日本のスピリチュアリズム展開に期待する、霊界の大先輩スピリチュアリスト

――英国スピリチュアリズム界は、G・ヒギンソンの精神に立ち返れ!

インフォメーションNo.31

ゴードン・ヒギンソンと卓越した万能霊媒能力

皆さんは、ゴードン・ヒギンソン(G・ヒギンソン)の名前をご存知でしょうか。『シルバーバーチの霊訓』を熱心に読んでいる方には、ハート出版の『新たなる啓示』の中に出てくる、元SNU会長であった人物のことを思い出されるかもしれません。SNU(英国スピリチュアリスト同盟)という英国最大のスピリチュアリストの組織を率いる重責を担い、数々の苦労と辛酸を嘗め尽くしてきたゴードン・ヒギンソンは、“シルバーバーチの交霊会”に出席してみずからの思いのたけを打ち明けました、そしてシルバーバーチから、きわめて意義深いアドバイスを受けることになりました。

一方、心霊現象に関心のある方には、ゴードン・ヒギンソンという名前から、英国心霊史上、最も有名な霊媒のことを思い出されるかもしれません。『新たなる啓示』の中には、ヒギンソンの身体から流れ出る大量のエクトプラズムの写真が掲載されています。その衝撃的な写真を思い浮かべるかもしれません。

G・ヒギンソン(1918~1993)は、20世紀のスピリチュアリズム界を代表する、卓越した霊能者(霊媒)の一人です。その霊能力は、「物理的心霊現象」「精神的心霊現象」「入神談話現象」「スピリチュアル・ヒーリング」などのあらゆる分野において発揮され、驚異的なオールマイティー(万能)のミーディアム(霊媒)と称されました。エステル・ロバーツやヘレン・ヒューズと並ぶ、第二次世界大戦後の英国スピリチュアリズム界屈指の霊媒でした。G・ヒギンソンは卓越した霊能者として、英国スピリチュアリズム界に多大な貢献をなしてきました。

ヒギンソンは、かの有名なロイヤル・アルバートホールや、彼自身が学長を務めていたアーサー・フィンドレー・カレッジで、数多くの公開デモンストレーションを行ってきました。目を見張るような心霊現象の公開デモンストレーションを通して、人間の死後の生存の証拠を示し、「霊魂説」の正当性を実証して、英国スピリチュアリズム界の土台を支えてきたのです。

英国スピリチュアリズムの歴史的流れ

英国では19世紀後半から20世紀初期にかけて、凄まじいほどの心霊現象の頻出期を迎えました。そうした驚異的な心霊現象物理的心霊現象が中心)に対して、当時の一流の科学者たちが厳格な実証的研究を行うことになりました。その結果、人間は死後もあの世において存在し続けるという「霊魂説」の正しさが証明されることになったのです。

この時期の英国スピリチュアリズム運動を語るキーワードは、「交霊会」と「霊媒」と「心霊研究」です。そうした交霊会と心霊現象を中心とする英国のスピリチュアリズム運動は、19世紀後半から20世紀初期において絶頂期を迎えました。ところが第一次世界大戦を機に、それまでの奇跡的とも言える物理的心霊現象の出現が沈静化していくようになります。見た目に派手な心霊現象が表舞台から姿を消すことになったのです。それと同時にスピリチュアリズム運動は、新たな段階へと進んでいくことになりました。

こうしたスピリチュアリズムの動向を表面的に見ると、スピリチュアリズムは第一次世界大戦を機に急激に衰退していったかのように映ります。実際、多くの宗教学者や社会思想家は、そのように考えています。そしてスピリチュアリズム運動とは、19世紀後半から20世紀初期にかけて、交霊会と心霊現象によって欧米社会を広く巻き込んだ異常な社会現象である、と結論づけられることになりました。

それからおよそ100年の時を経て、20世紀後半に至ると、今度はアメリカにおいて「チャネリング(霊界通信)」などのさまざまな心霊現象が多発するようになりました。それは“ニューエイジ運動”としてアメリカ全土を巻き込み、世界中に拡散していくことになりました。実は、このニューエイジ運動はスピリチュアリズム運動と同じく、霊界からの働きかけによって発生したものなのです。その意味でニューエイジ運動は、1世紀前のスピリチュアリズム運動の現代版と言えますが、霊的次元の点で、かつてのスピリチュアリズム運動からは大きく劣っています。

