スピリチュアル・ヒーリングから見たホリスティック医学

ニューズレター第14号

1.ホリスティック医学と自然治癒力

アンチ現代西洋医学としての「代替だいたい医療」

30年ほど前から、従来の西洋医学とは異なる療法、すなわち東洋医学やアーユルヴェーダなどの民間療法、中国の気功治療、カイロプラクティックや手技療法、また各種自然療法、ヨーガ、さまざまなヒーリングなどが注目されるようになってきました。これらの療法に携わる人達は――「これまでの西洋医学では成人病は治せない」とさかんに現代医学を批判する一方、「自分達の治療法なら、現代医学では治せない病気も治せる」と声高に叫んできました。現代医学は実際、多くの点で慢性病に対しては無力であるため、こうした“アンチ現代医学”ともいうべき療法が、病気に苦しむ多くの現代人の心をとらえることになりました。

今あげたような医療は、これまでの医学に替わる医療という意味で、「代替だいたい医療」と呼ばれています。数年前からアメリカでは、従来の通常医療にかけるお金より、こうした代替医療に投じるお金の方が多くなっています。もちろんそうしたアンチ現代西洋医学の動きに対して、医学サイドが反発しないはずがありません。代替医療などは非科学的で、サギまがいの行為を行っていると激しい批判をしてきました。実際は治ってもいないのに、勝手に治っていると嘘の情報を流して、人々をだましていると反論をしてきました。

「ホリスティック医学」――人間全体を丸ごと扱う医学

最近ではこの代替医療は、よく「ホリスティック医学」と呼ばれます。ホリスティックとは、「全体」とか「全部」を意味するギリシア語の“HOLOS(ホロス)”を語源とする言葉です。したがってホリスティック医学とは、生命体としての人間全体を扱う医学、人間を丸ごと扱う医学という意味になります。ホリスティックという言葉が用いられている背景には、これまでの現代医学が臓器主義と唯物主義に立脚していることに対する批判の意味が込められています。

従来の現代西洋医学では、人体を臓器という部品の集合体と見なし、もしその一つの部品が悪くなれば、それを取り替えればよいという考え方をします。最近話題となっている“臓器移植”は、まさにそうした臓器を一つ一つの部品のように考えるところから生まれたものです。現代医学が、人間の体を機械部品の寄せ集めのように考えるのは、人体はどこまでも“物質”にすぎないとする「唯物主義」に立脚しているからです。

そうした西洋医学に対して、ホリスティック医学では、人間を臓器という部品の集まりとは考えません。人間の身体全体を、そのまま生命体としての一つの単位として見ようとします。もし体の一部に異常があるならば、それを体全体の異常の現れとしてとらえ、その臓器だけが悪いとは考えないのです。ホリスティック医学では、人間を単なる物質・物としては考えません。物を超えた「心や霊」といったものを含めたトータル的存在が人間であると考えるのです。

以上のような点で、ホリスティック医学と従来の医学は根本から異なります。

ホリスティック医学の「自然治癒力」と、現代医学の「対症療法」

ホリスティック医学と西洋医学では、さらに大きな違いがあります。それは両者の“治療観”です。ホリスティック医学では、病気を治すのは身体にもともと備わっている「自然治癒力」であるとします。病気が治るのはこの自然治癒力の働きによる以上、医学とは「自然治癒力」に協力し、これをサポートすることに他ならないとします。

それに対して西洋医学では、自然治癒力が病気を治すという明確な思想的支柱がないために、治療とは、外部に現れた症状を抑えたり無くすことになります。熱が出れば解熱剤で熱を下げ、痛みがあれば鎮痛剤で痛みを抑え、かゆみがあればステロイド・ホルモンでそれを抑えようとします。現代医学におけるガン治療には、それがはっきりと示されています。現在大半の病院では、薬や手術・放射線によってガン細胞を殺したり排除することだけを目的とした治療が行われています。このように西洋医学における治療は、どこまでも「対症療法」が中心となっているのです。

「自然治癒力」の働きを左右するもの

ホリスティック医学を説明するキーワードは、自然治癒力です。「自然治癒力が病気を治す」がホリスティック医学に共通する理念です。自然治癒力の働きが低下すれば人間は病気にかかり、逆に自然治癒力が高まれば病気は治ると考えます。ホリスティック医学における治療とは、自然治癒力を引き出すことなのです。自然治癒力を阻害する原因があるなら、それを取り除くことが治療になります。したがってホリスティック医学は、西洋医学の対症療法と比べ、より根本的な治療法を目指していると言えます。

