつまでたっても成長の連続です。それはこちらへ来てからも同じです。」
2.一瞬の地上人生
ここでは、これから私達が歩んでいく「永遠の
さて、ここで再び皆さん方の想像力を大いに働かせていただきましょう。私達の地上人生の100年間を1センチと想定することにします。するとシルバーバーチがこれまで霊界で過ごした3000年間は30センチの地点になります。皆さんがこれから歩む1万年の道程は100センチ(1メートル)、100万年は100メートル、1000万年は1000メートル(1キロメートル)、1億年は10キロメートルの地点になります。
皆さんの地上人生の100年間を1センチの高さで表すとするなら、1億年後の皆さんは、何と10キロメートルの高さ(*エベレストより高い)に至ることになります。これは単なる推測ではなく、「人間が永遠の生命体として造られている」という事実から導き出される確実な結論なのです。
そうした広い視野から眺めると、大半の人々がとかくすべてだと思い込んでいる地上人生は、本当に微々たるものであることが実感されます。地上人生は、これほどまでに短い期間なのです。まさに地上人生は、線香花火のごとく一瞬の出来事に過ぎません。今私達は、その一瞬の地上人生の真っ只中にいるのです。
3.再生人生と地球圏霊界
地上人の、これまでの霊的人生の歩みはどのくらいか?
ところで、このニューズレターをお読みいただいている皆さん方は、神によって個別の霊的存在として造られてから、どのくらいの期間がたっているのでしょうか。おそらく多くの方々は、現在“再生人生”を歩んでいらっしゃることでしょう。そうなると神の子供として独立してから、かなり長いあいだ霊性進化の道を歩んできたということになります。過去にも地上体験があり、そして霊界での待機期間(*類魂としての生活)があり、今回の地上人生を迎えたことになるからです。
では「具体的にはどのくらいか?」ということになりますが、結論を言えば、数百年から、長くても数千年ということになります。なかには、自分は何百万年も霊性進化の道を歩んだ高級霊の再生者であると主張する人がいるかも知れませんが、実際にはそうしたことはあり得ません。
なぜなら「地球に誕生した」という事実が、大した霊性進化のレベルには至っていないということを証明しているからです。私達が最高の高級霊として考えるシルバーバーチでさえ、地上に生まれてからわずか3000年しかたっていないのです。そのシルバーバーチも、数回の地上への再生をへて現在に至っています。そして、やっと地上に再生する必要のないレベルにまでたどり着いたのです。
地上圏霊界は、物質世界での体験が必要な霊性レベル
地上に再生するということは、地球という物質的世界での体験が必要な霊的レベルにあるということを示しています。それは同時に、私達が霊的進化の道の全くの初心者であることを意味しています。
このことからして“幸福の科学”で言うような、エル・カンターレなる神的存在が肉体を持って地上に現れ、しかも何度も地上世界に輪廻転生するという説は、まるっきりの嘘・間違いであることが分かります。肉体という物質をまとって地球人として生まれたということは――「物質次元の霊的レベルをいまだに卒業していない」ということなのです。
イエスのように高級天使が受肉した場合、地上の使命を終えると直ちに地上圏霊界を素通りして、高い霊界へと至ることになります。その後、輪廻転生するようなことはありません。これは万が一にも存在しない、きわめて特殊なケースなのです。イエスの特別な使命のゆえに実現したことです。
一方、地球以外の天体には、すでに何十万年、何百万年、何千万年もの霊的進化の歩みを果たした人間が存在しています。こうした地球人とは比較にならないほどに進化した人間が、わざわざ地球という低い物質界に再生することはありません。また、誰もが自らの責任において霊的成長を成し遂げなければならない以上(*自己責任の法則)、他の天体の住人がわざわざ地球に出向いて働きかけをするようなこともありません。
地球の救いは、少なくとも地球上に生を