こうしたスピリチュアリズム運動の流れを物質的視点から見ると、スピリチュアリズムの全盛期は第一次世界大戦までで、その後は衰退の道をたどっていったように映ります。19世紀後半において欧米社会全体を巻き込んだスピリチュアリズム運動は、20世紀には、もはや時代遅れの社会現象であるかのように認識されることになりました。そして唯物論者たちは、スピリチュアリズム(心霊主義)は人々を惑わすだけの前近代的な迷信の類である、と断じるようになりました。

しかし実は、そうした表面上の動きとは全く異なる動きが、水面下で着々と進行していきました。その動きは、スピリチュアリズムを主導しているイエスを中心とする霊界の高級霊たちによって計画的に起こされたものです。霊界からの強力な働きかけによって、それまで主流であった物理的心霊現象に代わる新しい心霊現象が次々と演出されるようになったのです。その新しい心霊現象とは、精神的心霊現象であり、高級霊からの霊界通信であり、スピリチュアル・ヒーリングでした。19世紀後半から20世紀初期にかけてさかんに演出された物理的心霊現象は、「精神的心霊現象」と「高次の霊界通信」と「スピリチュアル・ヒーリング」という次元を高めた新しい心霊現象に移行していったのです。

G・ヒギンソンが、英国スピリチュアリズム界の屋台骨としての大役を担う

――英国スピリチュアリズムの危機を救った優れたスピリチュアリストのリーダー

G・ヒギンソンは2つの世界大戦後の英国スピリチュアリズム界で、最も中心的な役割を果たすことになりました。激動する英国スピリチュアリズム界を背負って立つことになりました。彼のもとで英国スピリチュアリズム界は、新たな段階に向けて歩み出すことになったのです。この時期、ヒギンソンがいなかったなら、英国スピリチュアリズム界は壊滅的な状況に陥っていたと思われます。ヒギンソンの働きがなかったなら、間違いなく見るも無残な姿になっていたことでしょう。

G・ヒギンソンの真価は、卓越した霊媒としてより、英国スピリチュアリズム界のリーダーとしてスピリチュアリズム運動を維持するために貢献したところにあります。ヒギンソンは稀に見る優れた霊媒としてスピリチュアリズムの歴史に残る存在ですが、彼の真価はむしろ、スピリチュアリストのリーダーとして英国スピリチュアリズム界のために献身してきた点に求められるべきです。スピリチュアリズム運動の発展のためにすべてを捧げた生き方にこそ、彼の真価があるのです。

ヒギンソンはまさに、スピリチュアリズムのために人生を捧げ尽くした本物のスピリチュアリストでした。彼の高い霊性と宗教性、豊かな人間性と強い責任感と無私無欲の献身性――こうした優れた特性と資質ゆえに霊界から英国スピリチュアリズム界のリーダーとなるべく白羽の矢が立てられ、SNUという英国最大のスピリチュアリストの組織の責任者としての使命を担うことになったのです。

とは言うものの、1970年に会長就任の依頼を受けたとき、彼は最初、それを辞退しました。当時、SNUはひどい財政危機に陥っていて、先行き真っ暗な状況にありました。これまでスピリチュアリズムは、絶えず2つの困難・危機に遭遇してきました。その1つは、キリスト教会や唯物論者に代表される反対勢力からの激しい攻撃です。もう1つは、経済的な困難・財政難です。こうした理由により、ヒギンソンは会長就任の要請を受け入れませんでした。しかし、そのとき霊界から修道士の霊が現れ、会長の職に就くように、繰り返しヒギンソンを説得しました。その結果、彼はしぶしぶ会長の職を引き受けることになったのです。

ヒギンソンは、1970年から他界する1993年までの23年間を、SNU(英国スピリチュアリスト同盟)の会長として歩むことになりました。SNUは、英国最大のスピリチュアリストの組織です。英国内に多数のスピリチュアリスト・チャーチを抱えるSNUは、まさに英国スピリチュアリズム界を代表する組織です。日本のスピリチュアリストの中には、英国でスピリチュアリズムのセミナーに参加したことがある、と言う人がいますが、その大半は、SNUのアーサー・フィンドレー・カレッジで行なわれているセミナーに出た人たちです。

