皆さんのご質問にお答えして

――幼児虐待

ニューズレター第8号

質問……幼児虐待について

最近、大人(特に親)による幼児・児童の虐待が問題になってきました。幼児の虐待死の事件が報道される度に、同じような幼い子供を持つ親として、いたたまれない思いに駆られます。スピリチュアリズムでは、この「幼児虐待」の問題をどのように考えたらよいのでしょうか。

答え

無邪気で無抵抗な幼い子供が、大人の虐待によって死に至ることは、本当に心の痛む出来事です。子供を虐待する大人は、動物にも劣る人間と言わなければなりません。しかし、こうした“悲劇”ともいうべき問題は、幼児虐待に限ってのことではありません。極度の飢餓に苦しむ人々、貧困ゆえに牛馬のように酷使される人々、戦争に巻き込まれ死の恐怖におびえ続ける人々、またかつての奴隷制度によって犠牲となった人々も、本質的には、この児童虐待と全く同じ悲劇の当事者なのです。これらは、地球上の最も悲惨な問題と言わなければなりません。無抵抗なまま虐待を受け死んでいくといった悲劇は、一刻も早く地上から消し去らなければなりません。そして同時に忘れてはならないのは、現在地球上で堂々と行われている“動物虐待”も、本質的には同じ問題であるということです。

こうした地獄にも匹敵する現実をなくしたいと思っているのは、私達地上人だけではありません。実は霊界の大半の霊達は、このような見るに堪えない現実を何百年以上にもわたって、ずっと見てきたのです。目の前に展開される悲惨な状況を眺め、心を痛めてきたのです。そして彼らは、そうした地上の悲惨さをなくすために、今日まで全力で地上に働きかけてきたのです。それが今、私達が係わっている「スピリチュアリズム」なのです。高級霊こそ、これまで最も地上の悲惨さに心を痛め、地上人の誰よりも、それをなくすために努力してきたと言えるのです。

目を覆うばかりの地上の悲惨さは、本を正せば、すべて人間の“エゴと物質主義”に起因します。もちろん地上の悲劇は一部の非道な人々によって引き起こされているのですが、その原因を掘り下げてみれば、すべての人間に共通する“心の問題”に行き着くのです。地上の悲惨さは地上人の心の未熟さが反映したものであり、人災なのです。こうした人災によって引き起こされる悲劇をなくすには、何より人々の「心の変革・霊的変革」が必要とされます。スピリチュアリズムはそのために、霊界あげて進められている大プロジェクトなのです。

従って、私達がスピリチュアリズムの一員として霊的真理の普及に携わるとするなら、それは地上のあらゆる悲惨な問題を解決するための、最も根本的な救済活動に参加していることになります。いかなるボランティアや政治活動よりも、偉大な奉仕活動に携わっていることになるのです。現在の地球は、まさに“地上地獄”とも言うべき世界となっています。そうした状況を、すぐさま変えることはできません。何百年という期間をかけて「霊的真理」を地上に広めることによって、徐々に変えていくしかないのです。

再度述べますが、地上の悲劇をなくすための最も効果的な方法は、地上人一人一人に霊的真理を伝えることなのです。私達はスピリチュアリズムに係わることによって、人類に対する最高の貢献をしています。霊界の人々と一緒に、地球全体の問題を根本から解決するための“大プロジェクト”に参加しているのです。幼児虐待などの悲惨な出来事に心が痛む時は、どうか、こうした事実を思い起こしてください。

そうは言っても、今現実に私達の目の前には、不当な苦しみにあえいでいる多くの人々がいます。そうした状況に対して、どのように考えたらよいのでしょうか。

無駄死にを余儀なくされた人々は、本当に気の毒であるとしか言いようがありません。地上という魂を成長させるための世界に生まれながら、その道が一方的に閉ざされてしまうことは、まさに不公平な運命を背負ったと言わざるを得ません。

しかし、そうした見方と同時に、私達はこれらの問題を「霊的視点から見る」ようにしなければなりません。非道な虐待を受けたり不当な苦しみを与えられ、地上人生を犠牲にした人々には、霊界においてはそれ相応の「埋め合わせの原理」が働くようになります。地上世界で受けた不当な苦しみは、霊界においてそれを埋め合わせるような“恩恵”が与えられ、プラス・マイナスゼロの状態になります。従って地上だけの人生を見れば大きなマイナス点だけが目につきますが、霊界まで見通した時には、公正さが保たれるようになっています。一方的に不公平な人生を歩まされるという人間はいないのです。地上における不当な扱いが、埋め合わされることなく過ぎ去っていくことはありません。地上では悲惨そのものと言える人生を歩んだとしても、こうした埋め合わせの法則が働いていることを忘れてはなりません。幼児虐待の犠牲となって死に至った子供達にも、この法則は当てはまります。

あなたが、そうしたことを実感できれば、かなり心の痛みは軽減されるでしょう。常に「霊的な視野」から物事を見ることが大切なのです。

さらに次のようなことも考え合わせる必要があります。すなわち悲惨な地上人生を歩むようになった人達の多くが、再生に先立って、あえて厳しい環境を選択しているということです。幼児虐待の被害者となった子供達も、その例外ではありません。しかし、虐待によって犠牲になることまで、予定されていたわけではありません。予定されていたのは、厳しい家庭環境や人間環境の中に立たされるようになる、ということです。その中で“死”にまで至ってしまったことは、その子供の霊にとっては、アクシデント以外の何物でもありません。本当に気の毒な出来事です。

しかし、そうした不当な扱いから生じた損害(予定されていた寿命よりも地上人生を早く切り上げるようになったこと)については、その後の霊界での歩みにおいて必ず埋め合わせがなされていきます。霊界で特別な育児・教育を受ける環境が与えられ、多くの愛情が注がれるようになります。あるいは“カルマ”を消滅させるチャンスが集中して与えられるようになるかも知れません。

霊界からの働きかけによって、地上世界は問題の根本的な解決に向けて少しずつ進んでいます。そしてそれが反映して、地上人類の“霊性”も進化してきています。人間社会における差別(男女・人種・階級)や不公平は徐々に改善されてきました。そして今後、貧困・虐待・飢えなどの悲惨な出来事も、制度の改革や法律によって、ある程度まで歯止めがかけられていくようになるでしょう。また当然そうならなければなりません。

しかし法律などによって外部から歯止めをかけることができたとしても、人間の心が変わらない限り、本質的な問題解決にはなりません。なぜなら生命を奪わなくても“愛”がなければ、殺人に匹敵する痛手を相手に与えることになるからです。法律によって肉的殺人は防ぐことができても、“霊的殺人”を防ぐことはできません。結局、地上人類に霊的真理が行き渡り、各自の内面が変わることしか、根本的な解決方法はないということなのです。

地上人の大半が霊的な事実を知らず、霊的に無知のままで霊界に入っていくという現実こそ、地球上における「最大の悲劇」と言わなければなりません。

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