私達の“霊性”は地上圏レベルにあります。地球という物質世界の体験を通じて、霊的成長の基礎をつくる初歩的段階を歩んでいます。霊界では私達は“類魂”の中に入りますが、その類魂も地上圏霊界に所属します。類魂は地上圏霊界を通過するための共同成長のシステムなのです。無事に地上圏霊界を卒業すると、現在のような類魂を通じての共同体験も再生も不要となり、類魂から抜け出すことになります。
*人間とは異なり、物質世界での体験を全く必要とせずに霊性進化の道を歩む生命体がいます。それが霊界にいる“天使”です。天使は、人間が進化の歩みを物質界からスタートするのに対し、霊界で生まれ、霊界で成長のプロセスを歩みます。宇宙が造られた137億年以前から、霊界にはすでに多くの天使が存在し、進化の道をたどっていました。
天使も神の法則の支配のもとで、低いレベルから高いレベルへと進化していきます。その中にはとてつもなく高いレベルにまで進化した者もいました。イエスもこうした天使の一人だったのです。
地上圏霊界は、霊性進化の初歩段階
再生人生の真っ只中にある私達地球人は、死後しばらくの間“類魂”としての共通体験・共同体験を通じて地上圏霊界をたどっていきます。その地上圏霊界を卒業する期間は、シルバーバーチやインペレーターの経歴から推測すると、長くても数千年ということになります。
その数千年は、先ほど示した図に照らしてみるなら、地上世界からわずか数十センチ程度の領域ということになります。このように考えると、地球人類は霊的人生のほんの一歩、ごく初歩の段階を踏み出したに過ぎないことが理解できます。
4.下から2番目の霊性レベルの地球と、スピリチュアリズム
こうしたことを考えると、シルバーバーチの――「地球はすべての惑星の中で、下から2番目の進化のレベルにある惑星です」という言葉が、実感をともなって迫ってきます。何百メートルの高度、何キロメートルの高度で生活する他の惑星の住人から見れば、たかが数センチ、数十センチのところでひしめき合っている地球は、いかに低い天体であるかということです。地球では最高級レベルのシルバーバーチでさえわずか30センチの所にいる霊なのです。
こうした低い地球における最大の出来事が“スピリチュアリズム”なのです。スピリチュアリズムは、地球に関係する霊達が総力を挙げて、地球を霊性進化するにふさわしい場所につくり替えようとするプロジェクトなのです。何百メートル、何キロメートルの高さにいる他の惑星の住人のことを考えると、私達の地球で行われている大プロジェクトもかすんで見えます。しかし私達地球の住人にとっては、スピリチュアリズムによる霊的浄化は、どうしてもクリアしなければならない必須条件なのです。地球に生まれたことのあるすべての霊達が、これからの地球人のために全力を挙げて取り組んでいる救済活動なのです。
それは21世紀の地球にとって、最も重要な出来事であることは言うまでもありません。今霊界では、こうした歴史的なプロジェクトが着々と進められ、それによって地球は確実に進化の道を歩んでいるのです。
5.ほんの一瞬だけれど、大切な地上人生
現在、地球上に生活する私達は、霊性進化のプロセスの第一歩を踏み出したところです。今後しばらくは“類魂”との共同成長の歩みを通じて、地上圏霊界を少しずつ上昇していきます。どのくらいで地上圏霊界を卒業することができるのかは、今後の一人一人の努力にかかってきます。何回か再生人生を歩んでも霊的成長のチャンスを生かすことができなければ、いつまでも地上圏にとどまることになります。わざわざ遠回りの道をつくり(カルマをつくり)、成長の道を自ら閉ざしてしまうこともあります。何千年もの長い間“地縛霊”として霊的成長をストップさせたままの霊もいます。
地上人生は、霊界へ行ってからの生活のための準備場所でありトレーニングセンターです。人間にとって必要な基礎的な霊的成長をなす所として神が定められたのです。残念なことにそれほど大切な地上生活を、あまりにも多くの人々が無駄に過ごしています。その最大の原因は、霊的知識に対する無知にあります。霊的知識がないために、死ねばすべてが終わりだと錯覚し、生きている間にできるだけ物質的快楽を求めなければ損だと考えるようになります。そうした「物質中心主義」が必然的に「利己主義」を生み出し、その結果、地球上に戦争や貧困・飢餓といった地獄さながらの世界を現出させることになっています。