では、この「自然治癒力」は、何によって引き出されたり、阻害されることになるのでしょうか。自然治癒力に対するプラスとマイナスの要因とは何でしょうか。結論を言えば、精神状態やストレスなどの心の要素、また食生活の内容や有害物質の体内蓄積、さらには適度な運動、適切な休息といった、さまざまな要因によって自然治癒力の働きは左右されます。

【図1】 自然治癒力を左右する要因
自然治癒力を左右する要因

2.心身医学と「心の力」

心の存在を無視する現代医学

ホリスティック医学の中で大きな核となっているのが、「心身相関医学(心身医学)」です。従来の医学では、心の存在をほとんど無視してきました。唯物論に基づく現代医学では、「心」は「脳」という物質の産物にすぎないとします。心は脳の産物である以上、その心が逆に、脳に影響を与えたり、支配するというようなことはあり得ないとします。常に、脳が心や精神を支配し、影響を与えると考えるのです。したがって心や精神の異常は、薬を用いて脳や神経をコントロールすることによって抑えられるとします。現在の精神科では、こうした薬物療法が治療の中心になっています。

このように現代医学では、心の存在を完全に無視したり、切り捨てて考えるのが普通です。

心の存在を無視する現代医学
【図2】

心の力を前面に押し出した「心身医学」

ところがホリスティック医学のワンパートである「心身相関医学(心身医学)」では、心の存在を明確に認め、さらにその心は身体に大きな影響力を持つという、これまでの医学とは全く異なった考え方を打ち出しました。「心身相関医学」という言葉に示されているように、心と身体はお互いに影響を及ぼし合うのだという考えを医療の中心に据えたのです。これまでは脳から心へという一方的な関係しか成立しないとされてきましたが、「心身医学」では、心と脳は相互的に影響し合うということ、心も身体に影響を与えることができるという考えを、現代医学の中に持ち込んだのです。

やまいは気から」

――さまざまな心身症

とは言っても、心が身体と密接な関係があることを明らかにしたのは、心身医学が最初ではありません。人類は古来から体験的に、心の状態と病気の関係を知っていたのです。例えば東洋医学では、「やまいは気から」と言い、悩みや悲しみなどが病気を引き起こすことが知られていました。しかし近代において唯物的な現代医学が医学の中心を占めるようになり、そうした考え方は否定されることになりました。そして「心身医学」の登場によって、再び心が、医学の重要な位置に復活することになったのです。

心の病によって起こされる病気を「心身症」と言います。現在では、気管支ゼンソク、関節リウマチ、消化性潰瘍、高血圧、皮膚炎、大腸炎、心臓病などが、ストレスによって引き起こされる心身症として知られています。

心の力を積極的に利用する治療法

このように、心や精神的な不安定さが病気を引き起こすことが明らかにされるようになると、心の力を積極的に利用して病気を治そうという、新たな治療法が考えられることになりました。心や精神状態を正常化することで、「心身症」を治そうというものです。プラスのイメージを描くイメージ法や暗示法、またプラシーボを積極的に利用するセルフコントロール法などが行われるようになってきました。また、カウンセリングによって患者の考え方を変え、生きがいを見い出させ、精神的活力をもたらそうとする方法も採られています。こうした「心身医学」の治療法によって、現実に、これまでの治療では治らなかった患者が治癒するケースが多く見られます。

心身医学では、ある種の病気は、心の力を用いて自然治癒力を高め、治すことができると考えますが、これは、スピリチュアリズムの「霊主肉従」の考え方と極めて近いものと言えます。

【図3】
「心身医学」の治療法

3.スピリチュアル・ヒーリングによる身体各部の活性化

すでに述べましたが、スピリチュアル・ヒーリングとは、ヒーラーを通して霊的エネルギーを患者に投射し、患者の霊的領域を活性化し、自然治癒力を高め、病気を治そうというものです。霊的領域とは、心の最も深い部分・最も高次な部分で、一般に「霊」と言われているところです。

ヒーラーを通じて、霊的エネルギーが患者のチャクラから身体に取り入れられます。そのエネルギーは患者の「霊的部位」を充電し、そこを活性化します。すると自動的に、「心全体」が活性化し、心の力が高まります。心を満たした霊的エネルギーは霊体に流れ込み、霊体を活性化します。霊体に充電されたエネルギーの一部は、チャクラを通って肉体に入り、物質的なエネルギーに変換されます。それによって肉体のエネルギーレベルが上昇し、「自然治癒力」が急激に高められることになります。

