皆さんのご質問にお答えして
――配偶者の不理解・再生・死別
ニューズレター第7号
質問─1……配偶者の不理解について
自分は長年スピリチュアリズムを心の拠り所としていますが、妻はスピリチュアリズムに対して全く理解がありません。すでに高齢になっているのに、妻と同じ考え方ができないのが残念でなりません。何とかして妻にもスピリチュアリズムを理解させ、共に同じ考えを持って歩みたいと願っています。どのような働きかけをしたらよいのでしょうか。
答え
「妻にもぜひスピリチュアリズムを理解してもらいたい」という思いを持つのは、スピリチュアリズムに先に導かれた者としてごく自然のことです。質問者はこれまで、一人でも多くの人にスピリチュアリズムを伝えようと、ご自分の人生を捧げてこられました。そうした真剣さがあればこそ、最も身近な配偶者・家族からの不理解や反対には、本当にいたたまれない思いを味わっていらっしゃることでしょう。何とかして分かってもらいたい、分からせたいと思うのは、スピリチュアリズムに対する質問者の熱意と心の純粋さを反映しています。
さて他の宗教ではこういうケースに対して、おそらく次のような答えが与えられるはずです。「あなたの熱意が足りなかったから奥さんの理解が得られないのです」とか、「相手の永遠の生命を考える真剣さがあなたになかったために、いつまでもこうした状態が続くのです」とか、「あなたに真の愛情がなかったことが反映して、相手の心と一致・調和できないのです」
こうした答えは、一見、内省的でもっともらしく聞こえます。どんな人間にも足りなさはあり、自分自身の内容に自信を持てる人はおりません。そのため、そうしたアドバイスを受けると、真面目な人間であればある程、非は自分にあるかのように感じてしまいます。そして以前よりいっそう苦しみ、落ち込むようになります。
そのような、質問者にすべての責任を負わせるような答えは、実は単なるきれいごとにすぎません。それは人間の「霊性」に対する無知から出たアドバイスと言わざるを得ません。ある点では回答者の極めて無責任な姿勢を示すものです。
ではスピリチュアリズムの観点に立った時、そうした問題についてどのように考え対処したらよいのでしょうか。
まず人間は、夫婦といえども霊的な成長レベルが異なるということをしっかりと認識しなければなりません。いかに仲の良い夫婦であっても、また同じ宗教の信者同士であっても、心の深部に至るまで一致しているようなカップルはめったにいません。ましてやスピリチュアリズムという高い次元における一致ということになると、さらに状況は厳しくなります。その霊的ギャップは、20~30年かかっても埋め合わせることは難しいのが普通です。あるいは一生かけても、二人が同一点に立つことはできないかもしれません。たとえ夫婦であっても、霊的成長の度合い(霊性のレベル)が違えば、真理を共有することはできないのです。
ゆえに、あなたがどれほど純粋なところから配偶者にスピリチュアリズムを理解させたいと願っても、相手がそれを受け入れるだけの霊的レベルにまで至っていない限り不可能なのです。もし幸いに、相手が真理を受け入れることのできる直前のレベルにまで至っている場合には、数年後にスピリチュアリズムを理解できる時がくるかも知れません。
霊的成長については、その本人が自分自身で成就していくしか道はありません。他人の霊的成長をあなたが促すことはできませんし、相手の未熟さの責任をあなたが負う必要もありません。成長はすべてその本人自身がなすべきことであって、責任も本人みずからが負うべきことなのです。従って、あなたはあなたとしてご自分の霊的成長の道を歩んでいけばよいのです。
相手が真理を受け入れられないからといって、それはあなたの責任ではありません。あなたの愛が足りなかったためでもありません。もし夫婦の関係があなたに苦痛を与えるものであるなら、あなたに「魂の訓練場所」が与えられていると考えるべきです。あなたが先にスピリチュアリズムを受け入れたということは、間違いなく、あなたが霊的に上の立場に立っているということです。それはあなたに、寛容な心を持つ訓練の場が与えられたということを意味しています。まさに地上ならではの訓練場が与えられたということです。