SNU(英国スピリチュアリスト同盟)とスピリチュアリズムの七大綱領

英国スピリチュアリズム界を代表するSNUは、1901年に創設され、英国全土に300以上もの“スピリチュアリスト・チャーチ”と“センター”を抱え、有料会員1万人以上が所属している文字どおり英国最大のスピリチュアリストの組織です。SNUには他に、シルバーバーチの霊媒でサイキックニューズ社の創立者であるモーリス・バーバネルを記念した“バーバネル・センター”があります。

SNUでは“7つの綱領(七大綱領)”を、スピリチュアリストの共通理念として掲げています。スピリチュアリズムの基本思想は、この7つの綱領に集約されているとし、これまでそれが多くのスピリチュアリストの共通認識となってきました。英国ばかりでなく海外のスピリチュアリズム、また日本のスピリチュアリズムにおいても、この7つの綱領が共通理念・基本思想とされてきました。

以下がその7つの綱領です。

  • 1、神は全人類の父である
  • 2、人間はみな兄弟である
  • 3、霊界と地上界との間に霊的交わりがあり、人類は天使の支配を受ける
  • 4、人間の魂は死後も存続する
  • 5、自分の行為には自分が責任をとらねばならない
  • 6、地上での行為は、死後、善悪それぞれに報いが生じる
  • 7、いかなる人間にも永遠の向上進化の道が開かれている

この7つの綱領は、心霊誌“ツーワールズ”を創刊したビクトリア時代の女性霊媒エンマ・ハーディング・ブリテンを通じて霊界から届けられたもの、とされています。その内容は実にシンプルで、スピリチュアリズムの思想をうまくまとめた感があります。

しかし、シルバーバーチはある日の交霊会で、この7つの綱領について厳しい批評をしています。4、5、7の綱領についてはほぼ認めていますが、それ以外のものについては定義の曖昧さ・不正確さを鋭く指摘しています。

“アーサー・フィンドレー・カレッジ”という名称は、英国の著名なスピリチュアリストに由来し、それは英国スピリチュアリズムの聖地的存在となっています。スピリチュアリズム関連のセミナーや心霊現象のデモンストレーションが開かれ、レクチャールームや図書館・美術館・バー・レストラン・宿泊施設を備えています。ヒギンソンは1979年から亡くなる1993年まで、SNUの会長とアーサー・フィンドレー・カレッジの学長を兼任してきました。

ヒギンソンが会長に就任した1970年当時、SNUは深刻な財政難に陥っていて、組織の維持は不可能のように思われましたが、ヒギンソンの指揮のもとで何とか破産を免れました。アーサー・フィンドレー・カレッジも、当初は売却寸前の状況にありましたが、その危機からも脱することができました。SNUとアーサー・フィンドレー・カレッジは、ヒギンソンの懸命な働きによって現在まで存在することができたのです。

ヒギンソンは1993年に脳卒中で他界(75歳)しましたが、彼は亡くなる前日まで精力的に仕事を続けていました。彼の人生は、まさにスピリチュアリズムのために捧げ尽くされました。彼は、第一次世界大戦が終わった1918年に生まれ、成長とともにあらゆる心霊能力を発揮するようになっていきました。そして成人してからは、当代最高の霊媒として名声を博すことになりました。

こうした点から見れば、ヒギンソンは心霊現象が頻出した時代を締めくくるに相応しい偉大な霊媒と言えます。その一方で彼は、SNUの会長とアーサー・フィンドレー・カレッジの学長を兼任し、英国スピリチュアリズム界を次のより高い段階へと導くために献身してきた優れたスピリチュアリストのリーダーだったのです。

シルバーバーチの純粋な信奉者であり、忠実な弟子であった、英国スピリチュアリズム界の4人のリーダーたち

ヒギンソンと同時期に、英国スピリチュアリズム運動の中心的立場に立ってこれを支え、シルバーバーチの交霊会を主催して『シルバーバーチの霊訓』を世に送り出してきたのが、ジャーナリズム界の大御所「ハンネン・スワッファー」でした。彼は、シルバーバーチの交霊会の霊媒でサイキックニューズを創刊した「モーリス・バーバネル」ミスター・スピリチュアリズムと呼ばれた)と親しく、2人で英国全土を講演して回りました。

この2人以外に、20世紀最大のスピリチュアル・ヒーラーと称された「ハリー・エドワーズ」がいます。彼はスピリチュアル・ヒーリングを通して、スピリチュアリズムの普及に多大な貢献をすることになりました。