何のために地球上に生まれたのか? その答えは簡単です。霊的成長を達成して、霊界の生活に備えるためです――「人生の究極の目的は、地上も死後も、霊性を開発することにあります。物質界に誕生してくるのもそのためです」
(『シルバーバーチの霊訓 霊的新時代の到来』(スピリチュアリズム普及会)p.113)
しかし、この単純でありながら最も重大なことを、現在の大半の人々は知らずにいます。霊界に入ってゼロからやり直さなければならないような人があまりにも多すぎて、それが霊界の人々に甚大な負担を負わせてきました。
そこで霊界の高級霊が協議して、地上に「霊的真理」をもたらし、地上人を救済する計画を立案したのです。言うまでもありませんが、それが“スピリチュアリズム”なのです。私達スピリチュアリストは、その救済計画の恩恵を真っ先に手にした最も幸運な地球人なのです。
「それが地上での存在の理由のすべてなのです。なのに現実は、大多数の人間が身につけるべきものをロクに身につけようともせずに地上を素通りしております。
ですから、イザこちらの世界へ来た時は何の備えも出来ていないか、さもなければ、一から学び直さなければならないほど誤った思想・信仰によってぎゅうぎゅう詰めになっております。本来そうしたものは地上の方が遥かに学びやすく、その方が自然なのです。」
6.現在の地球上の問題は、いずれすべて解決する
今後、地球と地球人は、何千年、何万年、何十万年と歩んでいく中で少しずつ霊的進化の道をたどっていきます。そうした永い時間の観点からすれば、今地球上で生じている問題は、いずれそのうち消滅していくものばかりなのです。戦争・貧困・飢餓・テロ・環境問題・人種差別・核問題・経済問題――そのどれもが時間とともに解決されていきます。
しかし肉体に閉じ込められ、肉体生命だけがすべてと思い込んでいるところでは、数年から数十年のスパンでしか物事を判断することができません。そして「大変なことになった、世も終わりだ」と右往左往しうろたえることになります。たかだか数十年の肉体寿命を基準とした視野には、現在の地球は絶望的状況にしか映りません。地球の将来、地球人の未来は、果してどのようになっていくのかと不安に駆られるようになります。
実際には何百年か後には、今私達を悩ませ不安に陥れている地球上の諸問題は、見事なまでに消え去っていることでしょう。シルバーバーチは「何も心配は要りません」と繰り返し述べていますが、その通りになっていくのです。
とはいっても将来の地球上には、問題や悩み事が一切なくなるということではありません。現在、地球人を悩ませている無用の問題に代わって、別の問題が生じることになります。物質界ならではの問題や困難が必ず生じ、それに全力で取り組む中で成長していくのが地上人の宿命なのです。どれほど霊的に進化しても物質界にいる以上、さまざまな問題に直面することは避けられません。
ただ、はっきり言えることは、未来の地球においては今よりもっと高次元で内面的な問題が大半の人々の課題となるということです。たとえ何百年、何千年たっても、地球人類に要求される努力内容は変わりません。それは、これまでスピリチュアリズムで提示されてきた「霊主肉従の闘い」と「利他愛の実践」に集約されます。
それほど遠くない将来において、現在地球上に存在する大半の宗教は姿を消し、スピリチュアリズムという「神」と「神の摂理」を信仰対象とする宗教だけになっていきます。霊界に一つの宗教があるように、「霊的真理」にそった一つの信仰形態が地上人の常識となるのです。
私達は地上世界に住み、肉体を持っているために、どうしても物質(肉体)を中心として考えてしまいます。しかし「霊的真理」という永遠の視野を与えられた私達スピリチュアリストは、物質世界にあってもそれに巻き込まれることなく、常に「霊的視野」に立った考え方・見方をしなければなりません。物質世界の政治や経済の動きに惑わされることなく、常に霊界人のような視点に立って、地球上の動きを超然と眺め下ろしていかなければなりません。今、与えられている地球上の生活を、霊界まで続く永遠の流れの中の一こまとして大切に過ごしてまいりましょう。