いまだ霊的真理を受けられない配偶者のために、あるいは絶えず嫌みを言い続ける配偶者のために、あなたは毎日、相手の知らない所で祈り続けることが必要です。霊的に上の立場に立った者として、愛の行為を実践することが要求されているのです。寛容な心で相手を上から包む、相手の霊的成長を心から願う訓練が与えられているのです。
地上における夫婦が果たすべき目的の一つは、それぞれが相手との人間関係を通じて成長することにあります。二人がただ表面的に仲良くすること以上に、各自がそれぞれの魂のレベルに応じた成長をなすことが重要なのです。夫婦の死別が当事者にとって決定的な悲劇でないように、夫婦の表面的な関係(仲良し・不仲)も決定的に重要なものではありません。世間では、仲が良ければ理想の夫婦のように言いますが、それは真理の一面を示しているにすぎません。仲の良い夫婦が霊的に高いとは限りませんし、逆にいつもケンカが絶えないような夫婦であっても、霊的には優れているということもあります。相性が最悪の夫婦であったとしても、それぞれが成長のための努力をしているなら、その方がずっと霊的に高いと言えるのです。もちろんお互いが成長のための努力をして、その上で二人の仲が良いというのであれば、それに越したことはありません。
一般的に言って、夫婦二人がともに低い霊的次元に留まっているうちは、争いもなく平穏無事に過ごすことができます。ところが夫婦の一方が精神的世界を求め始め、相手が依然として物質世界だけに留まろうとすると、夫婦の間に争いが生じるようになります。しかしそうした争いは、二人がともに高い世界に至る一つのプロセスなのです。お互いが低い世界に安住して仲良しでいるより、たとえ夫婦の間に波風は立っても、それぞれが霊的に成長することこそが、スピリチュアリズムにおいては最も重要なことなのです。
質問―2……再生について
『シルバーバーチの霊訓(2)』(p.101)の中で、交霊会の参加者の質問に対してシルバーバーチが、「あなたはすでに十回以上生まれ変わっています。2世紀以上前に英国での前世があります」と述べています。このシルバーバーチの言葉は、他の箇所で再生について語っているシルバーバーチ自身の説明と矛盾しているように思いますが、どのように考えたらよいのでしょうか。
答え
シルバーバーチの言葉を文字通り受け取るならば、ご指摘の通り、シルバーバーチが他の箇所で何度も語っている再生についての説明とは、食い違いがあると言わざるを得ません。常にダイヤモンドの例を引いて、現在(地上)の人物像(パーソナリティ)は前世にも次世にも存在しないことを強調しているシルバーバーチの内容とは矛盾しています。しかしここに、シルバーバーチの霊訓を読むに際しての、私達に対する良い教訓があるのです。
今、私達は編集された本を通じてシルバーバーチの思想・教えに触れているのですが、それらはもともとサークル(交霊会)の参加者の質問に対して、シルバーバーチがその人の霊的レベルと理解力に合わせて与えた回答です。その点を考慮せず文字面だけを追っていくと、シルバーバーチの語った言葉には多くの矛盾点があるように映ってしまいます。シルバーバーチの霊訓の内容を正確に理解するためには、その部分だけでなく、同じ内容を扱った他の箇所についても見ていかなければなりません。その上で総合的に理解しなければなりません。そうしないと本質を見誤る危険性があります。
例えばシルバーバーチの霊訓でたびたび問題になるのが「神観」です。シルバーバーチは再三にわたって、「神は法則です」とか「あなたは神なのです」と述べています。しかしこの部分だけをもって、それがシルバーバーチの神観のすべてであると考えるなら、明らかに間違いなのです。シルバーバーチは“創造神”としての神の存在を否定したり、単なる“汎神論”を唱えるようなことはしていません。もしシルバーバーチの神観が汎神論であるとするなら、神と私達が全く同一の存在であることになり、それをさらに推し進めれば唯物論・無神論になってしまいます。しかしシルバーバーチの神観は、れっきとした有神論であり、創造神論であり、神と私達人間との間に明確な一線を引いたものです。