「G・ヒギンソン」「ハンネン・スワッファー」「モーリス・バーバネル」そして「ハリー・エドワーズ」という4人のスピリチュアリストのリーダーによって、当時の英国スピリチュアリズムは導かれていきました。この4人のリーダーに共通していたのが、シルバーバーチとの深い関係です。彼らは皆、“シルバーバーチ霊”から教えを受け、それを人生の指針にしてスピリチュアリズムの道を歩んでいったのです。その意味で4人の偉大なスピリチュアリストのリーダーたちは、いずれも“シルバーバーチの弟子”と言うことができます。

「ハンネン・スワッファー」はシルバーバーチの交霊会の主催者、「モーリス・バーバネル」はシルバーバーチの交霊会の霊媒、そして「ハリー・エドワーズ」はシルバーバーチの交霊会での教えを忠実に実践するという形で、シルバーバーチの弟子として大きな足跡を残しました。「G・ヒギンソン」もハリー・エドワーズと同じく、シルバーバーチの交霊会に参加して、シルバーバーチから直接、スピリチュアリズムのリーダーとしての指導を受けています。

ヒギンソンは、シルバーバーチにさまざまな質問を投げかけ、その答えに基づいてスピリチュアリズム運動を指導していきました。彼は、シルバーバーチに最も信頼を置き、そのアドバイスを忠実に実行しようとしました。『シルバーバーチの霊訓』に最高の価値を認め、困難に遭遇するたびに、シルバーバーチの教えを拠りどころにして乗り越えてきたのです。

“シルバーバーチの交霊会”に3度、出席

ヒギンソンにとって、シルバーバーチの交霊会に参加して直接、シルバーバーチから教えを受けることは、人生で最も意義深いひと時であったことは言うまでもありません。

ヒギンソンは3度、シルバーバーチの交霊会に招待されています。1回目は1967年で、霊媒として華々しい活躍をしていた時期です。2回目は1971年で、SNUの会長に就任した翌年のことです。この時のシルバーバーチとの対話が、『新たなる啓示』の中に載っています。3回目は1980年で、モーリス・バーバネルが他界する前年のことです。

シルバーバーチに、英国スピリチュアリズムの現状についての不満を訴える

2回目の交霊会でヒギンソンは、シルバーバーチに対して次のような質問をしています。「英国各地のスピリチュアリスト・チャーチでは、物理現象に偏り過ぎて、霊的教訓がおろそかにされています。これでよろしいものでしょうか?」また次のようにも述べています。「こんな程度のものなら、チャーチを閉鎖してしまった方がいいのではないでしょうか?」

ヒギンソンは、『シルバーバーチの霊訓』を通して霊的真理を正しく理解していたため、当時のSNUの心霊現象だけを重視するあり方や、キリスト教の教義と折衷したようなスピリチュアリズムを説く不純さに強い懸念と嫌悪感を抱いていたのです。

それに対して、シルバーバーチは次のように答えています。

「霊媒現象がただのサイキックなものに止まるのであれば、せっかく教会を設立した意味がなくなります。ぜひともスピリチュアルなレベルにまで上げないといけません。皆さんに知っていただきたいのは、霊の資質は、下等なものから高等なものへと、段階的に顕現させることができるということです。それを、最下等のサイキックなレベルで満足しているということは、進歩していないということになります。停滞しているということです。」

シルバーバーチは、SNUの方向性と内容を“サイキックレベル(心霊現象中心の段階)”から“スピリチュアルレベル(霊的教訓中心の段階)”に引き上げるべきである、とアドバイスしたのです。しかし、それを実行するには大変な困難と反発が予想されます。なぜならそれは、英国スピリチュアリズムにおける心霊現象中心の伝統を根底から覆すことになるからです。根本的な方向転換を意味するからです。

さらにシルバーバーチは問題解決のための方法として、ヒギンソンに対して次のような驚くべきアドバイスをしています。

「そういう方向へ鼓舞する、何か動機づけとなるものを与え、進むべき道を明示する必要があります。一つの基準を設ければ、みんなそれに従うようになるでしょう。従わない者は脱落していくでしょう。」

そしてシルバーバーチはヒギンソンに対して、勇気を持って突き進むように励ましています。内部の霊的刷新のためには、多くのメンバーが離れることになっても仕方がないという強い姿勢を示したのです。

シルバーバーチは次のように述べています。

「自分がしようとしていることが正しいと確信しているなら、思い切って実行すればよろしい。たもとを分かつべき人とは潔く手を切り、その人の望む道を進ませてあげればよろしい。」

