今回のセレクション「The Spirit Teachings」

霊訓(上)

――ステイントン・モーゼス著/近藤千雄 訳

ニューズレター第4号

19世紀後半、英国に登場したステイントン・モーゼスは、この世紀最大の大霊媒でした。彼は、オックスフォード大学神学部に学んだ英国国教会の牧師でしたが、29歳のとき重病を患いスピーアという医師の世話になったのがきっかけで、霊的能力を発揮するようになりました。通常の意識のままで(トランス状態にならずに)腕がひとりでに動いて文章が綴られる――自動書記が始まりました。

通信霊はインペレーターと名乗る古代の霊で、地上時代の名前をモーゼスが無理やり聞き出したところによると、旧約聖書時代の予言者マラキでした。霊界側は総勢49人からなる霊団を組織して、役 割分担して地上への通信に臨みました。その司令官がインペレーターでした。

霊界側から送られてくる通信はキリスト教の教義と真っ向から対立する内容で、従来のキリスト教 を根本から覆すようなものであったため(原罪の否定・イエスの贖罪の否定・三位一体否定)、敬虔 なキリスト教徒であったモーゼスは猛烈に反発します。霊界側と地上の牧師モーゼスとの間に激しい論争がほぼ10年近くも続きます。その間、モーゼスのあまりのかたくなな態度と既成のキリスト教への固執に、霊界側は一時総引き上げの直前まで至っています。しかし最後には、さすがのモーゼスも 霊界側の見解を認め受け入れるようになります。

こうしたやりとりの中から、モーゼスが教訓的なものを選びまとめたものが、1883年に出版された『霊訓』なのです。言うまでもなく“霊訓中の霊訓”――第一級の霊界通信でスピリチュアリズムのバイブルと言われています。

本書は、1985年に国書刊行会から出版され、その後絶版となっていた『世界心霊宝典』全5巻の一冊『霊訓』の本文に加筆訂正を施した復刻本です。格調高い重厚な翻訳によって、インペレーター の人格性が手に取るように伝わってきます。

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