心身医学では心の力を利用して自然治癒力を高め、病気を治すことを目指しますが、スピリチュアル・ヒーリングでは、そのプロセスを根源にまでさかのぼらせ、徹底化します。すなわち、頂上部に霊的エネルギーを注ぎ込むことによって、心の力を最大限にまで高め、それによって自然治癒力を奇跡的に引き出そうとするのです。

心の力を利用するレベルにおいて、スピリチュアル・ヒーリングと心身医学では天と地ほどの大きな違いがあります。スピリチュアル・ヒーリングによって心の力を最大限にまで引き出すことができるのは、外部から「霊的エネルギーを注ぎ入れる」という特別な手段があるからなのです。

【図4】 霊的エネルギーによる身体各部の活性化
霊的エネルギーによる身体各部の活性化

4.「ホリスティック医学」と「心身医学」と「スピリチュアル・ヒーリング」の関係

スピリチュアル・ヒーリングの治療メカニズムが理解されたところで、これまでの話を整理し、ホリスティック医学と心身医学、そしてスピリチュアル・ヒーリングの関係を対比してみましょう。

【図5】 ホリスティック医学と心身医学とスピリチュアル・ヒーリングの関係
ホリスティック医学と心身医学とスピリチュアル・ヒーリングの関係

ホリスティック医学は図の(ア)の部分をカバーし、心身医学は(イ)の部分を、そしてスピリチュアル・ヒーリングは(ウ)をカバーしています。この図から、心身医学は、ホリスティック医学を「心の力」を用いて徹底化したものであることが分かります。そしてスピリチュアル・ヒーリングは、その心身医学を、霊的エネルギーによってさらに先鋭化し高めたものであることが分かります。スピリチュアル・ヒーリングは、心身医学を霊的エネルギーを用いて強化し、心の持つ潜在的な力を最大限にまで引き出そうというものです。潜在意識の最深部からの治療をなそうというものです。

「ホリスティック医学」と「心身医学」と「スピリチュアル・ヒーリング」を、キーワードから整理してみましょう。ホリスティック医学のキーワードは「自然治癒力」、心身医学のキーワードは「心の力」、そしてスピリチュアル・ヒーリングのキーワードは「霊的エネルギー」です。それらの関係を図示すると次のようになります。

【図6】 霊的エネルギーと心の力と自然治癒力の関係
霊的エネルギーと心の力と自然治癒力の関係

この図から分かるように、霊的エネルギーがあって、初めて人間の心は健全になり、自然治癒力が発揮され、健康が維持され病気が治るということになります。

「自然治癒力」に注目するホリスティック医学は、確かに従来の唯物医学の対症療法に比べると進歩したものと言えます。しかしその視点の大半は、依然、肉体次元・物質次元に限定されています。一方、心身医学が、自然治癒力を左右する要因として「心の力」に注目したことは大きな進歩です。より根源的な原因を考慮しているからです。しかしそれでも、心身医学における治療の領域は、精神的な次元にとどまっています。

精神次元より、さらに深い心の領域があります。それが「霊」なのです。その霊的部位の状態を左右する要因が、「霊的エネルギー」なのです。霊的エネルギーが充実してこそ、初めて心は活性化します。そして最大限にまで、「自然治癒力」を引き出すことができるようになるのです。

現代人の大半は、この霊的エネルギーが枯渇しています。したがってそうした現代人に最も根源的な治療を施すためには、霊的エネルギーを注ぎ込み、霊的部位を活性化させるところから出発しなければなりません。そして、それを可能にするのが「スピリチュアル・ヒーリング」なのです。

ホリスティック医学では、人間をトータル的に考えようとします。人間を単なる肉体という物質だけではなく、霊・心も含めた全人的存在としてとらえようとします。しかし残念なことに、現在のホリスティック医学の中においては、霊的なものを認めようとする医師と、認めようとしない医師に分かれています。ホリスティック医学では、「霊」という言葉を用いてはいますが、本当のところ、霊については全く分かっていないのです。そうした現在のホリスティック医学が曖昧なままにしている霊的要素や霊に係わる問題点を明確にし、そこから根源的な治療をなそうというのが、まさに「スピリチュアル・ヒーリング」なのです。

以上のことから、スピリチュアル・ヒーリングが、ホリスティック医学の中にあって、最も人間の深い領域に係わる治療法であることが理解されたと思います。

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