以上は『古代霊シルバーバーチ 新たなる啓示』(ハート出版)より引用

その後、ヒギンソンはSNUの会長として英国スピリチュアリズムの霊的レベルを引き上げるために奮闘してきましたが、思いどおりには進まなかったようです。

スピリチュアリズムの霊的進化のプロセスは、「心霊現象レベル」→「心霊思想レベル」→「真理の信仰実践レベル」というように段階が上がっていきます。スピリチュアリズムを主導してきたイエスを中心とする霊界の大霊団の意向・スピリチュアリズムの最終目的は、地上人類に霊的成長の道を歩ませ、真の霊的救いをもたらすところにあります。それは、3段階目の「真理の信仰実践レベル」に至って初めて達成されることになります。このため霊界サイドは、「心霊現象の演出と心霊研究」、「霊界通信と心霊思想」という段階を踏んで人類を導いてきたのです。

しかし、英国のスピリチュアリズムはモーゼスの『霊訓』や『シルバーバーチの霊訓』という心霊思想の集大成とも言うべき偉大な思想(最高次元の霊的真理)を手にしながら、心霊現象を中心とする低い霊的レベルにとどまってきました。シルバーバーチが説いているようにサイキックなレベルにとどまり続けてきたのです。

実は、それは日本のスピリチュアリズムにも、そのまま当てはまります。日本で唯一のスピリチュアリズムの公式組織である「日本心霊科学協会」にも、同じことが言えるのです。かつての心霊科学研究時代の流れを引きずったまま、低次元の霊的段階にとどまり続けています。それでは、とうてい霊界サイドの意向にそうことはできません。地上人類に真の救いをもたらすという、スピリチュアリズムの目的を果たすことはできません。

江原啓之氏がつくった「日本スピリチュアリズム協会」は、実質的には江原氏を教祖とする新興宗教の教団と変わりありません。一見、スピリチュアリズムを装っていますが、その実情は、スピリチュアリズムの純粋なあり方とは根本的に違っています。信奉者(信者)の関心を江原氏自身に向けさせ、江原氏を中心とする組織を拡大しようとしているのです。

占いグッズを販売したり、お札の類を売りつけるなど、およそスピリチュアリズムとは正反対のことをしています。霊界の導きを裏切る行為に走っています。信奉者の心を本物のスピリチュアリズムから離れさせる、まさに偽りのスピリチュアリズムの組織と言えます。

ヒギンソン、3回目の交霊会に参加

3回目の交霊会への参加は1980年で、バーバネルが他界する前年のことです。当時のヒギンソンは相変わらず、さまざまな問題を抱えていました。SNU内部の改革だけでなく、財政面の問題や反対勢力との闘いに常に頭を痛めていました。反対者からは、しばしば裁判に訴えられ、この対処に多くのエネルギーを費やすことになりました。

交霊会でヒギンソンは、こうした難題をシルバーバーチに率直に訴え、その解決策を仰いでいます。それに対してシルバーバーチは、広い視点からヒギンソンにアドバイスを与え、励ましています。シルバーバーチの助言に対してヒギンソンは、「あなたの教えに、私は完全に従います」と答えています。ヒギンソンは、霊界の意向に忠実に従う姿勢をはっきりと表明したのです。その後、彼は1993年に他界するまで、英国のスピリチュアリズムをレベルアップさせるために奮闘を続けました。

この3回目の交霊会には、ヒギンソン以外に初参加の2人のヒーラー(母と娘)も同席しています。この時のシルバーバーチとの対話については、書籍(『シルバーバーチの霊訓』)として出版されていないため、その内容はほとんど知られていません。

交霊会では、初参加のヒーラーの1人が、「バーバネルさんが死んだあとは、どのようになってしまうのですか?」と心配そうに質問しました。それに対してシルバーバーチは、次のように答えています。「心配する必要はありません。スピリチュアリズムの計画は、着実に成し遂げられていくようになっています。私はたった一人の道具とともに、自分に与えられた使命を果たすために乗り出しました。当時、私は英語を話すことができませんでした。しかし、今になってみると私は、本当に多くの人々に真理を伝えてきたのだということを実感し、なんと幸運なことであったかと感慨に浸っています。心配は要りません。別の人たちが、私たちのあとを引き継いでくれます。彼らは来たるべき技術装置によって、私たちがなしたより、はるかに多くの人々に真理を伝えていくようになります」。