シルバーバーチの神観を正しく理解するには、「法則をつくったのは神です」という他の箇所の言葉を併せて考えることが必要です。この言葉は、「法則とは神の属性であり、神そのものではない」ことを明確に示しています。シルバーバーチはサークルの参加者から神観についての不明な点を指摘され、「私達自身が神であるなら、あなたが神に向かって呼びかけ、祈っているのは矛盾ではないのか」と質問されています。結局シルバーバーチは、「私達の内に、神と同質の霊的要素が内在していることを、神が私達の中にミニチュアの形で存在していると言っている」との詳しい説明を加えています。「あなたがたは神なのです」というシルバーバーチの言葉の本当の意味は、ここに至って初めて明確にされています。
このように『シルバーバーチの霊訓』に書かれた内容の真の意味を理解するには、常に他の箇所も併せて広く読み取ることが必要なのです。シルバーバーチの霊訓は分量も多く、細部にわたって、さまざまな角度から説明が加えられています。これがシルバーバーチの霊訓の優れた点であると同時に、正確な理解に時間がかかるというマイナス点ともなっています。
さて先程の再生の問題に戻りますが、シルバーバーチの回答は、質問者(メアリー・ピックフォード)自身の理解力と霊的レベルに合わせて与えられたものであることを考慮しなければなりません。シルバーバーチが「あなたは十回以上再生しています」と言ったのは、パーソナリティとインディビジュアリティの違いを理解できないピックフォードに対して配慮して述べた言葉です。シルバーバーチが十回以上再生していると言った言葉の真意は、インディビジュアリティとしての再生のことを指していると理解しなければなりません。あるいは類魂全体における再生の回数を意味しているかもしれないと理解すべきなのです。質問者(ピックフォード)に複雑な再生の説明を省略して、結論だけを述べたものと思われます。
こうした観点に立って考えれば、シルバーバーチの答えは決して矛盾していないことが分かります。神観と同様この場合も、私達がシルバーバーチの置かれた状況を察して、語られた言葉の本質を理解しようとしなければならないということです。
質問―3……死別について
私は5年前に夫と死別しました。別離の悲しさはスピリチュアリズムとの出会いのお陰で癒されましたが、今でもよく夫のことを思い出します。しかし最近では、「私の夫への思いが、霊界の夫に悪い影響を与えているのではないか」と心配になることがございます。私の思いが霊界における夫の修行の妨げになったり、向上の足を引っ張るようなことはないでしょうか。
答え
お手紙での「あの世のご主人に対する思い」についてのご質問ですが、あなたが死後の世界のあることをしっかり受け入れ、霊界において人がたどるべき道筋についても正しく認識されている以上、ご心配には及びません。あなたの思いは霊界のご主人の向上の妨げになるどころか、かえってご主人には大きな喜びとなっているはずです。
霊界における配偶者の向上の妨げになるのは、地上の人間が霊界のあることを知らず、ただ身の上の不幸を嘆き悲しんでいる場合に限ってのことです。霊界の存在をしっかりと認識している地上の配偶者からの愛の思いは、霊界の配偶者には大きな喜びとなります。さらに、あなたの場合はそれ以上に、スピリチュアリズムのために働くという特別に恵まれた立場に立っていらっしゃいます。それは霊界のご主人にとって、最高の誇りとなっているはずです。ご主人が霊界に行かれて後、あなたがスピリチュアリズムと出会い、高級霊の道具として歩んでこられたことによって、お二人の愛の関係はさらに深まったものと思います。
ご主人の今後については、霊界において指導を任とするさらに高い霊によって導かれますので、全く心配は要りません。繰り返しますが、地上の配偶者がスピリチュアリズムのために働いているという状況は、霊界の人々にとって特別な意味を持っています。それゆえ今後も、ご主人はあなたの背後にあって多大な協力をされるはずです。地上のあなたと霊界のご主人がともにスピリチュアリズムのために働く道を歩むことにより、お二人の間には、いっそう永遠的な愛が育まれることになります。あなたの前途には希望と喜びだけが待ち受けております。
どうか今後は、常にご主人と一緒にスピリチュアリズムのために貢献していることを意識して歩まれますように……。
あなたがご主人のことを思い出す時は、実は霊界のご主人が先にあなたに向けて念を送っているというケースも考えられます。ご主人からのテレパシーをあなたがキャッチした時に、あなたがご主人のことを思い浮かべたのかもしれません。そうしたことは頻繁に生じています。ご主人がいつも身近にいることを心から喜ばれたらよろしいのです。