ここでシルバーバーチが言及している“来たるべき技術装置”とは、今、私たちが手にしている最新の情報伝達手段――“コンピュターとインターネット”を意味しています。シルバーバーチには、将来のインターネットによる情報革命の様子がはっきりと分かっていたのです。それによって「霊的真理」が急速に世界中に普及していくようになることを知っていたのです。

シルバーバーチの霊界通信は、人類史上“最高の心霊現象”

心霊現象という点から見たとき、“シルバーバーチの交霊会”で降ろされた霊界通信は、あらゆる心霊現象の終着点であり集大成と言うべきものです。「シルバーバーチの霊界通信」は、人類の歴史において発現した心霊現象の中で最も次元の高いものであり、他に類がない傑作と言えます。

19世紀後半期に発生した華々しい「物理的心霊現象」は、「霊魂説」の正当性を証明し、その後の「霊界通信」に向けて準備をするために演出されたものでした。こうして始められた霊界通信が、長い期間を経て最高次元にまで高められたものが「シルバーバーチの霊界通信」だったのです。この意味で『シルバーバーチの霊訓』は、人類が最終的に到達した心霊現象の結晶と断言することができます。その最高レベルの心霊現象は、霊界の高級霊たちが力を結集して演出したものなのです。

シルバーバーチの霊界通信の目的は、これまで地上人類に知られてこなかった霊的真理を、地上世界にもたらすことにありました。シルバーバーチはしばしば――「私は高級霊界において“地上にもたらすべき”と決定された霊的真理を、メッセンジャーとして伝えているにすぎません」と述べています。シルバーバーチ自身が、『シルバーバーチの霊訓』は自分の個人的な考えではない、自分一人の教えではないと明言しているのです。

その言葉から、『シルバーバーチの霊訓』は長い人類の歴史の上で、初めて地上の人間が手にすることになった“最高の叡智”であることが分かります。人類にとって、まさに“真のバイブル”と言えます。霊界側は、地上人類の魂を救済するために綿密な計画を立てて最高次元の霊界通信を送ってきたのです。『シルバーバーチの霊訓』は、イエスを中心とする高級霊たちの苦労の結晶です。私たちが今、それを手にしているということは、霊界が総力を挙げてもたらしてくれた“最高の霊的宝”を得ていることを意味しています。

こうした『シルバーバーチの霊訓』が降ろされるまでの霊界側の導きの背景を知ると、賢明な人なら、新たな心霊現象を求める必要などないことが分かります。人類全体の“魂の救い”という観点から見たとき、新しい心霊現象は不要であることが理解できますとは言っても、地球上にはさまざまな霊性レベルの人間がおり、理解力も人によって異なっているため、そうした人たちの「霊的覚醒」にとっては、低い次元の心霊現象も必要となります)

今、私たちスピリチュアリストに最も望まれていることは、霊界の億万の高級霊たちが全力を傾けて地上にもたらしてくれた最高次元の霊的真理を普及していくことです。『シルバーバーチの霊訓』を地上世界に広めること――それが“スピリチュアリズム運動”の主要な目的となっているのです。

インターネットを介して、今後、スピリチュアリズムは世界中に普及

霊界の高級霊団によってもたらされた「霊的真理」を、地球上の一人でも多くの人間に伝えていくことが“人類救済”というスピリチュアリズムの目的を実現していくことになります。現在では、インターネットという科学技術を活用した霊的真理普及の時期を迎えています。インターネットによる情報革命によって、シルバーバーチが予見していた新たなスピリチュアリズム普及の時代が到来しています。それは、まさにスピリチュアリズム運動における“伝道革命”の始まりですとは言っても、「霊的真理」の受け入れは一人一人の霊性レベルによって決定します。「時期のきた人」がインターネットを通じてスピリチュアリズムの存在を知ることで、霊的真理が地球上に広まっていくようになります)

シルバーバーチはヒギンソンに対して――「あなたたちに続く地上人(スピリチュアリスト)が、インターネットを駆使して霊的真理を世界中に広めていくようになるから心配しなくてもよい」と言い残したのです。シルバーバーチがこの言葉を語った1年後、霊媒のバーバネルが死去し、歴史的な霊界通信は終わりを告げることになりました。

シルバーバーチが言ったように、その後、スピリチュアリズム運動はインターネットを通じて急速に知られるようになってきました。シルバーバーチの名前が地球規模で知られるようになってきました。日本では、“スピリチュアリズム”と言えば『シルバーバーチの霊訓』という認識が広まっています。

『シルバーバーチの霊訓』の価値を理解できない英国スピリチュアリズム

スピリチュアリズムとは『シルバーバーチの霊訓』のことであるという認識が、日本のスピリチュアリストの間では常識となりつつあります。そうした日本の状況から考えると、『シルバーバーチの霊訓』を地球上に送り出した英国では、日本以上にそれが広く行きわたっていると思うのが普通です。

ところが実際には、英国では『シルバーバーチの霊訓』は日本ほど重要視されてはいません。この事実に、日本人スピリチュアリストは本当に驚かされます。私たちなら、『シルバーバーチの霊訓』があれば、もう他の霊界通信は不要であると思います。しかし、英国スピリチュアリズム界には、日本では当たり前になっているこうした認識がありません。それでいてスピリチュアリズム界のリーダーたちは、英国におけるスピリチュアリズムの衰退状況を嘆き、スピリチュアリスト・チャーチの減少に何とか歯止めをかけたいと悩んでいるのです。

英国では毎年、数か所のスピリチュアリスト・チャーチが閉鎖に追い込まれるという状況が続いています。今やスピリチュアリスト・チャーチに足を運ぶのは、年金で細々と生活している年配者ばかりになってしまい、多くのチャーチでは維持・運営が難しくなっているのです。

ヒギンソンの期待を裏切り続けたその後のSNU

ここでもう一度、英国のスピリチュアリズムとG・ヒギンソンに話を戻します。20世紀の英国スピリチュアリズム界の中で、ヒギンソンほど霊界の意図を正しく理解し、それを実現するために力を尽くしたリーダーはいません。霊界の意向にそって、英国スピリチュアリズムの霊的レベルを引き上げようと奮闘してきたスピリチュアリストは他にはいません。

その熱意ゆえにヒギンソンは、2回目の交霊会でSNUに対する激しい批判の言葉を発したのです。シルバーバーチは、彼のそうした真摯な姿勢を評価し、困難の中で苦しむヒギンソンを励ましました。真のスピリチュアリズム改革のリーダーに相応しいヒギンソンの資質と能力と誠意を認め、大きな期待をかけたのです。

SNU会長として、またアーサー・フィンドレー・カレッジの学長としてのヒギンソンの歩みは、英国スピリチュアリズムを刷新するためにありました。それを成し遂げるために彼は、自分の人生を捧げ、すべての時間とエネルギーをつぎ込みました。しかし、心霊現象を中心とする英国スピリチュアリズムの伝統が“負の遺産”として進歩の道を妨げることになりました。古くからの伝統がスピリチュアリストたちの心を縛り、より高いレベルへ向上していくための障害になってしまったのです。

英国最大のスピリチュアリストの組織であるSNUは、厳しい財政難の中で何とか命脈を保ってきましたが、現在のSNUには、スピリチュアリズムの霊的レベルを引き上げていこうとする意欲も霊的エネルギーもありません。霊界の意向にそっていこうとする方向性も見られません。ヒギンソンの死後、SNUは大きな舵取りを失い、大海を漂い、目的もなく漂流し続けているように見受けられます。交霊会と心霊現象と死者からのメッセージにしがみつき、そこから抜け出すことができずにいます。本当に残念なことですが、ヒギンソンが英国スピリチュアリズムをレベルアップさせようとした努力は、ほとんど実を結んでいないようです。

現在のSNUの会長は、デビット・ブルートンです。英国では毎年、11月11日の戦没者追悼記念日に、さまざまな行事を行なっています。この追悼式典には、英国だけでなく海外からも多くの宗教関係の指導者たちが招かれています。去年は第一次世界大戦の終戦から100周年となり、大々的に行事(記念追悼式)が行われました。その式典にSNUの会長ブルートンが、スピリチュアリズムを代表して初めて招かれました。国家の正式行事である追悼式典に、スピリチュアリズムが宗教として初めて参加することが認められたのです。

式典に先立ち、SNUの会長デビット・ブルートンは、次のようなコメントを発表しています。「私がスピリチュアリストを代表して参列できることは大変名誉なことである」。さらに続けて、「スピリチュアリズムが他の主流の既存宗教と並んで立つことは、スピリチュアリズムの進展にとって重要なステップである。この式典はテレビやメディアで広く紹介されることになる」と、誇らしげに述べています。彼は、スピリチュアリズムが他の宗教と横並びに扱われるようになることを、スピリチュアリズムの発展と考えているのです。

この発言には、現在のSNUの実情が端的に表れています。霊界の意向から離れ、ただ地上の人間にしか意識が向いていない実態がよく示されています。霊的に見たとき、そうした状況こそが、まさに英国スピリチュアリズムとSNUが直面している最大の危機であり、根本的な問題なのです。

英国は、『シルバーバーチの霊訓』を輩出した国です。霊界から“人類救済”の使命を真っ先に託されたスピリチュアリズム先進国です。しかし、現在の英国スピリチュアリズム界では、『シルバーバーチの霊訓』の価値と重要性が理解されていません。“シルバーバーチ”を前面に押し出して、スピリチュアリズムの霊的レベルを引き上げていこうとする動きは全く見られません。それこそがヒギンソンが生前、使命感に燃えて成し遂げようとしたことなのですが、その精神を引き継いでいる者が、現在の英国スピリチュアリズム界には見られないのです。そうした状況は、霊界にいるヒギンソンにどれほど深い悲しみを与えていることでしょうか。

ヒギンソンから、日本のスピリチュアリストの皆さんへのメッセージ

昨年の11月11日、英国で戦没者追悼記念日の式典が行われた当日、ヒギンソン霊が、私たちスピリチュアリズム普及会のメンバーを通してメッセージ(霊界通信)を送ってきました。その1週間前に、トニー・オーツセンからのメールで、SNUの会長が他の宗教関係者と並んで追悼式典に参加することになったとの連絡を受けていたので、ヒギンソンが送ってきたメッセージが何を意味しているのか、すぐに察しがつきました。ヒギンソンは、英国スピリチュアリズムの情けない実情を私たちに伝えてきたのです。

そしてその2日後(追悼式典の2日後)、再び私たちの前に現れ、「SNUはひどい。あなた方が思っているように、SNUは本当の道から外れています」と言ってきました。SNUと英国スピリチュアリズムの現状に対する不満と憂いを、強い口調で訴えてきたのです。

実はヒギンソンは、それまでも度々、私たちの所にさまざまなメッセージを送ってきています。私たちのサークルでは、『シルバーバーチの霊訓』を前面に出してスピリチュアリズムの普及を進めてきました。シルバーバーチによってもたらされた霊的真理の正しい理解と実践の重要性を訴え、本物のスピリチュアリズム運動を日本に確立しようと努めてきました。そうした私たちのあり方は、実はヒギンソンが生前、SNUにおいて実行しようとしてきたことと同じだったのです。

ヒギンソンは、自分が成し遂げたいと考えてきた改革が、英国から遠く離れた日本の地で実現しつつあることを知りました。自分が願ってきたスピリチュアリズムの改革が実際に進められていることに驚き、感動し、日本から本物のスピリチュアリズムが世界中に普及していくようになることを確信しました。そして霊界から、全面的な援助と導きをすることになったのです。ヒギンソンは、そうした事実を繰り返し伝えてきました。ヒギンソンは今、日本において生前の自分の意志を引き継ぐスピリチュアリストたちが現れ、『シルバーバーチの霊訓』を中心とするグループ(シルバーバーチ読書会)が広まっていることを喜び、大きな期待を寄せています。

ヒギンソンが私たち「スピリチュアリズム普及会」にメッセージを送ってくるとき、その多くは普及会のメンバーだけでなく、日本のスピリチュアリスト全体を意識したものになっています。そして、「日本のスピリチュアリストたちに伝えてほしい」とのコメントが添えられています。

ヒギンソンのメッセージを通して、日本のスピリチュアリズム運動の背後には、かつての英国をはじめとする諸外国のスピリチュアリストたちがいることが分かります。霊界入りしている先輩スピリチュアリストたちが大挙して働きかけている事実を知ることができます。「シルバーバーチ読書会」という形で日本のスピリチュアリズム運動が進展していることを高級霊たちは喜び、イエスが主宰する高級霊界の審議会でその進捗状況が常に報告されているのです。そうした霊界の事実も伝えられています。

私たちは、英国スピリチュアリズム界がヒギンソンの精神に立ち返って『シルバーバーチの霊訓』の価値を再確認し、それを広めるような方向へと活動を展開していってくれることを切に願っています。

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